竜王族8-新たな大臣
カルサイ様は最高神様ですが、
ゴルチル様が最強神様なのかもしれません。
♯♯ 天界 星輝の祠 ♯♯
【キュルリ、戻って構わぬぞ】
きゅるきゅるる~♪
キュルリが飛んで来て、アオの胸に くっついた。
「何を言ってるのか分かるといいんだけどね」
きゅるるきゅる♪
【カルサイが来た、と――本当だな。
どうした?】
【ディアナ様が、ゴルチル様とお話しなさりたいと仰っておりますので、交替に参りました】
【そうか】
きゅるるっきゅるる~♪
【遊びに行くのではない。
アオに遊んでもらえ】
きゅる♪ ぴよぴよぴよ♪
【アオ、気を付けて進めよ】消えた。
きゅるるきゅるきゅる~♪ ふよふよよ~♪
【はい。今度、一緒に参りましょう】
「カルサイ様、キュルリは何と?」
【ディアナ様と遊びたいそうですよ】
「それは……畏れ多い事ですよね?」
【ディアナ様も、キュルリをお気に召したようですので、きっと遊んでくださいますよ】
きゅるっ♪
「かつての最高神様だったのですよね?」
【そうです。遥か昔ですが……】
【カルサイも私も、ディアナ様に憧れ、修行に励んだのですよ】
ドルマイが現れた。
【絆神達の修行はどうですか?】
【順調よ。
アオ、深魔界を進むのよね?】
「はい。お待ちするつもりでしたが、攻められ、深魔界に入ってしまいましたので」
【では、修行の区切りのよい所で、達している所までを解放致しましょう。
明日のお昼くらいには出てくると思うわ】
【では、その頃に……】頷き合う。
【アオ、それまでは無理をせぬよう】
「はい。カルサイ様、ドルマイ様。
それでは失礼致します」礼、曲空。
【アオは どこまで気付いているのかしら?
お祖父様の事は、まだかしらね……】
【なんとなく祖先でないかとは思っているのではありませんか?】
【サクラも、だけれど……
こんなにも離れているのに、神の血が濃過ぎるわ】
【だからこそ可能性が有る。
そうではありませんか?】
【そうね……
本当に終わらせてくれそうよね】
【コバルトは?】
【おとなしく見守っているようよ】にこっ。
♯♯ 外周・巽の祠 ♯♯
「サクラ、任せっきりで、すまない」
「癸から乙まで終わったよ♪」
「今日は、そのくらいでいいんじゃないか?
城に戻らないと虹藍様が心配するよ」
「じゃ、あとの祠の竜宝 置いとく~
アオ兄は天竜王城?」
「呼ばれてるからね」
(カルサイ様、癸から乙までの四祠、整いました)
【ありがとう、サクラ。
浄化が終わりました竜宝・魔宝は、どうしましょうか?】
(巽の祠にお願いします)
【はい♪】(ドルマイ様だ~♪)
「城まで いっしょ~♪ せ~のっ♪」
――天竜王城。
アオが執務室に入ると、キンだけが机に向かっていた。
「キン兄さん、話というのは俺の将来について――ですよね?」
「うむ。大婆様から伺ったのでな」
「ひと晩かけてですか?」
「いや、ここに戻るとハクがサボるからな。
ボタンの所で、その話をしていたのだ」
「俺の希望と考えは、受け入れられるものでしょうか?」
「私は賛成だ。現王も反対はしないだろう。
ハクは騒ぐだろうがな」
「俺は一方の大臣より、両国の間で調整役をしたいんです。
どちらにも肩入れしない立場で」
「天魔両国に渡る新たな大臣だな。
アオがそうなってくれれば、ひとつの国のように繋がる事が出来る。
私は兄弟皆一緒がいい。
だからサクラが離れる事が辛かった。
しかし、止める事など出来ぬ。
その上、アオまでもが行ってしまうのではないかと、気が気では無かったのだ」
「キン兄さん、俺は昔から――」
「解っている。私達を補佐する事、それだけを見て、ここまで励んできた事は……
だからこそ悩んでいるのではないかと、大婆様の所に行ったのだ。
勿論、ここに有った書類を見て、一層 離したくないとは思ったが――
それだけに、私には思いつきもしない事を考えていたと知らされ、アオならば両国の大臣すらも成せると確信した。
だから、その才を私達――天竜王国だけでなく、魔竜王国にも存分に生かして欲しい」
「そんな大仰に言われる程のものはありませんが、精一杯 両国に尽くしたいと思っています。
キン兄さん、ありがとうございます」
(ボタンさんにも、そうお伝えください)
(何故 分かったのだ?)
(なんとなくですよ)
「ハク兄さんも」机を見る。
「やっぱバレてたか~」机の下から出た。
「ほらな、兄貴。言ったろ?
アオにはバレるって~」
「ハクが居ると話し辛いと思っただけだが」
「何で そうなるんだよぉ」
「睨むから」「そうだな」
「口悪いし」「確かにな」
「手が早い」「その通り」「あのなあっ!」
「ほら」「おい」「いーかげんにしろっ!」
「話しが出来んだろ。
だから、そこで気を消していろと言ったのだ」
「兄貴ばっか いいカッコしやがって~
俺も反対なんてしねぇよ」ふんっ!
「いいんですか?」
「アオは何事も手抜き出来ねぇからな。
両方に首突っ込んでても問題ないさ」ニヤッ。
扉が叩かれ、コハクが入って来た。
「アオ、来ていたのか……丁度いい。
話が有るんだが――まぁ、ここでいいか」
「何でしょうか?」
「キン、ハク、追加だ。頑張れよ」
「はい」キンが書類を受け取った。
「ゲッ……こんなにぃ」ポスンと座り込んだ。
二人は机に向かった。
「アオ、今、地下のどの辺りなんだ?」
「深魔界に入った所です」描きながら――
「魔王は遠いのか?」
「現魔王なら、今日も戦いましたが――
目指すのは初代ですので、まだまだです」
魔王城の位置を書き込む。
「ふむ……では、難しいか……」
「何が、ですか?」
「いや、次代の事は王太子に任せるが、今、政に加わって欲しいと思ってな」
「父上は何と?」
「随分前から言っているよ。
アオが王族会を解体してから一層な。
だから手始めにキンの補佐にしたんだよ」
「そんな前から……」
「一旦は完全に諦めていたんだが、最近また言い始めてなぁ。
止めていたんだが、書類を読んで考えを改めたよ。
この国に必要だとな」
「アオとサクラは主戦力ですから、ムリですよ~」
ハクが、もう顔を上げている。
「サクラは王として、どうしているんだい?」
「謁見などは複製を座らせています」
「ああ、この前の――サクラも出来るのか……」
「はい。ですが、サクラも書類を溜めていましたから、そういう処理は難しいのだと思います」
「そうか……仕方ないな。
今日の会議では、再検討案を見た皆の顔が明るく、晴れやかだったのだがな」
「あれで最善なのかどうかも分からなくて……
ですから、もっと沢山の事案に当たりたいとは思っているのですが……
現状では――でも、方法を探します」
「この国の大切な宝だ。
無理をさせる訳にはいかない。
待っているよ」
「伯父上、父が帰城してからと思っていたのですが――」
キンが口を開き、アオの考えをコハクに伝えた。
「ならば、早急に新たな大臣を作らねばならんな。
細かい事は、アオが動きながら決めればいい。
枠だけ設けておこう。
就任すれば、アオも自由に城に出入り出来るからな」
「その点だけは、父には言わないでください」
「ん? 自由に出入り出来るとマズいのか?」
「ルリにならなくてもよくなりますから」
ハクが笑いだし、キンとコハクも笑った。
前【流石に神竜は傀儡にはならぬか……
しかし十分だ。あの結界を破壊せよ!】
禍々しい気を放つ輪を嵌められた神竜達が
十数体、異間平原の方向に飛んで行った。
魔【しかし、そちらには――】
前【あの王子達は別の場所にて倒す。
いずれは天を攻めるのだ。
彼奴等の力を利用すれば容易くなる】
魔【そう容易く制覇出来るとは――】
前【ぐずぐずしておると、王子達と手を結んで
しまうわ。その前に我等が配下とする。
もしくは、潰す!】
魔:自代でやっときゃいいのに何故わざわざ
出て来て、そんな大掛かりな事を――
前【あまりに鮮やかな作戦に言葉も出ぬか】
高笑いを残して前魔王は姿を消した。
魔:ケッ! 好き勝手な事ばっか言うなっ!
己で責任取りやがれよ!!
やっぱり現魔王は若いようです。




