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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
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闇拠点8-進む為に

 ハクは魔物と戦っても闇に反応しないのか?

――かつては反応していたようです。


 アオは天竜王城から地下魔界に行った。

ワン将軍とコギに会い、全ての大拠点に隠し部屋が存在する事を告げ、たとえ隠し部屋を発見しても決して中には入らないよう頼み、天界に戻った。


(兄貴達みんな集まったよ~)


(ありがとう、サクラ)曲空。



――フジの屋敷。


「サクラから、新たな闇の力について聞いた。

負の感情を抱かぬ事が肝要なのだな?」


「はい。

些細な負の感情を増幅し、心を縛り、闇に染めるんです。

そして、それ自身も、染まった闇の力を吸収し、肥大化するんです」


「サクラを捕らえるくらいだから、太刀打ち出来ねぇんじゃねぇのか?」


「本人は、そうかもしれませんが、肥大化した闇の力は捕らえ易いので、単独行動しなければ対処可能だと思います」


「捕らえるには掌握が必要ですよね?」


「掴めなくても神眼があれば攻撃できるよ。

フジ、神聖光輝(シンセイコウキ)は作れたよね?」


「はい。使えるのですか?」


「闇だから有効だと思ってるんだ。

あれは、神の光の聖水だからね。

クロが入り浸ってるから、ちょうどいいよね。


キン兄さんとハク兄さんも、一緒にいる事が多いから大丈夫だと思います」


「アカ兄の工房には、闇を感知する竜宝を置くからねっ。

それ、俺とアオ兄に繋ぐし、ワカナさんが ずっと一緒だから、だいじょぶだよ」


「そうだね。

魔王の闇の力は、なぜか女性には効かないんだよね」


「そういやオレ、桜華様に、ひっぱたかれたんだよな~」


「俺、ルリ姉」きゃははっ♪


「ルリが俺の尾を使ったから粉砕骨折したよ」


「壁 破壊しちゃったよね~」


「仕方ないだろ!」「あ、起きたの?」

「寝てなどおらん」「疲れていない?」

「疲れてなど無い」「いいよ、寝てて」

「静かにする。話題に出すな」「うん」


「仲いいよな~」

「そりゃそーでしょ」

「喧嘩したら逃げ場ねぇよな」

「大変な事も有るだろうな」

「特に無いが……」

「そっか。工房も、ずっとだなっ」

「いいなぁ」

「勉強、見て頂いたら如何です?」

「勉強?」

「うん、数学♪」


「え~っと、そろそろ続きを――」


「さっきの分身の術、どうやるんだ?」


「あれは、闇属性の技だから、闇障がないと出来ないんだ」

サクラに首飾りを渡し、額に掌を翳した。


「やってみる~♪」気を高める。


首飾りの小鏡が発した光がサクラを包み、もう一筋、前方に放たれた光がサクラを形成した。


――二人……三人……四人……五人――


「もういいって!」爆笑。


「ハク兄、今、双璧したら、どぉなるの?」


「そっか」双璧発動。


首飾りの光がハクを包み、サクラの前にハクが形成された。

「へぇ~♪ こぉなるんだ~♪」


それぞれ複製を操作してみる。

「おっ♪ 意外と普通に動くなっ♪」

「面白ぇ♪ それぞれ動くのなっ♪」


サクラがサクラと鬼ごっこを始めた。


「そんなに同時に……流石、器用だね」


「本体! 戻って来い!

騒いでると魁蛇さんが来るだろっ!」


「来たら、なぁに~?」「どぉしてぇ?」

「魁蛇さん、恐いの?」「恐くないよ~」

「クロ兄は恐いんだよ」「そっか~♪」


「う・る・さ~いっ!」


「サクラ、解除してあげて」笑いながら。


本体に複製が吸い込まれた。

ハクも真似る。


「ハク兄、それならコレも」女姿(アンズ)になる。


「それは後にしようぜ」後退る。


「一度なれば安心なのだから双璧しろ」


「兄貴は?」「私は大丈夫だ」「何で?」

「とにかくなっておけ」「皆いるだろ!」


「みんな、おんなじ姿なんだからぁ、恥ずかしくないない~」にこっ♪


アオが、クロ、アカ、フジに手招きして、集まり、皆でハク達に背を向けた。

「一度でも女性になったら、魔王には因子が定着しないし、魔王の因子も、こちらには定着しないんだ。

それに、依代にも出来ないらしい」


「だからアオの体に入れなかったのか~」


「でも、私達を異間平原に送ったのは、魔王の配下でしたよね?」


「知らなかったそうだよ」


気配を感じ、四人が振り返る。


「何で今こっち向くんだよ!」


「ハク兄♪ か~わ~い~い~♪」


「うっせー! サクラ! 早く戻れよ!」


女姿(アンズ)のまま輪に加わり、座った。

「これで、みんな安心だねっ♪」


「アオ! 女姿(ルリ)になって解除してくれっ!」


「話題に出すなと言ったろ!」

「違うよルリ、落ち着いて――」

「胡座をかくな!」「あ……ハク兄さんに――」


アオが女姿(ルリ)になり、ハクの前に正座し、小言を始めた。

「女の姿で、着物で胡座とは――」

ルリが主になっているらしい。


(アオ~、止めてくれ~)(無理ですよ)

(戻りてぇ~。頼むよぉ)(我慢してください)


「全て聞こえております!

ハク様、王族、しかも王太子なのですから――」



「……あ、話を戻す。

依代として利用価値が無くなったという事は、容赦なく攻撃される、という事だ」

キンが引き継いだ。


「それに、闇に堕とせば配下にはできるから、そっちは、なくならないからね~」


「俺は何故ならなくていいのだ?」


「アカ兄は、卵で女性だったんじゃないかって、アオ兄が言ってた~」


「そうか。

『奇跡の王子達』の謎が、またひとつ明らかになったな。

七人全て男ばかりではなかったのだな。


アカの因子は、既に採取されていたが、定着しなかったそうだ。

そこからの推測だ」


「俺の因子を……?」


「竜宝を開発させようと考えたらしい」


アンズ(サクラ)が地図を広げた。

「これから、ここに進むんだよ」


「ただし、光属性を拒絶する強固な結界が張られている」


「じゃあ、キン兄とアオとサクラは――」


「うん。現状ダメだね~

でも、方法はあるハズなんだ」


「魔王が態勢を整える前に探したいから、また留守がちになるけど――」

輪に戻る。


「他の事なんか気にすんな。

そっちは二人にしか出来ねぇ事なんだからな」


「ありがとう。そうさせて貰うよ」


「で、いつまで、そのままなんだ?」


「ルリが許してくれるまで、かな?」あはは……


「この、奥の城まわりには、もっと強い結界があるんだよ~

でね、ここには歴代魔王がいるかも、なんだ」


「魔王は、ひとりじゃねぇのかよ!?」


「うん。

前から思ってはいたんだけど、引き継がれてるのは確かになったよ。

隠居だから、どこまでの力が有るのかは分からないけどね」


「それと、これからの魔物は、傀儡や獣化じゃなくなると思うんだ。

量産してた拠点をもらっちゃったからね~」


「あの、治癒の光が効かない魔物か?」


「そう。だからフジ兄には、神聖光輝を覚えてもらったんだ。

でね、姫には、コレ作ってもらった~♪」


「水鉄砲?」


「うん♪ 集縮に増幅鏡が入ってる筒を昇華器で強化してるんだ。

これに神聖光輝を入れるんだよ」クロに渡す。


「その、神聖なんたらの壺爆弾は作るのか?」


「もぉ量産してるよ~♪

明日、地下にも持ってくんだ♪」


「あと、姫には、これも――万有甲(バンユウコウ)

クロの逆鱗に着けておいて。

姫が落下しないように、必要に応じて、クロが『展開』してあげて。

解除は『還鱗(カンリン)』だから」


「それとぉ、魔界の境界 越えるのは、こっち。

万装甲(バンソウコウ)。姫にあげてねっ」


「お前ら、ホント……スゲー動いてんだな……」


「そうかな?」「フツーでしょ」


「自覚ねぇのかよ」


「自覚はクロの方が……」「そぉだよね~」


「クロ、この二人の速さだと、展開は早いかもしれない。

大至急、天性を使い熟せるようになって欲しい」


「天性 使いながら戦うんだよ~

姫も護りながらねっ」


「う……」


「う……」ハクがルリ(アオ)に寄りかかった。

「え!? ハク兄さん!?」


「足……シビれた……」ぷるぷる……


「伸ばしててください」くすくす♪ 治癒。


「お前ら……何で平気なんだぁ?」


「慣れ、かな?」「座り方じゃない?」



「アカ、次の矢は出来たのか?」


「朝には出来る」


「ではクロ、明日、虹紲(コウセツ)を行う」


「立ち会いは、俺とフジで」


「サクラは?」


「カルサイ様とドルマイ様が、ヒスイを神にするの、大急ぎでしてくれてるから~」


「では、明日は、そのように。解散」


次々曲空して――クロとハクがアンズ(サクラ)を掴んだ。


「頼むっ」二人、拝む。


「朝早いんだけど~」サクラに戻る。


「助かったぁ♪ じゃあなっ」曲空♪


「なぁ……サクラ。オレは、どうしたら……」


「いつから、数学、解かずに正解してたの?」


「ずっと……だな……解いた覚えが無ぇ」


「その時、既に神眼は少し開いてたんだよ。

クロ兄のは、自覚しなくても少しくらいなら開くくらい、大きくて強いから。


天性は、願えば叶うトコがあるから。

まずは、どうなりたいか、どうしたいのか、考えてみて。

開いて大丈夫な分だけは開けとくから」

クロの額に掌を翳し、光を放った。


「ありがとう……サクラ……」


「もぉ~~っ!

元気なくなったら、クロ兄じゃないからぁ」


光の球を大きくし、クロを包んだ。


「特別だよ。

そこで眠れば、夢が教えてくれるよ」


もうひとつ光の球を作り、クロに押し当てた。


「これ――」眠りに落ちた。


「おやすみなさい、クロ兄」


フジに歩み寄り、光を当てる。

「クロ兄は眠っただけだから心配しないでね。

フジ兄、無理しないでね。

おやすみなさい」曲空。





金「ハク、反省しているのか?」


白「ただ座っただけだろうがよぉ」


金「王太子と成ったのだ。

  常に意識して行動するように」


白「だがなぁ、女としての振る舞いなんて

  必要無ぇだろ?」


金「ふむ……

  しかし、良い修行にはなりそうだな。

  ミカン殿と共に王妃修行をしてはどうだ?」


白「いやっ! 必要無ぇだろーがっ!!」


金「決めた。心して置くように」


白「待ってくれ! 兄貴っ!!」


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