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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
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神扱い1-見えないモノ

 アサギ王の婚儀が始まりました。


 地下魔界に戻ったアオとサクラは、複製を通じてアサギ王の婚儀を見ていた。


(襲撃も無く終わったね)


(うん、よかったね~)


(祝列前に、王都の結界を確かめておくよ)


(あ、紫苑さんと珊瑚さんだ~♪)


紫苑と珊瑚が近付いて来た。


(午後は? まだ終わっていないけど、どうするんだい?)


(晩餐会までは、こちらに居ようかと)

(戻って参りました)二人、にっこり。


(なら、安心だね。

王都の結界を確かめて来るよ。

サクラは、こっちに残ってね)曲空。


(サクラ様。竜の神様方は、どちらに?)


(深魔界近くに散らばってるよ~)


(最近、襲撃は有りませんね)


(うん……ちょっと不気味だけど……

アオ兄は、兵士不足で籠城したんじゃないかって言ってた~)


(さもありなんですね……)


検知竜宝が鳴り響いた。


(噂をしたからでしょうか)苦笑。

(参りましょう)(うんっ)




♯♯ 天竜王国 ♯♯


(クロ、供与を頼む)(アカ、結界か?)

(そうだ)(テッペンだな?)(ああ)


クロが姫を乗せて上空に曲空すると、アカだけでなく、アオも来ていた。


(アオ、地下は?)


(紫苑殿、珊瑚殿が来てくれたからな。

結界だけ補強したら戻るよ)


(そっか)(始めるぞ)(おう)供与!


王都周辺に建てている最中の祠から発している結界の外に、アカが堅固で結界を成し、二つの結界の間にアオが光の結界を成した。


(それじゃ、地下に戻るからな。

こっちは頼んだ)曲――


(アオ、後で深蒼の祠に行ってくれるか?)


(どうしたんだ?)


(あの岩山、何か気になるんだ)


(何か見えたのか?)


(いや……見えねぇから気になるんだ)


(解った。

夜、キン兄さん達と交替したら行くよ)


(ん。お前、ちゃんと食ってるか?)


(大丈夫だよ)あはは。(じゃ、後でな)曲空。



――地下魔界。

(サクラ! 遅くなって、すまない!)

神以鏡から光を放った。


(だいじょぶ~、神様いっぱいいるも~ん)


(大丈夫そうには見えないけど……)


(やっぱり そぉ思う~?)あはっ。


辺りには闇が立ち込め、女神達が魔王らしき塊に向かって雷光を放っていた。


紫と紅の光を纏った大きな白九尾が現れた。

(男神様方には退避して頂きました)


御札の紋様が、紅い稲光を引きながら闇の塊に向かって飛んだ。


アオも光に雷を加えて放った。


(アオ兄……その雷……

何かを変えてるんじゃないよね?)


(うん、属性竜宝を取り込んだんだ)


(ってサラッと言うけどっ!

簡単な事じゃないでしょっ!)


(子供達を回復させるのに必要だからね)


(それじゃ……風も?)


(なんとか入ったよ)


 二つも……命を削ってまで……


(ぼんやりしてると危ないよ!)

サクラの眼前に迫っていた闇の波動を、アオが放つ雷光が打ち消した。


(ごめんっ)考えるの後だね。(ありがと!)


(捕らえました! お願いします!)


ルリが掌握で掴んだ位置は、闇の塊からは離れた宙だった。


(本体は、こちらです!)


雷光が集中する。


絶叫が宙を裂く。


静まると空かさず、まだ波動を放ち続けている闇の塊に雷光を放った。


闇が消えていき、小さな塊が落ちる。


女神達が放つ光の波紋が、辺りの闇も消した。


ドルマイが落ちた塊を光で包み、拾い上げた。

【竜骨です】


女神達は、魔王だった神竜の魂を浄化し始めた。

大女神がドルマイと言葉を交わし、竜骨を受け取ると、女神達を率い、神竜の魂と共に姿を消した。


(ドルマイ様、あの女神様方は……?)


(セレンテ)と、母が指導している若い娘達よ。

ちょうど来ていたの】うふふ♪


白九尾が念網で包んだ塊を咥えて戻った。

(大神様方、大変失礼致しました)念網を解く。


男神達が出て来た。

【いえ、ありがとうございました】


【では、解呪を始めます】

カルサイが魔法円を出し、光に包まれ眠っているビスマスが中央に置かれた。


大神達が内を、絆神達が外を囲み――


【お前等、何度 言ったら覚えるのだ?】


ゴルチルの声で、アオとサクラも加わった。


(ヒスイも?)(うん、かかっちゃった~)


(さっきの大きな妖狐殿は?

紫苑殿と珊瑚殿の気を合わせたような感じだったけど)


(うん♪ すっごいよね~♪

融合みたいだよ♪)




♯♯ 天界 ♯♯


 夜、アオとサクラが深蒼の祠に行くと、クロと姫、そして、ディアナが待っていた。


「呼び出して悪かったな。

何が入ってるのか判ったよ」


「そう。

ディアナ様、入っている何かは出せるのですか?」


【最高神様の御力でなければ出せません】


「でしたら、カルサイ様をお呼び致します」


「クロ兄、なんで この岩山 知ってんの?」


「今朝、コイツら貸してくれたお礼、言おうと思って来てみたんだ」

【サクラ~♪】【あそぼ~♪】

クロの頭の上で手を振っている。


「チルルとカルルじゃ」「変えたの?」

「良い名じゃろ?」「うん♪ かわいい~♪」


「で、何か違和感があるから見てみたら、ちっこい穴っつーか、見えねぇ点が有ってな。

気になっちまって――」


「怒って騒いでおったのじゃ」ふふん♪


「言うなよ~」


「ディアナ様は どぉして こちらに?」


【ルバイル様を訪ねて、芳小竜の家に参りまして、カロール様に会い、岩山の事と、クロの話を伺ったのです。

この岩山に込められているのは、おそらく私の母です】


「えっ!?」

カルサイと話していたアオも振り返った。


【遥か昔、私と母は、この通路の近くで初代魔王と戦っておりました。

魔王が母を異空間へと飛ばし、私は岩山に生えていた魂留樹(コンリュージュ)へと、母を引き戻そうとしたのです。

それに気付いた魔王は、当然ながら魂留樹を消そうとしました。

私は抗いましたが、魂留樹は消され、やむなく私は落ちていた種を岩山の内に集め、術を掛けたのです。

同時に魔王は岩山に呪を掛け、時空の間に飛ばしてしまったのです】


「それが、どぉして嫗亀様の甲羅に?」


【それは私にも分かりません……】


【とにかく、エメルド様をお救い致しましょう】

大神達が現れた。


【クロ、よく見つけてくださいましたね】


「あ、いや……見つけたと言うか、見えなかったと言うか……」照れている。


【やはり、まだ呪が……】

【確かにな……】

【気配はあるのですが……】


大神達が岩山に掌を当て、探っている。


「あの……通路の下に何か……」

「小さな黒い塊が見えるのじゃが……」


【これですね……確かに呪です。

素晴らしい神眼ですね】


「オレ……役に立ててるのか……?」驚き呟く。


「だから何度も言ってるだろ?

クロの力は大きいんだ、って」


【お前等も何度も言っているだろう?】


「あ……」【早くしろ】「はいっ!」慌てて行く。


【おてつだい~♪】ふよよよ~♪

キュルリ、チルル、カルルが岩山に くっつく。


解呪が始まる。


「もはや、あの二人は神扱いじゃな……」


「だな……」アイツら、カッケー……





 魂留樹(コンリュージュ)と言えば、コバルト様は?

気にはなりますが、今はエメルド様を

救出しなければなりません。



 その頃、アオの屋敷では――


 屋敷に戻った爽蛇は、風蛇を抱いて自室に入った。


「まだ、遊び足りないんですか?

ご機嫌ですが……困りましたねぇ」


「とーちゃ♪ あっそぼ♪」


「少し待ってくださいね。片付けますから」


「は~い♪」


 やはり風蛇は、確かに風蛇ですね。

 聞き分けが良くて、優しくて……


爽蛇は作業卓を片付け、風蛇が眠くなるまで

遊び相手をしようと座った。



♯♯♯



 あら? これは……?


託児所を片付けていた琉蛇は、

落ちていた紙片を拾い上げた。


 この字は爽蛇さんだわ♪


それだけで嬉しくて、

爽蛇の部屋へと駆けて行った。




 こちらのお話は、後書きにて、

少しずつ進めます。m(_ _)m


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