表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
324/429

対呪戦9-解呪へ

 どんなに困難であろうが解呪します!


 アオとサクラはルバイルと、クロの解呪について話していた。


「置き換える方法には制約が有りますか?」


【アオとサクラが行う事、それだけです】


「掌握を使っても構いませんか?」


【ああ、お二人共お持ちなのですね。

安堵致しました。それならば――】


話を詰めていく。


【――あとは、器の出来次第です】


「その事でしたら御心配には及びません」

信頼に満ちた表情で二人は頷いた。


ルバイルは微笑んだ後、表情を引き締め、

【では、カルサイ様と共に準備を進めます。

交替後は、器が出来上るまで、気を鎮め、しっかり休んでください】

真神界に戻った。


「アオ兄、交替したら、どこ行く?」


「また洞窟かな。落ち着けるからね」


「ん♪ 良かった~」


「ん?」


「兄弟の家だから~♪」


「……そうだね。

俺の部屋も在って……嬉しかったよ」


「あったりまえでしょ。俺達の家なんだから~♪」


「うん……ありがとう」




 夜になり、キンとハクが交替の為、地下魔界に来た。


「キン兄さん、流した通りです。

これから術の準備に行きますので」


「うむ……くれぐれも気をつけるようにな」


「はい。それでは」アオとサクラは曲空した。



「兄貴、今度は何なんだ?」


「クロの解呪だ」


「また、あの二人かよ……」


「そうだな……自分が情けなくて、辛いな……」


「危険なのか?」


「下手をすれば、あの二人とアカも呪に掛り、キュルリが消滅する。

当然、クロも戻れない」


「魔王の狙いは、そこなのか?」


「そうなのかも知れぬな」




♯♯ 竜ヶ峰 洞窟 ♯♯


「あ、アオ兄の本、こっちだよ~」奥へ。


二人で木箱に掌を当て、「せ~のっ♪」運んだ。



――アオの部屋。


「壁の棚には 収まりきらないな……」


「多すぎだよ~」


「う~ん……壁 掘ろうかな……」


「後にして、練習しない?」


「そうだね」


床に布石像を置き、サクラが掌握で取り去り、アオが掌握で別の布石像を置いた。


「これを素早く、正確に、なんだね……」

「そぉだね~、手つなぐ?」「そうだね」


二人は目を閉じ、神眼で見ながら、もう一度――


「うん、この方がいいね」「うん♪」


数回、繰り返して目を開けた。


「ディアナ様に魔法円を描いて頂こう」

「竜宝の国に行こっ♪」曲空。



――竜宝の国、祠。


 クロと姫が、光の球で遊んでいた。


きゅ~る! アオとサクラに まっしぐら。


「少し遊んであげよう」「そぉだね」


アオ、サクラ、姫が投げ合う球をクロが奪う。


「さすが素早いね~」きゅるっ♪


「しかも曲空するんだね」きゅっきゅっ♪


「風も投じる故、気をつけよ」きゅるる♪


「ホントだ~」消す。「危ないでしょ」きゅ?

「姫に当たったら、どぉすんの?」きゅるっ!


クロは姫の前に飛んで行き、ペコッとした。


「可愛いのぅ」なでなで。 きゅ~る♪


「クロは、このままでも幸せなのかもしれないけど」

「姫のために練習しなきゃね」

アオとサクラは頷き合った。


「クロ、姫と遊んでいてね」きゅる♪



「ディアナ様、術の練習をしたいので、魔法円を描いてくださいますか?」


【実際のものと同じ大きさなら、よいのかしら?】


「はい。クロの立ち位置と、キュルリの位置もお願い致します」


ディアナは頷き、杖を出して振った。


術文字の無い魔法円の内に、二つの丸。

【中央がクロ、その正面がキュルリです】


「ありがとうございます」

キュルリの位置に布石像を置く。


【術の、その部分だけ唱えましょう】


アオとサクラは手を繋ぎ、目を閉じた。

ディアナの声が美しい音色のように響く。


(今!)サクラが取り去り、アオが置く。


【お見事です。

流石、お二人の息は、寸分も違わず合っていますね】

ルバイルが来ていた。


持っていた竜宝を置き、

【あとひとつ、カルサイ様が作っておられます竜宝と、器が出来ましたら、こちらで術を行います。


アオ、サクラ。

練習したい気持ちは、よく解りますが、休んで体調を整えてくださいね】


二人は深く礼をし、奥の部屋に入った。


「アオ兄、クロ兄の保存食は?」


「持っているよ」袋を出す。


「食べよ~♪」


ポリポリ「おいしいよね」「うん♪」ポリッ。


二人、同じように、これを渡した時のクロを思い出してしまった。


「成功させるよ」「もちろんっ!」




 夜中、アオとサクラは同時に目を開け、半身を起こした。


(そろそろかな……)


(うん……広間に行ってみる?)



 二人が広間に戻ると――


【とぉさま~♪ サクラ~♪】ぴよぴよぴよ♪

キュルリが手を振っていた。


「おかえり、キュルリ」


ふよふよ~ぴとっ♪

【とぉさま♪ こっち~】アオを引っ張る。


【みてみて~♪ サクラもっ♪】


「すご~い……」「うん、そっくりだね」


キュルリそっくりな黒い芳小竜――みたいな石像が、ちょこんと座っていた。


キュルリが、その横に座る。【いっしょ~♪】


「かわいい~♪」なでなで♪【きゃあ♪】


【見事な器です。感服致しました】

ルバイルが近寄って来た。


【カルサイ様も、間もなく御見えになるでしょう。

では、器を仕上げましょう】


ルバイルは小さな魔法円を描き、中央に器を置いた。


【左右に立ち、向かい合ってください。

ディアナ様、器の背後にお願い致します】


ルバイルが術を唱えると、アオとサクラから光が煌めきながら器へと流れた。


器が光を帯びる。


唱術を終えたルバイルが安堵の息をつく。

【素晴らしい器です。

これならば成功するでしょう】にこっ。




 カルサイ、ドルマイ、ゴルチルが現れた。


【アオ、サクラ。

実際の術中では、降術の光がキュルリからクロへと流れ、

術の区切り以降は、呪がクロから流れ出ます。

その間は、まさに一瞬。

集中して機を計ってくださいね】


「はい、カルサイ様」

二人は真剣な眼差しで頷いた。



 カルサイが杖を振り、魔法円を描き、ルバイルが竜宝を配置している間にも神が増えていた。

その神々が魔法円を囲んだ。


【キュルリ、お願いしますね】【はいっ】


キュルリが導かれた位置に座る。


「クロ! おとなしくするのじゃ!

遊ぶのではないのじゃっ!」

姫がクロを追いかけ回していた。


(眠らせる?)


(それをしていいのなら、大神様が大勢なんだから、している筈だよ)


(そっか)


【クロ、こっちだよ】きゅる?【おいで♪】


きゅ~♪ キュルリに ぴとっ♪ きゅるるる♪


【クロは こっち。にらめっこだよ♪】きゅ♪


【どっちが ながく じっとしていられるかも きょーそーだよっ♪

クロ、できるかな~?】きゅっ!


静かな にらめっこが始まった。


【クロ、がんばるね~ 】きゅる!

【ボクも まけないよっ】きゅるるっ!


神々が頷き合い、カルサイが術を唱え始めた。

アオとサクラは、カルサイの背後で身構えた。


唱術が続く。

キュルリから光がクロへと流れ始めた。


 この光が途絶えた瞬間、その時に――


アオとサクラは耳を澄まし、気を研ぎ澄まして、その時を待った。


(今!)

光の放出が途絶えた瞬間、サクラはキュルリを持ち去り、アオが器を置いた。

(成功!)きゅる!


「クロ!!」(いない!?)(どこっ!?)





凜「あ……コバルト様もいらしてたんですか」


始【来てたら悪いのかよっ!】


凜「いや、意外で……」


始【囲んでるのは皆、先祖な大神なんだよ!

  俺が来なくて どーすんだっ!】


凜「だからこそ来なくても――」


始【何が言いたいんだ?】


凜「な、何もっ!」


始【フンッ!】


凜「あ! どうして魔法円を囲むんですか?」


青「術や対象に力を注いだり、

  呪が飛んでしまわないように、

  壁になる為だよ。

  だから比較的簡単な術だと、天竜でも

  いいんだけど、

  大掛かりな術の場合は、大神様に

  囲んで頂かないと成功しないんだ」


凜「アオ~♪ 助かったぁ」


始【お前が声掛けたんだろーがっ!】


凜「いや~、聞いたものの、お答え頂けるのか

  不安だったんですよ~」


始【俺だって大神なんだぞっ!

  そのくらい説明出来るんだからなっ!】


凜「そういえば……

  どうやって神様になったんですか?」


始【俺くらい力が強ければなぁ、

  体を切り離すだけで勝手に成れるんだよ】


凜「嘘でしょ……」


始【お前なぁ……】


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ