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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
332/429

芳小竜3-森の家

 ルバイル様もアオ達の御先祖神様でした。


芳小竜(ホウコリュウ)について、もう少し話しましょう】


ルバイルは、飛んで来た光の球を返しながら言った。


芳小竜達が、その球に群がり歓声を上げる。


【あの子達……あんなに はしゃぐのですね……】

目で追い、微笑み、話を続けた。


【芳小竜は本来、解呪の為の消耗竜宝です。


ただ、元竜が強い力を持っていると、個別の魂を持つ『写し身』と成り、術に依って滅される事も無く残ってしまいます。

そして元竜が亡くなると、自ら身を(ひそ)め、静かに時を過ごします。


元竜が神竜であれば死別は無いのですが、神竜の間では、呪を吸収した芳小竜を手元に置く事は、禍の元と信じられており、手離してしまうのです】


「キュルリは、ずっとアオ兄と いっしょにいるけど、禍なんて無いよ」


【そのようですね。

ですが……神竜が一度 信じた事を覆すのは、とても難しい事なのです】


「この個紋のように……ですか?」


【そうですね。

個紋も禍の元と信じられておりますね】


「きっと、みんな、元竜さんと いっしょにいたいんだろね……」


【あの子達は、幼子のようでいて、しっかり理解しております】


「諦めているのですか?」


【己の意味を知り、状況も、元竜の心も理解し、受け止めているから身を潜める。

それが諦めなのか否かは分かりませんが……


私は、神界、天界のあちこちで静かに暮らしていた彼らを、魂主の元に連れて参りました。

魂主が居て、仲間も居る、ここならば少しは安らげるかと……


でも、貴殿方の方が、あの子達の気持ちをよく理解しているようですね。

何も制約など有りません。

彼らが少しでも幸せになれるよう、お願い致します】


キュルリが少し元気のない子を二人 連れて来た。


【ルゥだっこしてって、いってるの~】

ルバイルの掌に乗り、見上げる。


【はい。心配しないでくださいね、キュルリ】


【うん♪】


ルバイルは二人を胸元に抱いた。

【眠くなりましたか?】きゅる…… ぴと。


キュルリは、ふよふよ浮かんで、ルバイルを見上げていた。


【キュルリは遊んでいてよいのですよ】


【うん】アオを見る。


「おいで、キュルリ」にこっ。

嬉しそうにアオの胸に飛び込んだ。


芳小竜達が球を突くのを止めて、アオ達を見ていた。


「みんな、おいで~」サクラが両手を広げる。


躊躇っていたが、ひとり動いたのをきっかけに、皆 寄って来た。


「たくさん遊んだから、そろそろ寝ようか。

皆、一緒にね」


アオは複製を作り、自身はルリを主にした。

【かぁさま♪】ぴとっ♪


キュルリの声が合図になったようで、芳小竜達は、ぬくもりを求めるかのように、四人に くっついて眠った。


(やっぱり、さみしいんだね……)なでなで。


(そうだね。元竜が天竜王族なら、竜骨の祠に連れて行けばいいんだけど……)


(クロ兄の神眼だったら、元竜さん見えるのかなぁ?)


(見せてみようか)(そうしよ~♪)


(なぁ、アオ……)(ルリ、どうしたの?)


(皆、私達の子に……とりあえず、でもいい。どうだろう)


(ルリ、いいのかい? 俺は大歓迎だけど)


(いいも悪いも、私が提案しているのだ。

聞くまでもないだろ)


(なら、この子達が起きたら聞いてみよう。

ルリ、ありがとう)


(こういう形の子沢山も面白いのかもしれぬ、と思っただけだ)


【アオ、ルリ、この祠と同じ材料で、森に家を建てましょうか?】


(ありがとうございます! ルバイル様!)



♯♯♯



 翌朝。


【では、すぐに掛かりますね】


「よろしくお願いします、ルバイル様っ♪」


【お任せくださいね。

アオ、大丈夫ですか?】


『はい……何とか……』

きゅるきゅる騒ぐ芳小竜の山の中から声。


「みんな~♪ 父様が つぶれちゃうよぉ」

サクラが笑いながら近寄った。


きゅる♪【サクラ♪】【あそぼ~♪】きゅ♪

サクラにも群がった。「ぅわわっ!」尻餅。


【とぉさま だいじょぶ?】てっぺんのキュルリ。


「大丈夫だよ」少し動けるようになった。


「皆、ちゃんと これからを考えるからね。

べったり一緒には居られないけど、こっちの家にも戻って来るからね。

俺は皆の元竜ではないし、親としての経験も無いから、至らないとは思うけど……

でも一生懸命、皆を大切にするからね」


更に、きゅるきゅると甘える。


「みんなは元竜さんに会いたいの?」


【わかんない……】【いないもん】

話せる子達が呟いた。


【んとね~】潜り込む。【あったか~い♪】


【うん♪】【とぉさま あったか~い♪】


「このままがいいって事?」


【うん♪】きゅる♪

一斉に嬉しそうな声が上がった。


【サクラも あったかいよ~♪】

【ルゥも すき~♪】ふよふよ~♪


ルバイルが戻って来た。【移動しましょう】



 アオとサクラは、複製をいくつか作り、芳小竜達をくっつけて新居に移動した。


「あ……魂主さん?」【はい】


「一緒に住んでくださるのですね?」


【よろしいのでしょうか……王の御宅に】


「安心できます。どうかお願い致します」


【ありがとうございます、我等が王】


「みんな、良かったね~」きゅるきゅる♪


【皆、安心してくださいね。

王達は、また来ますから、そろそろ離れてあげてくださいね】

ルバイルが笑いながら言った。


【子供達、我等が王は、全ての竜宝・魔宝の王なのです。

親と御成り頂けた事はこの上無き事なのですよ】

魂主が優しく微笑む。


【その幸せと、絆を確かめたら、お邪魔をしてはなりませんよ】


芳小竜達がアオとサクラから少し離れ、宙を漂う。


「ちゃんと帰って来るからね。

心配しないで」にこっ♪


「俺も来ていい?」きゅ~きゅ~ぴとぴとっ!


「サクラ、不安にさせちゃ駄目だよ。

ちゃんとサクラも来るから安心してね」


「来ていいんだ~」あはっ♪「遊ぼ~ねっ♪」


きゅーっ!♪ 大歓声♪


「それじゃ、出掛けるね。

皆、仲良く遊んでいてね」光の球を投げた。


【私が見ていましょう】ルバイルが座り、

【リーフ、アンバー】小声で呼んだ。


二人が寄って来た。【父様とお出掛けですよ】


「おいで」二人はアオの胸元に くっついた。




♯♯ 竜骨の祠 ♯♯


 アオとサクラは芳小竜を掌に乗せ、グレイスモーブとグリッターローズに会った。


【まさか、リーフの……】【アンバーなのか?】


【妻が亡くなり、姿が見えなくなったが、消滅したのではなかったのだな……】


【モーブ?】「そうだよ」なでなで。


【モーブ、どこ?】


【私も死んだのだ。

だから触れられぬ……】悔しさが滲む。


【ローズも?】


【残念だが同じだ……】


サクラが竜魂の水晶を持って来た。

リーフとアンバーが水晶に寄り添う。

【モーブいた~♪】【ローズみつけた~♪】


【妻の気だ……懐かしいな……】


【今となって、神に成らなかった事を激しく後悔するとはな……】


【ならば、神に成るか?】「あ……始祖様……」


【お爺様、今更 成れるのですか?】


【生まれ直さねばならんがな。

お前らなら成れる。


今なら、お前らの絆神が最高神だしな。

これから王子達の所に卵が わんさかだ。

好きな卵に込めてやろう。


このチビ達は消滅しないんだから、ゆっくり成ればいい。

残念だが、お前らの配偶者には、死者の国に行こうが会えはせん。

そのチビ達に込められた気が、この世に残る最後の欠片だ。

大切にするんだな。


お前ら、親父にも礼くらい言えよ】

コバルトはニヤリとして消えた。


 流石、始祖様。たまには良い事を言う。


【『たまには』は余計だ!】笛から声がした。





凜「"【】"で話してる皆さんの声って

  音で聞こえてるの?」


桜「凜も聞いてるでしょ」


凜「聞こえてるけど、実際どうなのかな?

  って思ったのよぉ」


桜「芳小竜とかの鳴き声は、ちゃんと耳に

  聞こえてるよね、アオ兄」


青「聞こえているね。

  でも話し声は、神様もそうだけど

  心に聞こえているよね。

  始祖様、そうですよね」


始【そうだな。対象者に直接 送る感じだな】


凜「で、神様間だけで話してるのが

  アオとサクラに聞こえちゃったのは?

  対象外なんでしょ?」


始【そこは天性だからな。

  コイツら、神の力な天性を複数

  持ってやがるからな】


 アオとサクラ、顔を見合わせる。


凜「どんなどんな?♪」


始【それは、これからなんだろ?】


凜「書きたいから教えてくださいよぉ」


始【コイツらには聞かせられないからな。

  付いて来い】


凜「はいは~い♪」


桜「俺も行く~♪」


始【真神界にか?】


桜「始祖様のケチ~」ぶぅ~

青「凜が入ってもいいんですか?」


始【そもそも三界に存在している事が

  おかしい奴だろ】


青「確かに……」

桜「凜だもんねぇ……」


凜「好きに言ってなさい」じと~


始【お前ら、怒らせるなよ】ヤバいだろ。


青&桜「はぁい……」

(パワハラってコレ?)(たぶんそうだね)

【だからヤメロって!】(神様も怖いの?)

【ペンは剣より強いんだっ!】(そっか~)

(なんか違うような……)【喩えだよっ!】

(凜は何より強いの?)(『俺達』かな?)

【とにかく逆らうなって!】(解ったよぉ)

(魔王は怖くないけど……)(アオ兄も?)

【アオ、倒してくれないか?】(無理です)


凜「コバルト様♪ 行きましょ♪」


始【あ? ああ、付いて来い】


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