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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
302/429

竜王族8-新たな大臣

 カルサイ様は最高神様ですが、

ゴルチル様が最強神様なのかもしれません。


♯♯ 天界 星輝の祠 ♯♯


【キュルリ、戻って構わぬぞ】


きゅるきゅるる~♪

キュルリが飛んで来て、アオの胸に くっついた。


「何を言ってるのか分かるといいんだけどね」


きゅるるきゅる♪


【カルサイが来た、と――本当だな。

どうした?】


【ディアナ様が、ゴルチル様とお話しなさりたいと仰っておりますので、交替に参りました】


【そうか】


きゅるるっきゅるる~♪


【遊びに行くのではない。

アオに遊んでもらえ】


きゅる♪ ぴよぴよぴよ♪


【アオ、気を付けて進めよ】消えた。


きゅるるきゅるきゅる~♪ ふよふよよ~♪


【はい。今度、一緒に参りましょう】


「カルサイ様、キュルリは何と?」


【ディアナ様と遊びたいそうですよ】


「それは……畏れ多い事ですよね?」


【ディアナ様も、キュルリをお気に召したようですので、きっと遊んでくださいますよ】


きゅるっ♪


「かつての最高神様だったのですよね?」


【そうです。遥か昔ですが……】


【カルサイも私も、ディアナ様に憧れ、修行に励んだのですよ】

ドルマイが現れた。


【絆神達の修行はどうですか?】


【順調よ。

アオ、深魔界を進むのよね?】


「はい。お待ちするつもりでしたが、攻められ、深魔界に入ってしまいましたので」


【では、修行の区切りのよい所で、達している所までを解放致しましょう。

明日のお昼くらいには出てくると思うわ】


【では、その頃に……】頷き合う。

【アオ、それまでは無理をせぬよう】


「はい。カルサイ様、ドルマイ様。

それでは失礼致します」礼、曲空。



【アオは どこまで気付いているのかしら?

お祖父様の事は、まだかしらね……】


【なんとなく祖先でないかとは思っているのではありませんか?】


【サクラも、だけれど……

こんなにも離れているのに、神の血が濃過ぎるわ】


【だからこそ可能性が有る。

そうではありませんか?】


【そうね……

本当に終わらせてくれそうよね】



【コバルトは?】


【おとなしく見守っているようよ】にこっ。




♯♯ 外周・(たつみ)の祠 ♯♯


「サクラ、任せっきりで、すまない」


(みずのと)から(きのと)まで終わったよ♪」


「今日は、そのくらいでいいんじゃないか?

城に戻らないと虹藍様が心配するよ」


「じゃ、あとの祠の竜宝 置いとく~

アオ兄は天竜王(こっちの)城?」


「呼ばれてるからね」


(カルサイ様、癸から乙までの四祠、整いました)


【ありがとう、サクラ。

浄化が終わりました竜宝・魔宝は、どうしましょうか?】


(たつみ)の祠にお願いします)


【はい♪】(ドルマイ様だ~♪)


「城まで いっしょ~♪ せ~のっ♪」



――天竜王城。


 アオが執務室に入ると、キンだけが机に向かっていた。


「キン兄さん、話というのは俺の将来について――ですよね?」


「うむ。大婆様から伺ったのでな」


「ひと晩かけてですか?」


「いや、ここに戻るとハクがサボるからな。

ボタンの所で、その話をしていたのだ」


「俺の希望と考えは、受け入れられるものでしょうか?」


「私は賛成だ。現王も反対はしないだろう。

ハクは騒ぐだろうがな」


「俺は一方の大臣より、両国の間で調整役をしたいんです。

どちらにも肩入れしない立場で」


「天魔両国に渡る新たな大臣だな。

アオがそうなってくれれば、ひとつの国のように繋がる事が出来る。


私は兄弟皆一緒がいい。

だからサクラが離れる事が辛かった。

しかし、止める事など出来ぬ。

その上、アオまでもが行ってしまうのではないかと、気が気では無かったのだ」


「キン兄さん、俺は昔から――」


「解っている。私達を補佐する事、それだけを見て、ここまで励んできた事は……

だからこそ悩んでいるのではないかと、大婆様の所に行ったのだ。


勿論、ここに有った書類を見て、一層 離したくないとは思ったが――

それだけに、私には思いつきもしない事を考えていたと知らされ、アオならば両国の大臣すらも成せると確信した。

だから、その才を私達――天竜王国だけでなく、魔竜王国にも存分に生かして欲しい」


「そんな大仰に言われる程のものはありませんが、精一杯 両国に尽くしたいと思っています。

キン兄さん、ありがとうございます」


(ボタンさんにも、そうお伝えください)

(何故 分かったのだ?)

(なんとなくですよ)


「ハク兄さんも」机を見る。


「やっぱバレてたか~」机の下から出た。


「ほらな、兄貴。言ったろ?

アオにはバレるって~」


「ハクが居ると話し辛いと思っただけだが」


「何で そうなるんだよぉ」


「睨むから」「そうだな」

「口悪いし」「確かにな」

「手が早い」「その通り」「あのなあっ!」

「ほら」「おい」「いーかげんにしろっ!」


「話しが出来んだろ。

だから、そこで気を消していろと言ったのだ」


「兄貴ばっか いいカッコしやがって~

俺も反対なんてしねぇよ」ふんっ!


「いいんですか?」


「アオは何事も手抜き出来ねぇからな。

両方に首突っ込んでても問題ないさ」ニヤッ。



 扉が叩かれ、コハクが入って来た。

「アオ、来ていたのか……丁度いい。

話が有るんだが――まぁ、ここでいいか」


「何でしょうか?」


「キン、ハク、追加だ。頑張れよ」


「はい」キンが書類を受け取った。

「ゲッ……こんなにぃ」ポスンと座り込んだ。

二人は机に向かった。



「アオ、今、地下のどの辺りなんだ?」


「深魔界に入った所です」描きながら――


「魔王は遠いのか?」


「現魔王なら、今日も戦いましたが――

目指すのは初代ですので、まだまだです」

魔王城の位置を書き込む。


「ふむ……では、難しいか……」


「何が、ですか?」


「いや、次代の事は王太子に任せるが、今、政に加わって欲しいと思ってな」


「父上は何と?」


「随分前から言っているよ。

アオが王族会を解体してから一層な。

だから手始めにキンの補佐にしたんだよ」


「そんな前から……」


「一旦は完全に諦めていたんだが、最近また言い始めてなぁ。

止めていたんだが、書類を読んで考えを改めたよ。

この国に必要だとな」


「アオとサクラは主戦力ですから、ムリですよ~」

ハクが、もう顔を上げている。


「サクラは王として、どうしているんだい?」


「謁見などは複製を座らせています」


「ああ、この前の――サクラも出来るのか……」


「はい。ですが、サクラも書類を溜めていましたから、そういう処理は難しいのだと思います」


「そうか……仕方ないな。

今日の会議では、再検討案を見た皆の顔が明るく、晴れやかだったのだがな」


「あれで最善なのかどうかも分からなくて……

ですから、もっと沢山の事案に当たりたいとは思っているのですが……

現状では――でも、方法を探します」


「この国の大切な宝だ。

無理をさせる訳にはいかない。

待っているよ」


「伯父上、父が帰城してからと思っていたのですが――」


キンが口を開き、アオの考えをコハクに伝えた。


「ならば、早急に新たな大臣を作らねばならんな。

細かい事は、アオが動きながら決めればいい。

枠だけ設けておこう。

就任すれば、アオも自由に城に出入り出来るからな」


「その点だけは、父には言わないでください」


「ん? 自由に出入り出来るとマズいのか?」


「ルリにならなくてもよくなりますから」


ハクが笑いだし、キンとコハクも笑った。





前【流石に神竜は傀儡にはならぬか……

  しかし十分だ。あの結界を破壊せよ!】


 禍々しい気を放つ輪を嵌められた神竜達が

十数体、異間平原の方向に飛んで行った。


魔【しかし、そちらには――】


前【あの王子達は別の場所にて倒す。

  いずれは天を攻めるのだ。

  彼奴等の力を利用すれば容易くなる】


魔【そう容易く制覇出来るとは――】


前【ぐずぐずしておると、王子達と手を結んで

  しまうわ。その前に我等が配下とする。

  もしくは、潰す!】


魔:自代でやっときゃいいのに何故わざわざ

  出て来て、そんな大掛かりな事を――


前【あまりに鮮やかな作戦に言葉も出ぬか】


 高笑いを残して前魔王は姿を消した。


魔:ケッ! 好き勝手な事ばっか言うなっ!

  己で責任取りやがれよ!!


 やっぱり現魔王は若いようです。


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