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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
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静けさ5-人神器

 アオとサクラは、深魔界を探ったり、

何やら試したりしているようです。


♯♯ 深魔界 ♯♯


『アオ、話したいのだが――』

珍しく、キンから、そう持ち掛けられたので、夕刻の交替で組む事にした。


「俺も いっしょ~♪」きゅるきゅるる~♪


はしゃぐサクラの頭の上で、キュルリもはしゃいでいる。


「サクラ、あとひとつ試すんだからね」


「そいえば、ルリ姉は?

気配が消えたみたいだけど……」


「疲れているみたいだから眠らせたんだ。

必死で呪に抗っていたんだろうね」


「そっか……」「始めるよ」「うんっ」


アオとサクラは向かい合い、掌を合わせ、光を纏い、神眼と掌握を発動した。


二人から発せられる光が拡がっていく。


(アオ兄、神眼と掌握、両方 使って探る方法、いつ見つけたの?)


(ルリが、よくやっているんだよ)


(ルリ姉すごいね~)


(たぶん俺より使い熟しているよ)


(クロ兄と姫みたい~)きゃははっ♪


(あっ……)(サクラ、どうしたの?)

(何かある? いる? なんだろ?)


拡大を止め、探り直す。

アオもサクラの掌握の位置を見つけ、探った。


(これかな?)(うん、何か埋まっているね)

(出してみるね)(気をつけて)(うん……)


サクラの掌に現れた。

(鈴? 鐘なのかなぁ?)(変わった形だね)

(竜宝でも魔宝でもないね)(該当しないね)

(なんだろね~)(人神様ならご存知かもね)

(人神様?)(昔この地は人界だったからね)


神眼と掌握の拡大を再開する。


(俺そろそろ限界~)(うん。俺も無理かな)

(縮める? 解除?)(縮めてみよう)(ん)

(ゆっくり慎重に、探りながらね)(うん♪)



掌握を手繰り寄せるように縮小する。


(あれ? また埋まってる)(こっちにも有るよ)

(拡げる時は見えなかったよねぇ?)(そうだね)


まだ有る筈と思いつつ縮めていった。


(うん。縮める時の方が見易いね)(そぉだね~)

(また有るね)(あ♪ 掴む時、よく見えるよ♪)

(掌握が強めの方が探し易いんだね)(だね~♪)


そうして、すぐ近くまで縮小し、解除した。


「十五個……同じ物みたいだね」浄化。


「魂、確かめるね」掌を翳す。「入ってるよ」


サクラは謎のそれをひとつ掌に乗せ、

「目覚めてね……」

光で包み、術を唱え始めた。


地面に置いたままの物も、同調しているのか、光を帯びたので、アオはサクラを囲む形に、それらを置き直した。


一瞬の輝きがサクラを包み――


【貴殿方は……?】


「天竜のアオとサクラです」


【天竜……地下人界に……そうですか……】


「貴方は、こちらが人界だった頃に作られたのですね?

今、こちらは魔界なのです」


【ああ……何か暗き者が、暴虐の限りを尽くし、人神様方が私達を地中に込めた事迄は思い出しました。

では、その後この地は魔界となったと……

人神様は今どちらにお住まいですか?】


「人神様方は、天の神界にお住まいです。

お連れ致しますね」


【ありがとうございます】


「貴殿方のお仲間は、他にもいらっしゃるのでしょうか?」


人神器(ジンシンキ)の仲間、という事ですか?】


「人神器と仰るのですね。

そうです。いらっしゃいますか?」


【おそらく、皆、私達と同様に、地中で眠りに就いていると思います】


「探しまして、皆様、人神様の元にお連れ致しますね」


【ありがとうござ――ああ、失礼致しました。

貴殿方は竜宝の王様なのですか……

存ぜぬ事とは申せ、甚だしい御無礼を――】


「そんなふうに言わないでぇ。

俺達、ただの竜なんだからぁ」


【そうは仰られましても――】「いいのっ!」


「本当に畏まらないでください。

竜宝達と友達になる為だけに、王を引き受けただけなんですから」


「そぉなんだよ~、みんな友達なんだ♪

だから人神器の みんなとも、友達になりたいんだ♪」


【勿体無き御言葉にて――】「だ~か~ら~」


【……ありがとうございます】「友達ねっ♪」



 二人は人神器を掌に盛り、曲空した。



――星輝の祠。


「カルサイ様、深魔界の地中で見つけました人神器なのですが――あ……」


近寄りながら話していると、人神の姿が見えた。


「蓮仏様、お越しくださり、ありがとうございます。

こちらの人神器達をお持ち致しました」


【それは、古の光臨鐘(コウリンショウ)……

貴殿方は龍神帝王の直ぐ近くまで進行しているのですか?】


「少しだけ深魔界――地下人界に入りました所です。

その光臨鐘とは、どのような人神器なのでしょうか?」


【光を導き、無から光を成す物です。

人は多くが火も雷も持たぬ無属性ですので】


「無から光……無属性から光が……そうか!

蓮仏様、光臨鐘を使わせて頂けませんか?」


【はい。では、調整致しましょう】


「アオ兄、武器にするの?」


「うん。それもあるけど、光属性の為の道を作りたいんだ。

真魔界の結界を解除する時のね。


昨日の、光を封じる結界魔宝にも、光でなければ解呪出来なくしていたからね。

きっと光排除の結界魔宝にも、光が必要なんだろうと思うんだ。

今度こそ神聖光輝では誤魔化せない。

そんな気がするんだよ」


「神様が解かないとダメとか?」


「そう。だから道が必要なんだ」


【アオ、無茶はしないでくださいね】


「はい。一歩一歩、確実に進みます。

その為にいろいろ試しているのですから」


【また深魔界に行くのですか?】


「いえ、この後は警護を交替しますので」


【では、私も参りましょう】


「スミレ様が修行中だから、ですか?」


【私はスミレと、ドルマイはヒスイと絆を結びましたから、共に戦いますよ】


「カルサイ様……御自ら……」


【私自身、最高神としても、この戦を傍観など出来ないのです。

それに……息子の監視もしなければなりませんので】


アオとサクラ、じっと笛を見る。


――が、気配は有るものの、声はしなかった。




♯♯ 地下魔界 ♯♯


 そして夕刻、警護を交替した。


「アオ、あの呪は、本当に大したものでは無いのか?」


「いえ、単独でも、場合に依っては非常に危険です」


「『場合』とは?」


「アカのように並外れて精神力が強いとか、クロのように望みが明確な場合は、たいした事にはなりません。

ですが、望みが複雑であったり、実現困難であったり、秘めた望みが有ると、暴走する恐れが多分に有ります」


「『暴走』とは具体的には?」


「解決には結びつかない破壊行動を起こします。

本人は意識を失っています。

ですので、思考は停止しています。

叶える為に、どうすれば良いのかを考える事が出来ないのです。

その状態で望みは膨らみ、叶わない事への苛立ちも肥大します」


「それで、見境の無い破壊行動へと『暴走』するのだな?」


「はい。アカですらも、自分から工房へは行けませんでした。

放っておけば暴走したでしょう。


ルリには悪かったのですが……

確かめる為に少し焦らした所、すぐに狂暴化する事が判りました。

俺を求めながらも、俺を殺そうとする。

その矛盾すらも解らないのです。


それに因って実現不可能となった場合――」


「死ぬまで破壊し続ける、か」「はい……」


「秘めた望みがある場合、叶えられないから暴走しちゃうの?」


「まず、表面上の望みをいくら叶えても呪が解けない。

なかなか言ってもくれないから、いずれは暴走したんじゃないだろうか。


ルリは意識を失っていても、その望みは叶わない事が分かっているから、抗い続けていたんだと思う……」


「解けているという事は、叶えたのか?」


「反則的に……

ルリが叶ったと認めてくれたから……」





若「あら? アカ、もう戻っちゃったの?」


赤「む……?」


若「可愛いのにぃ」


赤「あの方がいいのか?」


若「そうじゃないけどぉ」


赤「けど?」


若「みんなに見せた~い」


赤「む……

  兄弟皆、同じだ。サクラに頼め」


若「あ、そうね♪

  アオ様も、そうよね♪

  お願いしてみようかな~」


 はしゃぐワカナの後ろで、アカは静かに

ため息をついた。



桜「え? 俺って いつでもアンズになると

  思われちゃってるの?」


青「なるんじゃないのかい?」


桜「え~っ、ぷぅ~。

  アオ兄がルリ姉で行けばいいのに~」


青「ルリが主になるならね」


瑠「嫌だ!」


青「だ、そうだよ」


桜「そぉなの?」


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