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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
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対呪戦10-ただいま

 解呪の真っ最中なのに、クロが消えました。


「クロ!!」(いない!?)(どこっ!?)


 クロが消えた瞬間、別の掌握がクロを掴み、魔法円に戻した。

その掌握が消えると同時に、クロから呪の闇が流れ出始める。


(間に合った……のか?)


神々が頷き、微笑む。


アオとサクラ、ホッと ため息。


(キュルリを追っちゃったかなぁ?)


(うん、クロは遊んでいるつもりだからね)

(ルリ、ありがとう)


(子供だからな。動く前提で見ていた。

この解呪、最大の難点は、芳小竜(キュルリ)と器の出来でも、その置き換えでも無く、対象者(クロ様)がおとなしく解呪を受けられるか、だろうと思っていた)


(流石、母だね)(揶揄うなっ)

(本当に感心しているんだよ)

(いや、だからそんな――)

(ありがとう)(……うむ)


サクラがキュルリをアオに渡した。


疲れたらしく、キュルリはアオの掌で丸くなって眠った。


(キュルリ、ありがとう)アオとルリが囁いた。



 呪の放出が終わるまで、クロは驚いた表情のまま静止していた。


(これってカナシバリ?)(そうかもね)

(後半は固めてもいいんだね~)(うん)

(ルリ姉とキュルリ凄いね)(そうだね)

(クロ兄の事)(俺達より解っていたね)


放出が終わり――唱術が終わった時、クロは光に包まれた。


そして――


光の中から『姫、ただいま』クロの声がし、


光がクロに吸い込まれた。


「クロ♪」「おう」


神々が頷く。姫がクロの胸に飛び込んだ。


芳小竜の形の器が、光の粒となって天に昇る。


神々が微笑み、神界へと帰って行った。


「ありがとうございました!」

アオとサクラが深々と頭を下げる。


クロと姫も、続いて頭を下げた。



(アオ兄、あっち行こ)(そうだね)

二人は奥の部屋に行った。



(俺、キン兄とこ行くね)曲空。


(また、気を遣いおって……)


(そうだね)くすっ。


(アオ、さっきは眠っていなかっただろ)


(そうだね)あはは……


(笑ってないで早く寝ろ)


(うん。ルリも、ね?)(私は別に……)

(そう言わず休んでね)(……うむ……)




♯♯ 深蒼の祠 ♯♯


 サクラは、バナジンの気に曲空していた。

「バナジン様、ランと水晶は――」


【水晶は暫くの間、天藍と共に。

いつでもお話し出来るよう置きます。

虹藍は魔竜王城に送りましたよ】


「ありがとうございます!」


【クロは無事に、元の姿に戻ったのですね】


「はい!」にこにこ。


【良かったですね。

では、早く魔竜王城にお帰りなさい】


「はい、失礼します」曲空。



――地下魔界。

「キン兄~♪」ぱふっ♪


「皆、無事で何よりだ」


「まだ何も言ってないよぉ」


「その顔と声で十分だ」にこり。


「そぉ? じゃ、朝、交替するねっ」曲空♪



――魔竜王城。

「ラン~、ごめんよぉ」


「お帰りなさい、サクラ。

神様から聞いたわ。何事も無くて良かった……

お疲れさま」ぎゅっ。


「心配かけちゃったね……

でも俺、絶対だいじょぶだから。

何があっても、絶っっ対ランの所に帰るから」


「うん……」瞳が潤む。


「俺、孵化した瞬間から『神の子』って言われてたんだ。

だから絶対! だいじょぶなんだよ♪」


「うん……」「ラン……」(ありがと)(うん)

(それと、ごめんね)(うん……)

(大好きだよ、ラン)(私も……)




♯♯ 竜宝の国 祠 ♯♯


(にしても、ここ、どこなんだ?)


(竜宝の国じゃ)


(何で、んなトコに居るんだ?)


(何でも、よかろ)


(いや、よくないだろ)


(気にせずともよいのじゃ)


(ふ~ん……)


(クロは……何も覚えておらぬのか?)


(いや……変な夢を見ていたような気分だ)


(ワラワも前に、そのよぅな気分になったぞ)


(いつ?)


(東の国に行った時じゃ)


(ああ、あれか……気にすんな)


(ならば、クロも気にするでない)


(ん~……ま、いっか。姫がここにいる。

それだけでオレは満足だからな)


(さよぅか……ワラワも同じじゃ。


のぅ……竜人になって以降、ずっと思ぅておったのじゃが……


竜の一生は長い。

人に比べれば、とてつもなく長い。

永遠とも思える程に長いのじゃ。

それでも……クロは、ずっとワラワと共に居ってくれるのか?)


(竜にとっては当たり前の長さだからな。

ずっと一緒だ。絶対にだ!)


(さよぅか……)


(それにな、王族の魂は永遠なんだ。

だから、ずーっと、ずーーーっと一緒だ)


(ワラワも永遠なのか?)


(ああ。個紋があれば永遠なんだ。

爺さんが、そう言ってた。

姫もほら、光ってる)


(真、クロのも光っておるのぅ)


(個紋と個紋を近づけると光るんだ。

子供の頃、兄弟バラバラだったから、会うと、こうやって光らせて喜んでたんだ。

絆を確かめてたんだな……きっと)


(では、クロとアオが じゃれあうなど無かったのか?)


(記憶に無ぇなぁ……聞いた事も無ぇ。

長老の山(ヤマ)に修行に入ってからでも、兄弟だけで会う事なんて滅多に無かったからな……)


 あ……アオには暫くの間、

 毎日シゴかれたよな……

『ジャレあう』には程遠いけどな。


(クロとワラワの子には、そのよぅな思いは決してさせぬぞ!

中の国には、そのよぅな理不尽なシキタリなど無いからの!)


(アオ大臣も、変えてくれるって言ってただろ。

これからは大丈夫だよ)


(さよぅか……安堵致したぞ。

真にアオは凄いのぅ。サクラも、じゃが……)


(おいっ、また乗り換えるとか言うなよ)


(そのよぅな意味では無い。

クロは助けて貰ぅても、そのよぅに――)


(助けて……貰った?

……ま、いつもの事だけどな……)


(もしや……先程、『ただいま』と言ぅたのも覚えておらぬのか?)


(何だ? それ???

姫に呼ばれて目が覚めたんだ。

で、あぁ……寝てたんだな、って思ったんだ)


(では、あれは寝言か……)


(寝言は、サクラが得意なんだがなっ)あはは♪


(響くのぅ……それに、広すぎて落ち着かぬ)


(確かにな……ここは曲空してもいいのかな)


(入った時は、神様に光で包んで貰ぅたぞ)


(聞いてみる)(アオ、サクラ)


(クロ、何だ?)


(なぁ、ここは、曲空して出てもいいのか?)


(出る方は大丈夫だ)


(そっか。ありがとな)


(クロ達は明日の夕方まで休みだよ)


(そんなにいいのか?)


(姫と、ゆっくりしていて)


(ん~じゃ、屋敷に居るから、何かあったら絶対 呼べよ)


(うん、ありがとう)


(アオ……ありがとな)


(ん?)


(オレ、また世話になったんだろ?)


(俺は何もしていないよ)


(んな事 無ぇだろ)


(助けたのは、神様とキュルリだよ)


(キュルリが?)


(あとはルリかな)


(サクラは?)


(うん、サクラも頑張ったね)


(じゃ、アオも、だろうがっ)


(俺は別に……)


(とにかく! ありがとなっ!)


(いや……私は――)


(ルリさん!?)


(アオが引っ込んでしまった)


(アオもルリさんもキュルリも、親子で助けてくれて、ありがとな)


(私はともかく、伝えておく。

私なんぞと話すより、姫様と話せ。では、な)


(お~い)(…………)(しょ~がねぇなぁ)



(姫、出ていいって。屋敷に行こう)(うむ♪)

クロは姫の手を取って曲空した。



――室内。


(クロ……ここはアオの屋敷じゃろ?)


(あ……つい……でも、落ち着くだろ?)


(確かにのぅ……)苦笑。





 読まなくてもクロが戻れるの決定!

――なサブタイトルでしたが、

とにもかくにも一件落着です。


キュルリも寂しくなるとは思いますが……

その点も大丈夫です。



凜「バナジン様は深蒼に残られたんですね?」


バ【はい。こちらも放置できませんので。

  代わりに父上様が】にこっ。


凜「あ~、それで~」


バ【何かありましたか?】


凜「ちょっと絡まれただけで~す」


バ【それは、すみま――】

始【お前が絡んで来たんだろーがっ!】


バ【父上様……】


始【バナジン! コイツの機嫌なんか

  とらなくていいからなっ!】


凜「言うだけ言って消えちゃった……」


バ【すみません。騒がしくて】


凜「何がどうなったら、あの親から

  こんな素敵な神様が生まれるのやら……

  まさしく奇跡ってヤツ?」


バ【私は神界で育ちましたので】


凜「あ……つまり育児放棄?」←納得!


バ【いえ、ゴルチル様が拐ったとか……】


凜「やるなぁ♪」ゴルチル様、グッジョブ!


バ【しかし天竜王家存続の為、

  天界に戻されたのです】


凜「どうして、そこまで?」


バ【それは……祖父母も知らない事ですので、

  オフレコでお願い致します】


凜「は~い♪」オフ♪


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