表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
333/429

芳小竜4-成長する竜宝

 芳小竜を元竜の配偶者に会わせてみました。


♯♯竜骨の祠♯♯


 アオとサクラは、グレイスモーブとグリッターローズが、配偶者の芳小竜と話しているのを静かに見ていた。


【とぉさま、ありがと~♪】【ありがと~♪】

リーフとアンバーが笑顔を向け、手を振る。


【リーフ、『父様』とは?】


リーフとアンバーがアオの胸に飛んだ。

【とぉさまなの~♪】【みんなのね~♪】


【アオ、王の次は、竜宝の父になったのか?】


「いえ、それは流石に烏滸(おこ)がましいですよ。

芳小竜達の親になろうと思っているんです」


【芳小竜は沢山いるのか?】


「はい。隠れ住んでいるようです」


【探し出すつもりなのだな? その顔は】


【すると、アオは全ての芳小竜の親になるつもりなのか?】


「はい、妻も望んでおりますので。

それに、芳小竜には親が必要だと思うんです。

なんとなくですが……

芳小竜は愛情を糧にしていて、受けるだけでなく、与える事でも元気になるし、成長すると思うんです」


「そぉだね。キュルリはクロ兄のお世話して、かなり成長したよね」


【芳小竜が成長を……】


「確かに、呪で幼子に戻されたクロを弟と思い、世話をしているうちに、しっかりしました」


「一層アオ兄らしくなりましたよ」


「隠れていたサクラも出てきたよね」


【何故、サクラまで?】


「孵化を急いでいたので時短したんです。

それを吸収してしまったようで――」


【とぉさま♪ サクラ~♪】ふよよよ~ぴとっ♪


「どしたの?」なでなで。


【よんでるの~】きゃは♪ くすぐったぁい♪


【本当だな……それはアオではないな】


「えっと……俺も、それはフリだった筈……」

「キュルリ、何方が呼んでいるの?」


【むこ~に いるの~】飛び始める。


【行ってやれ。私達は眺めているから】


 リーフとアンバーは、アオ達が話しているうちに水晶に戻り、抱いたまま、安らぎ微笑むような表情で眠っていた。




♯♯♯



 アオとサクラがキュルリに付いて行くと、水晶の間で先祖達が待っていた。


【私達の芳小竜も生きているのでしょうか?】


「術で消滅しなければ生きている筈です。

今、竜宝の国の家に居るのかどうかは分かりませんが、必ずお探し致します!」


「アオ兄、水晶を運ぼうよ」


「御先祖様方、水晶をお示しください」



 アオとサクラは光っている水晶を持ち、芳小竜が居る『森の家』に曲空した。



【あ……】きゅる? きゅ……


「大丈夫だよ。おいで」


きゅ~♪ きゅるるる♪


元竜の気を感じた芳小竜達が飛んで来た。


ルバイルが出した台座に水晶を並べると、芳小竜達は各々の元竜に寄り添った。


アオとサクラは遠巻きに見ている芳小竜達の方に行き、手招きした。

「死者の国までは探せないけど……出来るだけ探すからね」


【とぉさま……】きゅる~ ぴとぴとぴとっ。


【あのね……】「何だい?」【いいの】「ん?」


【んとね~、みんな あいたいけど、あえなくてもいいって~】


「ありがとう。皆の気持ちは解ったよ。

元竜と会えても、俺はずっと父親だからね」


 元竜が神竜なら拒絶も有り得る。

 それは死別で会えないよりも辛いよね……


「アオ兄、そろそろ交替 行かなきゃだよ」


「そうだね。

御先祖様、後程お迎えに参りますので、ごゆっくりなさってください。

皆、また後でね」


アオとサクラはルバイルに礼をし、曲空した。




♯♯ 地下魔界 ♯♯


 警護を交替して、真夜中――


「ん?」


「どしたの? アオ兄」


「竜骨の祠で、キュルリもリーフもアンバーも話していたよね?」


「あ……そぉだね……キュルリ♪」


【なぁに?】ぴょこっ♪ 「話してるね~♪」


「聞けるようになったのかな……

グレイスモーブ様とグリッターローズ様は、神の血が濃いから、聞けても不思議ではないんだけど……どうして俺達が……」


【とぉさま♪ あそぶの?】


「これ、外してね。はい」【うんっ♪】


「アオ兄、それなぁに?」「知恵の輪だよ」


キュルリは夢中で奮闘している。


「ルバイル様が俺達の何かを開いてくださったのかな……」


「わずかな神の血を目覚めさせた、とか?」


「ああ、そうかもね」


【またっ! お前ら、勝手に拾うなっ!】


「始祖様、当たっていたのですか?」


【やったのは爺様とオッサンだ!

親父とお袋には言うなよ!

いや、誰にも言うなっ!】


「お礼は言ってもよろしいでしょうか?」


【こっそりとな】


「お教えくださり、ありがとうございます」

二人は笛を吹き始めた。


【やれば出来るじゃないか♪】


静まり返った地下魔界に優しい音色が流れた。




 そして夜が明け――


【魔王は何してるんだろうな】


「そうですね。不気味ですね」


【進まないのか?】


「絆神様をお待ちしているのですが、まだ掛かりますか?」


【ヒヨッコ軍団だからなぁ】


「一箇所、早く向かいたいのですが」


【なら、オッサンを呼んでやる。

交替したら行くぞ】


「ありがとうございます!」


【とぉさま♪ これも とれた~♪】


「頑張ったね、キュルリ」なでなで♪


【これ、おもしろ~い♪】えへへ~♪


「やっぱり『アオ兄』だね~」

「サクラも知恵の輪が好きだったよ」

「そなの?」「うん、ヒスイもね」「♪」



「あ……」


「サクラ、どうしたの?」


「アオ兄、俺 先に行きたいトコがあるんだ」


「うん、どこに行くの?」


「魔竜王国の東に五つの祠があるんだ。

そのひとつが璧の祠なんだよ」


「何か判るかもしれないね」「うん♪」




 交替の為、キン、ハク、フジ、慎玄が来た。


「アオ、この後、執務 頼めるか?」


「ハク兄さん、またですか?

呪を跳ね返す璧を探しに行きますので、その後なら構いませんよ」


キンがハクをチラと睨み、ハクは外方向いた。

「執務は、どちらでも構わない。

王から話しが有るそうなので行って欲しい」


「解りました。

一箇所目はサクラと二人で行きます。

二箇所目はフジの力が必要なのですが、よろしいでしょうか?」


「うむ。三人で気を付けて行くようにな」


「はい、ありがとうございます」礼、曲空。



――魔竜王国、東の五祠。


 璧の祠に入ると、何かが隠れたような気がした。


【あそぼ~♪】キュルリが飛んで行く。


(祠の周りにも居るみたいだね)(うん♪)


【我等が王、如何なさいましたか?】


「呪を跳ね返す璧を探しているんだ。

何か知らないかい?」


【その璧は、諳呪璧(アンジュヘキ)で御座います】


「ここにいるの?」


【いいえ。随分前に、闇色の者が持ち去りまして御座います】


「やっぱり~。ありがとね」

「術の対象を変える竜宝や魔宝は存在しないのかな?」


留尊鐸(ルソンタク)を利用すれば、可能かも知れません。

留尊鐸は対なる物、共鳴致します。

その共鳴に依り、初期の対象を無にも出来るので御座います】


「ありがとう、厨子璧(ズシヘキ)


【私の名を……】


「話してくれたからね、判ったんだ」にこっ。


【感激至極にて……】言葉が続かない。


「もっと気を楽にしてね。

ただの竜の若造なんだから」


【そんな……畏れ多い事で御座います】


「いや、いいから――」

【とぉさま~♪】

芳小竜の手を引いてキュルリが戻った。


アオが二人を受け止める。

「もう隠れなくていいんだよ」なでなで。


【あったかい……】【あったかいね~】


「外の皆も、おいで」「恐がらないでね~」


璧達も口々に呼び、色とりどりの小さな竜達が、おずおずと祠に入って来た。


アオとサクラが両手を広げ、微笑むと、嬉しそうに、その胸元に飛び込んだ


「家には、たくさんの芳小竜達が居るんだよ。

皆、俺の子供なんだ。君達も来るかい?

俺の子供になってくれるかい?」


芳小竜達は小さく鳴いて、嬉しそうに頷いた。


「サクラ、留尊鐸を知っているかい?」


「うん。老竜の神殿にあるよ」


「じゃあ、頼んだよ。

俺は、この子達を連れて帰るからね。

フジの所で会おう」


「うん♪」





凜「アオ~、どこ行ったの~?」


青「竜骨の祠前で笛を吹いていただけだよ。

  始祖様が寄りたいって仰るから」


凜「あれ? サクラも? フジまで?」


桜「呼ばれた~」

藤「はい。呼ばれました」


凜「前から気になってたんだけど、

  その笛、色着いてるよね?

  何か意味あるの?」


青「今まで表現してもらえなかったけど、

  俺のは青、フジのは紫、サクラのは橙だね。

  始祖様、この笛は?」


始【精霊の虹笛だ。赤から順に、活化(あか)親和(だいだい)

  清福(きいろ)治癒(みどり)沈静(あお)破邪(あい)浄化(むらさき)だ。

  アオのは藍色だ】


桜「あれ? 竜綺(リュウキ)竜綬(リュウジュ)と おんなじ~」


青「そうだね。繋がりが有るのかな?」


桜「調べよ~♪」


青「うん、そうしよう。

  始祖様、もしかして、笛色の効果と

  曲の効果は、相乗効果を起こしますか?」


始【気付いたか。その通りだ】


青「それなら回復は、治癒の緑で奏でた方が

  良くありませんか?」


始【そりゃそうだが、藍と紫の方が必要だし、

  サクラには親和の方が合ってるだろうが】


青「確かに……」


桜「他の笛は? 他の兄貴達にあげないの?」


始【そうだな……ちょうど七人だな。

  アオ、渡しとけ】


青「はい。全て、飾り付きですか。

  ドルマイ様に叱られない程度に

  呼び集めてくださいね」


始【う……】



 次回から、またオマケを挟みます。m(_ _)m


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ