神の光4-チルルとカルル
主人公の子供達のお話なので、
芳小竜絡み、引っ張ります。m(_ _)m
コバルトがドルマイに依って木に封じられた草原から、曲空して逃げたアオとサクラは、芳小竜達が待つ、森の家に来ていた。
「ここが新しい家だよ。皆、仲良くね」
【は~い♪ とぉさま♪】一斉。
朝食の為に馬車に寄った時に、カリヤから引き取った芳小竜達を籠から出し、皆と独楽で遊んでいると――
【アオ、サクラ、少しは眠ってくださいね】
ルバイルが現れた。
【とぉさま~♪】【あそぼ~♪】
元竜の神に付いて行った筈の芳小竜達が飛んで来た。
「ルバイル様、この子達は……」
【心配しないでください。
神を浄化している間、お預かりしたのです】
「良かった……」
【それに今後も、ここにも来てくださいますので、この子達には、また会えますよ】
「ありがとうございます。
ルバイル様が説得してくださったのですよね」
【いいえ、私は何もしていませんよ。
この子達が水晶に寄り添い、呪と戦っている姿を見て、傍に、共に、と決め。
アオとサクラを慕い、別れを惜しんでいる姿を見て、必ずまた会わせようとお決めくださった。
それだけです】
「この子達の気持ちが通じたのですね……」
【アオとサクラの気持ちも、ですよ】
「俺達こそ何も……」
【それでも、神には解るのですよ】
「アオ兄、独楽 足りないよ~」
「あ……そうだね。沢山 必要だね。
なら、団栗を拾おう。
ルバイル様、この森にも有りますよね?」
【勿論、ありますよ。
この森には季節がありません。
ずっと色々な花が咲き、様々な木々が実っています】
「皆、お外で団栗を拾うよ。行こう」
♯♯ ハザマの森 馬車 ♯♯
地下魔界の警護を終えたクロと姫が馬車に戻り、休んでいると、オニキスとオパルスが現れた。
「修行は終わったのですか?」
【ええ。長くかかって、すみません】
「およ? チモニー……カロールも如何したのじゃ?」
【御存知でしたか。
この子達は、私の両親の芳小竜なのです】
「そぅじゃったのか。
アオは何も言ぅてはくれなんだからのぅ」
【私が、この子達に会ったのは今日ですから】
「然様か……ならば知らずに連れておったのか。
アオは真、不思議な奴じゃのぅ」
チモニーとカロールが姫の袖を引いて、きゅるきゅる鳴いている。
「如何したのじゃ? 遊びたいのか?
お? 何か居るのじゃな」
「また仲間が来たんじゃねぇか? ほら」
「入るがよいぞ♪ 遊ぼぅぞ♪」手招き♪
「チモニー、カロール。連れて来いよ」
きゅる~♪ 飛んで行き、連れて戻った。
姫が紙風船を膨らませ、ぽ~んと上げると、芳小竜達は嬉しそうな声を上げて追って行った。
【でも……】「如何した?」
【両親の名を呼ばれるのは……その……】
「確かにのぅ。妙な気分にもなろぅのぅ。
名を変えよぅぞ♪」
「いいのかよ、アオに言わなくて」
「キュルリも言わずに変えたであろ?
兄弟で勝手にのぅ」
「そっか……」酔っ払ったハク兄が、だけどな。
「千代丸、花梨乃」きゅる? 首を傾げる。
「何で人界全開な名前なんだよっ!
竜の神様のなんだぞ!」
「神様らしき名を付けたら、また、ややこしゅうなるじゃろ。
じゃからと言ぅて色の名を付けたならば、竜の名の如くなるではないか」
「そっか……
オパルス様、姫に任せていいのか?」
【はい♪ お願い致します♪】
妙チキリンな名になっちまうぞ~
【呼び易ければ】にっこり。
「ならばじゃ――」きゅる? 寄って来る。
にっこりなでなで♪「チルルとカルルじゃ♪」
「え……」きゅっ♪ 「いいのか? お前ら」
きゅるる♪ きゅるる♪
呼び合っているらしい。
「いいのかよぉ……オパルス様も?」
【はい♪ 可愛い響きだと思います♪】
カロール、あんま変わってねぇし……
【そうですね】うふふ♪
【チルル】きゅる♪ 【カルル】きゅる♪
【ずっと一緒よ♪】【オパルスだいすき♪】
チルルとカルルは、オパルスの胸に飛び込んだ。
そして【ひめ♪ ありがと~♪】姫の胸に。
「喜んでおるのじゃな?」よしよし♪
♯♯ 竜宝の国 ♯♯
「有った。この草だ」アオは蒼牙を抜いた。
「離れててね」シャキーン! スパッ!
きゅ~♪【とぉさま かっこい~♪】きゅる♪
「硬いんだね~」サクラが抱える。
「さあ、帰るよ」【は~い♪】きゅ~る♪
「これ、独楽の軸?」「そうだよ」
両手に団栗を持って待っている芳小竜達に囲まれて、アオとサクラとルバイルは、せっせと団栗独楽を作った。
「けっこう回すの難しいね~」
「その分、回せたら嬉しいだろ?」
「そぉだね~♪」見事に回った♪
真剣に独楽を回し、歓声を上げる子供達に、あたたかい眼差しを向けていると、浄化が終わった神達が現れた。
【ルバイル様、アオ様、サクラ様。
ありがとうございました】
【これから私共は、神界の結界を改善する事に携わります】
【ですが、こちらには出来得る限り参ります事をお約束致します】
【芳小竜を連れて行っても構いませんか?】
「もちろんです。芳小竜にとって元竜様と共に生きる事は、最高の幸せですから。
二度と手離さないでください」
【はい。お誓い申し上げます】
【そして、これから芳小竜についての誤解を解いて参ります事も、お約束致します】
「ありがとうございます!」
「みんな~、お迎えだよ~」
「独楽も持って行っていいからね」
「いつでも来たらいいんだよ~」
躊躇っていた芳小竜達がアオとサクラの周りに集まり、お辞儀をして、
【とぉさま♪ いってきま~す♪】
手を振って飛んだ。
元竜の神達が深く頭を下げ、そして神界へと帰って行った。
――が、神の一団が残っていた。
【私共の家族や友人の芳小竜も連れて行ってもよろしいでしょうか?】
アオとサクラの表情が、驚きから喜びに変わる。
「よろしくお願い致します!」揃って礼っ♪
神に呼ばれた芳小竜達が、アオとサクラの周りに集まる。
「元竜様がお待ちだよ」
「みんなも、いつでも来てねっ」
「安心して行ってね」
アオとサクラが、ひとりひとり優しく撫でた。
芳小竜達は頷くと、名を呼んだ神の掌へと飛んだ。
【まだまだ、この三界には沢山の芳小竜が隠れ住んでいます。
今、ここに居なかった子の名は覚えました。
見つけ次第お連れ致します】
「一緒に暮らしたいと望んでいてくだれば、姿を見せるかもしれません」
「きっと見つかります。
少しだけお待ちください」
芳小竜に会えなかった神達も頷き、微笑んだ。
アオとサクラが団栗独楽を作りながら芳小竜達と遊び、ルバイルが居残った神達と話していると――
【此奴等を何とかしてくれ】
金虎が芳小竜を沢山くっつけて現れた。
「随分と懐いていますね」にこにこ♪
「遊んでもらったの?♪」にこにこ♪
【赤虎に押し付けられただけじゃ】ふんっ。
【ほれ、お前らの父御じゃ】
「皆、おいで」両手を広げる。
「父様だよ~♪」アオを指す。
【とぉさま?】【いいの?】【あそぶ?】
「遊ぼう」「独楽だよ~♪」
一斉に飛び、アオとサクラに群がった。
【やれやれ……これも置いて行くからの】
金虎は木箱を置いて去った。
「なんだろ?」
サクラが開けると、木や金属で出来た玩具が、ぎっしり入っていた。
「金虎様作?」「だから懐かれたんだね」
桜「どぉして神様まで手離しちゃうんだろ?
こ~んなカワイイのにぃ」
青「そうだね。
これも、神竜様方の信じ込む強さを
魔王が悪用したんだろうね」
桜「そっか~。
あっちこっちでウソばっかりなんだね~」
青「王族の個紋も、きっとそうなんだろうね」
桜「神様と俺達が協力しないよぉに?」
青「そうだと思うよ。
協力は足算じゃなくて掛算だからね」
桜「うんうん♪」
青「それと、ハク兄さんも言っていたけど、
正しい事を知る事、
それ自体も強力な武器になるんだよ。
嘘や誤りに翻弄されていては
戦えないからね」
桜「たっくさん見て聞いて確かめないと
いけないんだねっ」
青「そうだね。見極めないといけないからね」
桜「だからアオ兄は休まないの?」
青「え?」
桜「ず~~~~~っと動いてるでしょ。
添い寝してあげるから休も♪」
青「添い寝はしなくていいから」
桜「え~~っ!!」ぶぅ~




