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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
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深魔界1-楔を打ち込む

 進みます!


「アオ兄、これから どぉするの?」ポリポリ♪


「この子達に、魔王の闇の気配を覚えて貰うつもりだよ」

 これは、こっちかな……


 アオとサクラは、洞窟のアオの部屋で休憩していた。

芳小竜達は くっついて丸くなり、お昼寝している。


「それって……」


「うん。璧を貰った拠点の、すぐ南の拠点に行こうかと思っているんだけど」


「そんなサラッと自分()に帰るみたく~」


「深魔界は手薄だからね」パラパラパラ……


「言い切っちゃった……」ポリッ。


「魔王達は、真魔界で籠城したから攻めて来ないんだと思うよ」

 こっちに入れて――


「ふぅん……

でも、拠点に魔王いたよね?」カリカリポリ。


「最後の御老体の他は欠片じゃないかなぁ。

いやにアッサリ終わったからね」う~ん……


「留守だってバレないよ~に偽装?」


「だと思うよ」やっぱり入りきらないな……


「ねぇ、本より食べよ~よぉ」袖 掴む。


「あ……そうだね」本を持ったまま座る。


(アオ、こちらは皆 揃ったぞ)


(キン兄さん、すぐ行きます)


「アオ兄! 食べてからっ!」(そうだぞアオ)

【とぉさま~】きゅる…… きゅ~


「あ、起きたの? じゃ、行こうね」なでなで。


「無視しな~い!

もおっ! 食べるまで移動させないよっ」睨む。


「仕方な――あっ!」動き止まる。



「ったく! 世話の焼ける」食べ始める。


「ルリ姉、何したの?」


「念綱で縛った」(ルリ、解いてよ)(後でな)


「やるね~」あはは……


(ルリ~、解いてよぉ)(少しは休め)




♯♯ 地下魔界 ♯♯


 そして地下魔界に集合し、地下警護を魔人の軍に引き継いだ。


ルリが深魔界の地図を広げた。


(以前に得た拠点が、南端中央付近の、こちらです。

今朝の拠点が、その北東、こちらです。

二拠点間で今朝の拠点の南、この拠点を押さえれば、この三拠点で、深魔界に楔を打ち込んだ形に出来ます。

その西側に結界を成した後、東の地下魔界との境界に向かって、進攻するつもりです)


(なぁルリさん。アオは、どうかしたのか?)


(戦闘開始まで休ませます。それだけです)


(サクラ、夫婦喧嘩か?)

(違うよ~、食べないし休まないから~)

(強制休養ですか?)

(うん、それっ♪)

(あのアオに……凄ぇな……)

(念綱で縛って、治癒で眠らせたって~)

(お……おとなしく聞こう)

(ですね)(だな……)(うむ)


(これまでの拠点と同様、光に対する結界が成されている筈ですので、

アカ様、姫様、先行して神眼と掌握で結界魔宝を回収してください。

その後――)


(オレは?)


(神眼は姫様が最強であり、掌握が必要ですので、クロ様は後方より監視と供与をお願い致します)


(遊びではないのじゃ。我慢致せ)


(ありがとうございます、姫様。

アオは、深魔界は手薄だと考えております。

その通りであれば、この経路で進攻します。

後は状況次第となります)

地図に示しながら、話を進めた。


(で、子連れで行くのか?)


(この子達は闇に対しても、とても敏感ですので、魔王の闇を検知する為、お供させます)


【神は、俺と親父とオッサン、あと愚息。

それと、鍛冶屋と筋肉だ。

ヒヨッコ達は次回からだ】

コバルトの声が聞こえた。


(えっと……)


始祖(コバルト)様、カルサイ様、ゴルチル様、バナジン様、金虎様、ビスマス様ですね。

絆神様方は、次回から参ずると仰っております)


(よく分かるよな)

(始祖様には、よく絡まれるから~)

(慣れ、ですか?)

(うん♪ 始祖様語にも慣れちゃった~)


神達がサクラから出た。


(神様と言えども男性ですので、十二分にお気をつけください。

では、参ります!)一斉に曲空。




♯♯ 深魔界 ♯♯


 得ていた二拠点を繋いで囲む結界を東側に拡げ、ルリとサクラが成した闇と光の牆壁を盾にして南へと進み、若干の抵抗を蹴散らすと、欠片らしき魔王が退却し、三つ目の拠点は静かになった。


アカが結界を張り直す。


(アオ兄が言った通りだね~)


(そうだな。だが、慎重に行くぞ)(うんっ)


(チモニー、カロール、魔王の闇は覚えたか?)


【はい♪ かぁさま♪】【おぼえた~♪】


(似たような気を感じたら教えるのだぞ)


【は~い♪】三人、嬉々として片手を挙げた。


(これから一気に東部を制圧します。

光を持つ方は、後方で待機願います。

アカ様、姫様、結界魔宝を我々の近くに置いてください。

鍵の呪は触れても大丈夫ですが、他の呪には、くれぐれもお気をつけください)


アカと姫が頷き、曲空した。


ルリは勝闇(ショウアン)の壺を置き、サクラと二人、壺の口に手を当てた。

(頼んだぞ、勝闇)


【お任せくださいませ、ルリ王妃様】


すぐに結界魔宝が現れた。


【かぁさま、やみ つよいよぉ】

【おめめ いた~い】【ちくちく~】


(隠れていろ)よしよし。

(サクラ、呪を確かめてから触れろよ)


(うん……だいじょぶ)


サクラは、闇を纏った掌握で掴み、その指先から一瞬だけ光を放った。


(やっぱり、すぐ消されちゃう~)


結界魔宝を闇で包み、

(壊れないよぉにするからね。

だいじょぶだからね~)なでなで。


光臨鐘(コウリンショウ)で囲んだ場所に置くと、空かさず神が光を当てた。

【解呪完了だ】


(ありがとうございます)解除。



 次々と現れる結界魔宝の呪を解き、解除していく。


(クロ様、拠点結界の境界は?)


(遠ざかってる。進んでいいのか?)


(限界点までお願い致します)


クロの先導で、次の拠点の近くまで進んだ。


(クロ様、あの拠点に供与は届きますか?)


(任せろ♪)


(では、ハク様、フジ様、慎玄様。

この子を連れて、中央経路を進んでください。

闇を感じたら知らせてくれますので。

チモニー、頼んだぞ)【は~い♪】

地図を示し、ハクにチモニーを渡す。


アカと姫が戻った。

(まだ残っておるのじゃが、あとは、その場に行かねばならぬよぅじゃ)


(ありがとうございます。

目の前の拠点では、どちらに御座いますか?)


(一番上の部屋じゃ)


(よし! フジ、頼んだぞ!)掴む。

(ではっ)慎玄の手を取り、曲空。


(姫様、この南の拠点は如何ですか?)


(そちらは中程の階の真ん中じゃ)


(では、桜華様、紫苑様、珊瑚様。

南側経路をお願い致します)


三人頷き、姿を消した。


碧の光が追って動き、消えるのが、神眼にだけ見えた。


 妖狐王様だ~♪

 だったら南側は安心だね~♪




 フジが少し離れた場所に現れた。

(これですか?)(それじゃ♪)


勝輝(ショウキ)、あの闇は吸えるか?)もうひとつ壺。


【お任せくださいませ、ルリ王妃様】


(サクラ、私が掴む)

複製を出し、そこから掌握を伸ばした。

フジから結界魔宝を受け取り、光臨鐘の内に置く。

神が光を当て、解除。


ルリは拠点内部を掌握と神眼で確かめた。

(神様、お願い致します)


バナジンとビスマスがフジと共に、ハク達を追った。




 白九尾(紫苑)が戻った。

(私共は、結界魔宝探しを致しつつ進みます。

拠点の浄化はお願い致します)


(ならばワラワも参るぞ♪)紫苑に乗る。

姫の頭にキュルリが乗った。


(では、参りましょう)消えた。


紫苑が置いた結界魔宝を解除し、

(キン様、サクラ様、北側経路をお願い致します)

苦笑を浮かべた。


(えっ? 俺も?)


(アオが起きてしまった。

ここは私達だけで大丈夫だ)


(じゃ、行くけど……気をつけてね)


(サクラこそな)カロールを渡す。


キンとサクラに、ゴルチルとコバルトが付いて行った。




(クロ様、ハク様と合流してください)


(キン兄の方の供与は?)


(お二方共、昇華をお持ちですので、ハク様の方をお願い致します。

そちらは、供与も神眼もクロ様のみ。

よろしくお願い致します)


(ん、解った。任せろ♪)曲空。



 結界を成すアカと金虎の進行に合わせて、結界魔宝の解除場所を動かしつつ、ルリとカルサイは解除をした。


(ねぇルリ、そろそろ解いてよ)


(私がそう言って、すんなり解いてくれた事があるのか?)


(忘れた~)


(しっかり休め)ふんっ。


(お~い)

 これは、やけに頑丈だな……ん?

 ……まさか……!!


(ルリ! さっきの拠点だ!)解いて曲空!


【金虎様、こちらをお願いします!】

カルサイはアオを追った。





 これまでに得た拠点を起点にして、

北、中、南の3経路で東へ東へ――


〈北側〉キン、サクラ、カロール、

    ゴルチル、コバルト。


〈中央〉ハク、クロ、フジ、慎玄、チモニー、

    バナジン、ビスマス。


〈南側〉紫苑、珊瑚、桜華、姫、キュルリ。


〈浄化〉アカ、金虎。


〈後退〉アオ、ルリ、カルサイ。




 前日――


影「龍神帝王様、御呼びで御座いますか」


魔【彼奴等が、ここを攻めるようだ】示す。


影「では、守りを――」


魔【ここには罠を仕掛ける。

  おそらく彼奴等は、ここから東の結界へと

  侵攻しようとする筈だ。その動き有らば、

  東半分の者は、この策に従え】掌を翳す。


影「ははっ!」


魔【あの老い耄れが邪魔をせぬよう、

  素早く行動せよ】


影「ははっ!」

  いや、邪魔を阻止するのは

  貴方様にしか出来ないかと……


魔【早く行けっ!】


影「ははっ!!」



 暫くして――


影「あの、龍神帝王様――」


魔【今度は何だ?】


影「これは如何致しましょう?」


魔【捨て置け】


影「は? 熱心に研究なされていたと

  存じますが……」


魔【それは試作だ。

  成功した物は、既に植え付けておる。

  最高神ですら見つけられぬよう

  隠す事にも成功しておるのだ。

  それは、最早、用無しとなった物だが、

  今は時を稼ぐべきだ。その為に利用する】


影「時を稼ぐ……で御座いますか……」


魔【置いておけば不気味であろうし、

  彼奴等は調べようとするであろう。

  今暫し、時を要するのだ。今暫しな】


 魔王はニヤリとし、姿を消した。


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