表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
341/429

深魔界2-東側侵攻

 大勢で、ごちゃごちゃしています。


♯♯ 北側経路 拠点内 ♯♯


(あれっ?)(サクラ、どうしたのだ?)

先頭を進むサクラが立ち止まった。


(アオ兄が後退した……カルサイ様も……)

【サクラ~、やみ~】(ありがと)なでなで。


(サクラ、大丈夫だからね。

そっちも現れたから気をつけて)


(うん。気をつけてね、アオ兄)

(キン兄、魔王 来たよ)


(そのようだな……)


キンとサクラは身構え、気配を探った。




♯♯ 中央経路 拠点内 ♯♯


きゅるっ!【闇! ――と言っています】

バナジンがチモニーの通訳をする。


(どこに居るんだ?)


きゅるるる。【この下だそうです】きゅる♪


(この下ですか……)(地下って事か……)


最上階から下りて来、地上階にいたハク達は、戦い易い外に出た。




♯♯ 後方の拠点 ♯♯


(気配が消えたね……)

拠点の真ん中に曲空し、魔王の気を探した。


(アオ、すまなかった)(何が?)

(先程――)(何かあったっけ?)

(解かなくて……)


(謝るような事なんて、何も無いからね)にこっ。


(アオ……)


(全て愛情だって、ちゃんと解っているからね。

それに、俺の代わりに頑張ってたのも知っているからね)にこにこ♪


(起きていたのか?)


(うん、自分の天性だし、技だからね。

ルリなら大丈夫だから見ていたんだ)


ルリを引き寄せ、優しく抱きしめた。

(ありがとう、十分 休めたよ)髪を撫でる。


(でも、続きは後だね……来たぞ!)


二人、瞬時に戦闘に入る。


そこからは言葉は不要。

一人であるかのように攻撃を繰り出し、魔王の攻撃を躱し、曲空を繰り返す。




♯♯ 北側経路 拠点内 ♯♯


(キン兄、光は使えるからねっ)神以鏡を出す。


【気を消せ。姿もだ】


キンとサクラは頷き、ゴルチルの言に従った。


【そのまま魔王に向かえ】


二人と二神は、魔王に向かって進み始めた。




♯♯ 中央経路 拠点外 ♯♯


(出て来るかな……)


(ま、来なきゃ行くまでだ♪)


(そうですね……)

(あ……護竜甲殿、慎玄様に展開お願いします)

【はい、フジ様】

背の慎玄が気付き、微笑みで感謝を表した。


きゅる!


宙に歪みが生じ、闇の穴が開いた。


(すんなり出て来たなっ♪)


三竜と二神は散開し、身構えた。




♯♯ 南側経路 拠点内 ♯♯


(何も居らぬのぅ)


(こちら側、最後の拠点ですが……)


(あら♪ 籠が沢山♪)


(これも魔宝なのでしょうか……)


(気を感じないわ。ただの容れ物かしら?)


(この卵みたいな石、何なのかしら?)きゅる♪


(母様、触れない方がよろしいかと――)


(ただの石よ)お手玉ひょいひょい♪


(ワラワもっ♪)五つひょいひょい♪


(負けないわよ♪)だったら六つよ♪


(負けぬぞ♪)ならば七つ!


(母様……)(姫様……)遊んでいる場合では……




♯♯ 後方の拠点 ♯♯


 アオの周りに、魔王が発した闇が立ち込め、迫り来る。


 この闇……この感じ……呪かな?

(カルサイ様、お入りください)


アオとルリは、天に向かって何かを放った。


一拍置き――


落下の地響きを伴い、空間が水に変わった。


闇が溶け込み、消える。


魔王は水の外に出ようとしたが、穴も穿てず、次第に動きが封じられ、移動も出来なかった。


声無き絶叫……




♯♯ 北側経路 拠点内 ♯♯


 サクラの目の前に魔王が現れた。

――が、背を向け、辺りを探っているようだ。


 ホントに気づいて……ない? じゃあ――


至近距離で神以鏡から光を放った!


刹那、三方から光が飛んで来た。


魔王は不意討ちの光に包まれた。




♯♯ 中央経路 拠点外 ♯♯


 紫炎が豪速で拡がり、辺りが明るくなる。


魔王の姿は消えていた。


きゅっ!


チモニーが宙の一点を指すと、空間に僅かな歪みが生じた。


神が光を放ち、ハクが続く。

クロが突風で紫炎を煽った。


現れた魔王が光と紫炎に包まれた。

慎玄の放った雷の輝きで視界が純白になる。




♯♯ 北側経路 拠点内 ♯♯


 サクラが動きの鈍った魔王を掌握で掴む。


ゴルチルとコバルトとキンが姿を現し、絶叫を上げ続ける魔王に当てる光を強めた。


――静寂が訪れる。


【片付いたな】二神は浄化を始めた。




♯♯ 南側経路 最終拠点内 ♯♯


(この石の卵……何処かで……)

姫がお手玉を止めた。


(姫様、ご存知なのですか?)


(ふ~む……そぅじゃっ!

キュルリの卵じゃ!)


(この小さな竜ですか?)きゅる? きゅ♪

(この竜も卵から生まれるのですか?)


(然様じゃ。

アオが、こぅ掌に乗せて、サクラと二人で術を唱えたら孵化したのじゃ。

じゃが……あの時の卵は青かったのじゃ)


(これは、白い竜の卵なのでしょうか……?)


(魔王ならば黒じゃろうがのぅ……)う~む……




♯♯ 後方の拠点 ♯♯


 アオは拠点の外から、他の気の有無を確かめていた。


 闇も呪も、竜宝や魔宝の気も感じない。

 あ、竜骨が見えるね。

 背後から襲撃しようとしただけなのか?


(フジ、ありがとう。そっちは?)


(いえ、アオ兄様のお役に立てて嬉しいです。

こちらは終わった所です。

バナジン様とビスマス様が浄化しています)


(そう。無事で良かった)


【アオ、この牆壁は、ただの水ではありませんね?】


(はい。神聖光輝と聖輝煌水と色々です。

神以鏡を通じてフジに放って貰いました)


【では、もう浄化が終わった頃でしょうか……】


(そうですね。神モドキですから窒息はしないでしょうけど……

不十分なら光を浴びせるだけですね。

参りましょう)


 アオは拠点を包む巨大な水の牆壁を解き、曲空で拠点に入った。


戦っていた場所では、神モドキが呆然と宙を漂っていた。


カルサイが浄化を始めた。



♯♯♯



 その後は、追加攻撃有りと踏んで、更に慎重に進んだが、北側、中央経路共、難無く深魔界と魔界の境界まで到達した。


(この結界は、真魔界に行かないと解除できないんだね~)

サクラが地下魔界と深魔界を隔てる結界を探っている。


(まぁ、最初から、そう思っていたから問題無いよ)


(結界竜宝 埋めよ~)(そうだね)


 サクラが地下魔界側に曲空し、二人は魔王の結界を挟んで、新たな結界を成すよう竜宝を埋めていった。


(アオ兄、ずっと起きてたでしょ)


(サクラには隠しようが無いよね。

でも、どうしてルリには言わなかったの?)


(何か考えがあるのかな~って思ってね~。

ケンカになったら どぉしよ~って心配もしたんだよぉ)


(そんな事で喧嘩なんかしないよ)あははっ。


(ルリ姉、静かに怒ってるんじゃないの?)


(謝りこそすれ、怒るなど――)

(謝る必要も無いからね)


(ホント、仲いいんだから~)


(うん。そうだけど、何?)(はいはい……)


(ねぇルリ、何でサクラは、そんな事を改めて言う――ルリ?

どうして黙るんだい?

ねぇ、ルリ? どうして睨んで――えっ……)


(アオ兄、手が止まってるよ~)


アオは返事をせず、俯いたまま作業を再開した。


(アオ兄? ……どしたの?)埋めるの速いし~


サクラはアオを追いかけ、結界を挟んで顔を覗き込もうとすると――


アオは、くるっと背を向け、


(……ルリ姉?)


無言のまま、どこかへ曲空してしまった。


 一瞬しか見えなかったけど……

 ルリ姉……かわいい……


アオがルリに ぞっこんな理由が、解ったような気がしたサクラであった。



(サクラ、アオは?)クロが現れた。


(またルリ姉に縛られちゃった~)あはっ。


(で、どこに居るんだ?)


(わかんな~い)


(大丈夫なのか? あの二人)


(それは だいじょぶ~)


(そっか。ならいいけど……コイツら、どーすんだ?)


クロが持って来た籠の中には、すやすや眠る芳小竜達が入っていた。


(この籠、どしたの?)


(桜華様が、どっかから持って来たんだ)


(ふぅん。

次、俺とアオ兄が警護だから預かるね)


(ん。じゃ、頼んだっ)言うより先に曲空。


 クロ兄は、姫に まっしぐらだね~


 俺……ランに いつ会えるの?

 明後日の会議?


 そんなのって……


 これ早く終わらせて、

 ちょこっと行ってこよ~♪





 深魔界を東端の地下魔界との結界まで

制覇しました。

ほぼお留守で楽勝だったんですけどね。

東半分は既に放棄していたんでしょうか?

得たものの謎だらけです。



青(ねぇルリ、解いてよぉ)


瑠(自分で解けるのだろ?)


青(そんな事 言わないで、ね?

  って言うか、どうしてまた縛られないと

  いけないんだろ? 教えてよルリ~)


瑠(賢いのだから自分で考えればいいだろ)


青(もしかして……こういう嗜好が――)


瑠(違ぁうっ!!!!!!)眠りを重ねる!


青:…………


瑠(本当に眠ったのか?)ゆさゆさつんつん。


青:…………


瑠:ほっ……


青(だから、自分の天性には掛からないよ)


瑠(やはり自分で解けるのではないかっ!)


青(そうだけどね。

  眠らせて何がしたいのかと――)


瑠(もう知らぬ!)


青「ねぇキュルリ。

  母様は何を怒っているんだろうね」


 複製(ルリ)はキュルリを奪って逃げた。


青(ルリ~、酷いよぉ)



♯♯♯



赤「時々とんでもなく馬鹿なのだな……」


 心配になって様子を見たアカが呟いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ