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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
306/429

深魔砦1-生きている石像

 アレコレ封じられているようですが、

アオもサクラも緊迫感は無さそうです。


♯♯ 深魔界 拠点 ♯♯


(どうやら、光だけでなく、術や技も封じられているみたいだね)


(出ないんじゃないから、なんか中途半端だよね~)


(不思議な感じだね……まるで異間平原だね。

ああ、神楽の風穴にも似ているかな?)


(あ♪ それっ! どっちも似てるよね~)


(アオ、魔宝が他の部屋に有る。

この変な結界の元ではないか?)


(ああ、これだね……神眼は使えるね。

なら、掌握も……うん、使えるね)

魔宝を引き込んだ。


(これ……止めるには、光が必要だよ。

呪がかかってる)


(今回は、かなり巧妙だね。

天性は使えるんだから――)


アオが考え始めた時、天井から魔王の闇が噴き出した。


(もおっ! 光が使えないのにっ!)


ルリ(アオ)の複製が分離する。

(ルリ、気をつけて!)(解っている)


複製(ルリ)アンズ(サクラ)は、闇の層を作り、天井から部屋の高さ半分くらいまでを埋めた。


(吸着 出来るとは思わぬ方がいいだろうな。

しかし――)

複製(ルリ)は、その層の下に、闇の牆壁を作り支えた。


本体(アオ)は人々を掌握で出しながら、光拒絶の魔宝を探していた。


 天性は使えるが……

 何かに縛られている感が有るな。

 それに、竜宝を使う力にも制限を感じる。


 何かに似ている……?


 相殺か?

 しかし、相殺は光の技。

 魔王には使えない筈。

 闇で真似たのか?


(アオ、牆壁の限界が近いぞ!)牆壁を重ねる。


(ルリ姉、支えるの俺だけでいい。

アオ兄と一緒に人を出して!)


(ならば、掌握だけは外すぞ)(うん!)



(フジ!)

 ……遮断されているのか。

 それなら、千里眼、フジに――


『はい。アオ兄様』


「そっちは大丈夫かい?」


『はい。追加はありません』


「フジ、鏡を持ってるかい? 何でもいい。

……鏡に掌を当てて、神聖光輝を放って。

……うん、お願いね」

迸案鏡(ヘイアンキョウ)、フジの鏡に繋いでね。

具現環(グゲンカン)、実体化お願いね)


【お任せください、我等が王】


本体(アオ)は、迸案鏡と一緒に(つか)を握り、蒼牙で宙を斬った。


神聖光輝の水竜が次々と立ち昇り、闇の層を泳ぐように飛ぶ。


闇の層で捕らえている魔王の闇が、水竜に喰われているように消えていく。


鏡から溢れた神聖光輝が、結界魔宝に滴り落ちた。


呪が消える。


(アオ兄、こっちも♪)魔宝を差し出す。


(アオ、これも頼む)掌に魔宝が現れる。


次々と神聖光輝で呪を消し、結界を解除した。


(光 出る~♪)ぽ~ん♪


きゅるるっ♪ 追いかけて、ふよふよ~


「フジ、助かったよ。ありがとう。

そっちは大丈夫かい? ……そう、よかった」


【――のか? おい、返事をしろ。

アオ、サクラ、聞こえるか?】


「はい、聞こえました」鏡に向かって話す。


【結界が有ったのか? 鏡を繋ぎ直したぞ】


「はい。解除したところです。

人と魔人を出しますので、お願いします」


【少し待て。天界に移動する】


ルリ(アオ)アンズ(サクラ)は鏡を外し、建物の外に曲空した。


【異空間経由だ。安心して送り込め】


「ありがとうございます、ゴルチル様」




 魔人と人を天界に送り込んだルリ(アオ)アンズ(サクラ)は、聳え立つ塔を見上げた。


(さて……

俺達が来ている事は知られている筈なのに、攻撃して来ないのは何故だろう)


(気を消して潜んでるのかもだけど、静かすぎるよね~)


きゅる!


(アオ、最上階に何者か(ひそ)んでいるぞ!)


ルリ(アオ)アンズ(サクラ)も探る。


(結界魔宝は、これだ)掌に現れ、光に包まれる。


(ありがとう、ルリ)解除。


(魔王だけど、現魔王じゃないね~)


(あっ!)(消えちゃった……)


「ここを浄化しよう」「罠あるかも~」

「当然有るだろうね」「老練なヤツね」


ルリ(アオ)アンズ(サクラ)が再び入ろうとした時――


「待てよ!」クロ、姫、フジが現れた。


「そっちも放っとくのマズいでしょ」


「キン兄とハク兄が来たから大丈夫だ」

闇障鐸(アンショウタク)はキン殿に渡したぞ♪」


「そっか。キン兄なら察知できるもんね」


「知ってたのか?」


「俺達に出来る事は、同じように出来るよね」

「元だからね~」


「ここに居たのは過去の魔王だから、かなり巧妙な罠を残している可能性が有る。

十分、気をつけてね。行くよ」曲空。


「姫、神眼 全開だ」「おぅよ!」

「フジ、先に行け。後ろは任せろ」「はい」



 各々、慎重に進む――


(キン兄達 呼んだの、ゴルチル様かなぁ?)


(たぶんね)


(絆竜じゃない俺達を気にかけてくれるのって――)


(うん、御先祖様なんだと思うよ)


(やっぱり~♪

それに、最高神(カルサイ)様より偉い神様なんだよね?)


(うん。話し方がね、そう思うよね。

前の最高神様なのか……

ドルマイ様のお父様とかなのか……

カルサイ様が気を遣ってるよね)


(うん。明緑(ミンリー)様に話す時の俺と、おんなじよ~な色になるでしょ?)

ちょい照れ~


(そうだね)あはは……(扉だね。広間かな?)


ルリ(アオ)アンズ(サクラ)は突き当たりの扉に掌を当て、中を探り始めた。


(おい! その扉の向こう、何か隠れてるぞ!)

(妙な闇を発しておる! 気をつけよ!)


(凄いな……闇で何も見えないのに……)

(さっすが『海』だね~♪)

(ルリ、見えるかい?)

(二体だ。闇を噴出している者と……何だ?)

(どぉしたの? ルリ姉)

(全く動かぬ者……石か? しかし魂は有るな)

(生きてる石像?)(そんな感じだ)(ふぅん)


ルリは、掌握で室内を探っていたついでに、結界魔宝を取り出した。


(この闇……これが、スミレ様が察知したものか……

男は入ってはならぬぞ)


(ルリさん、もしかして……それ――)


(もしも入ったならば、今日は私が桜華様の代わりをするからな)


(フジ、ここで待つしかない)

(クロ兄様、何故ですか?)

(フジ、お願いだから、そうしてね)

(アオ兄様まで……)


(アオ、サクラ、準備はいいな?

姫様、よろしいですか?)(あいなっ!)乗る。


ルリ(アオ)アンズ(サクラ)が、神以鏡を合せ鏡にして光を溜め込み――

(姫、目を閉じて!)(行くぞ!)曲空。



――放った!


一瞬、輝きだけの世界となり――


色が戻ると――


(闇 出してたヤツ、どこ?)皆、神眼で探る。


(部屋の外じゃっ!)(しまった!)


扉ごと壁が崩れ落ちた。

舞い上がる埃の向こうに、闇と二体の竜影――


(あちゃ~)(こんなに早く)(操られるなど)


(仕方のない奴らじゃ)豪放水!


(そうだなっ)相殺の球を放つ。


(おやすみっ)眠りの球を放った。



 ルリ(アオ)アンズ(サクラ)は、二つの相殺の球に片手ずつを当て、もう一度 光を放った。


(何をしたのじゃ?)


(眠らせて、浄化したんだ。

毒を撒かれても大変だし、骨折もしたくないからね)

(アオ!)


(骨折じゃと?)(気にしないで~)きゃはっ♪


(して、闇の元は何処じゃ?)また探る。


(また隠れちゃったね~)キョロキョロ(え?)


ズズ、ン……グググ……ズズ、ズ……ギギ……


背後から重々しい音が響き――


(石像……だよね?)(歩いておるのぅ)


ギシギシ、グググ……と軋みながら手を上げ――


放たれた闇黒色の塊が迫った!





前【忌々しい王子達は罠に掛かったぞ!】

  ふははははっ!


魔【余裕を感じますが……】


前【まだまだ、こんなものでは無いわ!

  幾重にも罠を仕掛けておる!

  よく見ておれ!】わははははっ!


魔【はぁ……】


前【魔神界の結界も破壊したし、最早

  憂いは無いな】フフン。


魔【いえ。魔神界の結界は、竜神が新たに

  成しており、地下魔界との通路も

  作られてしまっております】


前【お前……それを指を咥えて見ておったのか?】


魔【『見ておれ』と仰ったのは、貴方様では

  ありませんか?】


前【馬鹿かっ!? この愚か者めが!!

  むざむざ作られおって!!】ぐぬぬぬ……


魔【それも含めての策かと――】


前【ぅぐっ……と、当然だっ!

  その程度、見越しておったわ!

  しかし今は天竜王子達だ!

  彼奴等を捕らえ、配下とすれば

  神界を覇するも容易き事!

  我が策、(しか)と見ておけ!】


魔:魔神界の事、知らなかったんだろ?

  手落ちだろ? どうする気だ?

  俺は知らぬぞ。己で何とかしろよな。

  拠点(こっち)だって、アイツら、絶対 余裕だよ。

  ま、俺は見てるだけ、だからな。


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