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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
338/429

芳小竜6-やっぱり弟

 前話では、あまり芳小竜が登場しませんでしたが、今回は出ます。


♯♯ 天界 深蒼の祠 ♯♯


 アオとサクラは、深魔界の拠点から回収した璧達と話していた。


諳呪璧(アンジュヘキ)、一枚しかないねぇ」


「アカに増やして貰おう。行こう」曲空。



――赤虎工房。


 工房に出ると、アカもちょうど帰って来た。


「結界 終わったの?」「ああ」


「これ、諳呪璧。呪を跳ね返すんだ」


「皆に配りたいのだな?」「うんっ♪」


「材料はここに置くね。作り方は――」

アカが差し出した手に諳呪璧を乗せた。


「解った」返す。「お願いね」「うむ」


アカは奥に入り、アオは諳呪璧を壺美善(コビゼン)に入れた。


「アオ、迷子だ」芳小竜を連れて来た。


「ありがとう、アカ」受け取り、撫でる。


【あそぶ?】キュルリが出てきた。


【……いいの?】【うん♪ あそぼ~♪】

キュルリは手を取り、飛んだ。


「こっちだよ~」サクラが折り紙を出した。


【それ なぁに?】並んで、ちょこんと座る。


「見ててね~♪」折り始める。ぺたぱたぺた――



 アオはアカと話していたが、アカの背後の窓に微かな気配を感じた。


 何か隠れたよね……



「カブトだよ~♪」ぽこっ♪ ぽこっ♪


【わぁ♪】【あ……♪】


【とぉさま♪ 見て~♪】手繋ぎふよふよ~♪


【かぶ~♪】「カブトだよぉ」【かぶ♪】


「二人お揃いで可愛いね」にこにこ♪


【あれ?】【あ……】二人揃って振り返った。


【あそぼ~♪】窓に向かう。


アオも窓に向かい、開けた。

「隠れないで。一緒に遊ぼう」見回す。


窓際の壁に芳小竜が くっついていた。


「キュルリ、これ♪」【かぶ♪】持って飛ぶ。


【はい♪】二人で被せた。【いっしょ~♪】


「あちこち たっくさん隠れてるんだね~」


【サクラ~♪ もっと~♪】「うん♪」



「アオ、璧が光ったぞ」「あ、ありがとう」


「まだまだ見つかると思うが、本当に親になる気なのか?」


「そのつもりだよ」にこっ。


(実子が望めないから、なのか?)


(それも確かにあるね。

でも……それだけじゃないんだ。

心配してくれて、ありがとう)


(うむ……)



「サクラ、璧をクロに渡しに行こう」


「みんな、行くよ~♪」【は~い♪】


【とぉさま♪ みて~♪】手に手に竜。


「サクラ、凄いね」【すごいね~♪】


「フジ兄は、もっと凄いんだよ♪」


「ああ、そうだったね」病室で見たよ。


アカが暗室に向かった。

「ワカナが戻る。早く行け」扉が閉まる。


ほぼ同時に入口扉が開いた。


(ずっと隠れてるのかなぁ?)


(そうみたいだね)肩を竦める。


 二人は芳小竜達を連れて曲空した。



――ハザマの森、馬車。


「クロ、これ――どうしたんだ? この子達」

【サクラ~♪ かぶ~♪】【ね~サクラ~♪】


「カリヤが見つけて来たらしいんだよ。な?」

【みんなの~♪ つくって~♪】【かぶ~♪】


「カリヤ、皆、森に居たのかい?」「はい♪」

【りゅうも~♪ つくって~♪】【これ~♪】


「皆様、寂しそうにしておりましたので……」

「みんな、お外で遊ぼうね」【うん♪】きゅ♪


「最初は皆様お静かでしたが――」

「ワラワと遊んでおるうちに、元気になってしもぅてのぅ」


「まさか、姫があんなにチビッ子竜の扱いが上手いなんて、ホント驚いたよ~」


「そりゃ~」「十分、練習したよね」「うむ」


「練習? いつ?」「昔の事じゃ」「ふぅん」


「姫~♪ ソレなぁに?」「独楽(こま)じゃ♪」

「どぉするの?」 「こぅするのじゃ♪」


紐を巻き巻き、ヒュッ! くるるるる~

きゅるるっ♪【わあっ♪】【あそぶ~♪】


「此方ならば手で回せるのじゃ♪」

持たせて、手を添え「こぅじゃ♪」くるる~


きゃっきゃしている芳小竜達を眺めていたが、

「あ……これを渡しに来たんだった……」

来た目的を思い出した。


「これは諳呪璧。呪を跳ね返すんだ。

クロは女性になれないから持っていて」


「ふぅん……ありがとな。

なぁアオ、オレに何かあったのか?」


「いや。ただ、女性には無効な呪に、クロはかかってしまうからだよ。

術も何とか出来ないか探しているから、もう少しだけ待ってくれ」


「悪ぃな。皆に迷惑かけちまって……」


「考えたり探したりは、全然 迷惑じゃないから。

もしもクロが魔王に操られたら、本当に困るんだからな」


「本当なのか?」「当然だろ」

「大臣も?」「そうだけど?」「マジかよ」

「ずっと前から考えていたと言っただろ?」


「小器も入れられねぇオレなんかに、国を任せていいと本当に思ってんのか?」


「中の国では殿なんだよ?

その方がもっと重責だろ?」「う……」


「だから不安なんて無いよ」「でもなぁ」


「何もクロひとりに全てを担わせようと言ってるんじゃないんだ。

兄弟皆で担うんだから、そんなに重く考えないで欲しいな。

それに、まだまだ先の話なんだからな」


「そっか……」


「今は魔王を倒す事だけを考えろよ」


「そうだなっ」


【とぉさま♪ あそぼ~♪】ぴよぴよぴよ♪


「クロ、あの子達を見て、元竜が誰だか判るか?」


「ん? 元竜?

あの緑と黄色なら、個紋が見えるけど――」


「何方の個紋!?」


「オレが覚えてると思うのか?」「あ……」


「クロ兄、それエラそ~に言える事じゃないでしょ」


「だなっ」あははっ。


「アオ兄、玩具もらったから、家に連れてかない?」


「家って」「アオ兄の子供達の家だよ~♪」


「アオの……子供!?」「芳小竜だよ~♪」


「なんだキュルリかぁ」「みんなだよ~♪」


「それって」「うん♪ いっぱいいるよ♪」


「アオ、大丈夫なのか?」 「何が問題?」


「ただでさえ忙しいのに……」「そうか?」


「少しは自覚しろっ!」「別に大した――」


「ちゃんと食って寝ろ!」「そうするから」


「皆様ぁ、お食事は如何ですか?」


「カリヤ、ありがとな。アオ、食うぞ!」


「そんなに引っ張らなくても――」

【とぉさま~♪】【あそぶの?】きゅる?


芳小竜達がアオに くっつく。


「アオ、先に食えよ」睨む。


【クロ、どぉしたのぉ?】よしよし。


サクラと姫、大笑い。


【おこっちゃダメでしょ】いいこいいこ。


「キュルリ……オレは悪くないと思っ――

アオ! 笑ってねぇで食えって!」


【とぉさまぁ、クロ、おねむみたい~】

【みんな、こわがらないでねぇ】

【おこりんぼむしさん、とんでけ~】

キュルリが忙しなく飛び回る。


「クロ……キュルリに気を遣わせてしまうとは……

情けないであろ? 落ち着くのじゃ」よしよし。


「そりゃねぇよ姫ぇ……」ガックシ。



(姫、キュルリが言っているコト解るの?)


(いいや。じゃが、何とのぅ解るのじゃ)


(凄いね)(うん♪ スゴい~♪)


(クロの姿が変わろぅとも、キュルリにとっては、クロは弟なのじゃろ?)


(そぉみたい~)


(真、健気で愛らしいのぅ)


三人、キュルリとクロを見て微笑む。


(キュルリは歌ぅておるのか?)


(うん、懐かしいな……子守唄だよ。

小さい頃、爽蛇がよく歌ってくれたんだ)


(俺、アオ兄に歌ってもらった~)


(さよぅか……)

 皆、母からではないのじゃな……


 姫、ありがとう。だから――

(変えるからね)


(ん? ……あ……うむ)


(心配しないでね)にこっ。


 伝わってしもぅたのか……


姫が頬を染めて俯いた。


「そこっ! おい、アオ!

オレの姫を口説くんじゃねえっ!」「あ……」


【あああ~、クロ、おこらないでぇ】


「ほんに、おねむやもしれぬ……」ため息。


芳小竜達がクロに集まり、一斉に よしよし。


「困った奴じゃのぅ」

(姫、穏やかにね)(任せおけ♪)


「クロ、交替まで中で休もぅぞ」にこっ。


「おう(♪)」連れられて馬車に入る。



「クロ兄が、あんななっちゃうなんてね~」


「うん。あんなに ぐずぐずしていたのは何だったんだろうね……」


クロに くっついて行っていたキュルリが飛んで来た。


【クロ、おおきくなっても おんなじねぇ】


「ん?」


【おねむ、ぐずぐず、おんなじ~】


ぷっ♪ 「そうだね」くすくす♪


「お兄ちゃん、大変だね~」きゃははっ♪





 どんどん増えます芳小竜。

とっても子沢山になってしまったアオとルリです。



凜「ホントに大丈夫なの?」


青「特にお世話の必要も無いし、あの子達は

  ちゃんと理解しているんだからね。

  子供をひとり育てるよりもずっと楽だよ」


凜「そっか。食費も要らないもんね」


青「遊んで満足したら眠るんだ。

  ぐずる事も無いから、楽なものだよ」


桜「クロ兄より、ず~~っと育てやすいかも~」


凜「キュルリにまで、あんなふうに

  言われてしまうなんてね……

  ホント、困ったものだわ」


桜「天性なかなか伸びないし~」


凜「そういえば、クロの首飾りにも

  神眼鏡の小さいの付いてるよね?」


桜「うん♪ なかなか開かないから補助♪

  姫の簪もねっ♪」


凜「あ~、クロが求婚した簪ね♪」


桜「そぉそぉ♪」

青「姫はもう必要無いくらいに、クロの天性を

  使い熟しているよ」


桜「自分の天性も自然と開いちゃったもんね」


凜「えっ!? いつ!? 姫の天性って!?」


青「竜人に成った時に得たんだよ。

  で、すぐに開いていてね。

  俺が真神界に飛ばされた時には、

  すっかり使い熟していたよ」


桜「だよね~。供与、いっちばん凄かったもん」


凜「えっ? 姫も供与なの?」


桜「違うよ~、昇華だよ♪」


凜「一時的パワーアップね。

  そういうの! ちゃんと教えてよねっ!

  書かないまま進んじゃったじゃないの!」


桜「ふええっ!?」

青「俺達のせいじゃないだろ」


凜「教えてくれなきゃ書けないのぉ」


青「仕方ないな……次からは気をつけるよ」


凜「ありがとぉ、頼りにするよぉ」


桜(いっちば~ん仕方ないヒト~♪)

青(駄目だよ。聞こえるんだからね)


凜「何よぉ」


青(ほらね。聞こえるんだから)

桜(うん……あっち行こ~)

青(そうだね。行こう)曲空。


凜「え? 逃げないでよぉ~」


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