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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
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東の国7-終戦

 仁佳も、東も、めでたしめでたし♪


「大臣方々、

仁佳の軍は、もう我々を攻めたり致しません。

東の軍が退けば、仁佳も退きます」

嘉韶が大臣達を出口へと導いた。


「仁佳では、皇族方々が魔物に捕らえられ、水墨のような闇黒竜が成り代わり、戦を続けておりました」

紫苑が帷長に手を差し伸べる。


「その闇黒竜を滅しましたので、仁佳は既に戦を続ける意志は御座いません。

ですので、徴兵も不要です」

珊瑚は帷次に手を差し伸べた。


「残るは陛下の解呪のみ。

さあ、参りましょう」

桜華が歩きだした。



 皆、ぞろぞろと広間に移動した。

后妃、皇子、皇女方々も集まり――


帝を玉座に導き、解呪が始まった。


サクラが、竜血環と宿った種を、浄化と治癒の光で滅し、


桜華が呪を解き、


嘉韶一家全員で、集まった人々に付いていた闇と、掛けられていた呪を祓った。




 帝は晴々とした表情で終戦を宣言した。


(サクラ、終わっちまったのか?)


(クロ兄だ~♪ 終わったよ♪)


(竜が出たらマズいか?)


(俺、とっくに竜になったよ♪)


(ふぅん……なら、いっか♪)


 黒輝の竜が現れた。

その背には、姫が乗っていた。


姫が身軽に飛び降り、玉座に礼をした。


「これは、中の静香様。

ようこそ、お出でくださいました」帝が微笑む。


「お久しゅうございます、陛下。

終戦の調印式は、是非とも中の国で」にこっ♪


「朕には有難いが、仁佳からは、遠くは御座いませんかの?」


「竜ならば一瞬で御座います故」


「一瞬と……ならば、日取りの調整など、お願いしてもよろしいのでしょうかな?」


「畏まりました」ぺこり


踵を返して弾みながら「クロ、参ろぅぞ♪」


ぴょんと背に乗ると、竜が消えた。



 帝が唖然としていると、再び竜が現れた。

その背には、仁佳の皇帝と皇太子が増えていた。


「陛下、今からでも構わぬとの事じゃが、如何であろぅか?」


「ならば、朕も乗せて頂けますかの?」


サクラが帝を運び、クロの背に乗せた。


「こちらも、皇太子もよろしいかの?」


「勿論じゃ♪ サクラ♪」

サクラが皇太子も乗せた。


「ここからならば、すぐじゃから、空の旅と致そぅぞ♪」




 クロは外に曲空し、中の城の天守まで飛んだ。


殿が天守から顔を出す。

「父上、終戦調印式の場、借りるぞ♪

立ち会い願えるか?」


「勿論、悦ばしき事、大歓迎じゃ♪」


 そんなこんなで和やかに事は運び――


その日のうちに、仁佳に出ていた東の軍は、竜の背に乗って帰国した。



♯♯♯♯♯♯



(サクラ、どこにいるんだい?)


(アオ兄、すぐ行くねっ)深蒼の祠へ――


(どぉしたの?)水槽からルリを取り出す。


(目の前に……サクラ? 見え辛いな……

俺は、今度は何に入ってるんだい?

水晶か何かかな?)


(芳小竜のルリの中だよ。

アオ兄の体、浄化し始めたトコだから、一緒にいた方がいいんだって~

って、カルサイ様が移してくださったんだ)


(そうか……だから動きにくいのか。

あれは、水の中だったんだね?)


(うん。アオ兄の体、聖輝煌水に浸けてるんだ。

ルリの中でも浄化の光は出せるハズだから、アオ兄も浄化してね)


(解った。ゆっくり休む他は無さそうだな。

サクラ、いろいろ、ありがとう)


(言いっこなし♪

じゃ、また後で浄化しに来るからねっ)

ルリをなでなでして、水槽に戻した。


「じゃ、キン兄、アオ兄、交替時間まで魔界に行くねっ」曲空。




 サクラは布石像を辿り、ソラの部屋の屋根裏に曲空――


――したつもりだったが、


目の前にソラが居た。

「わわっ!」「きゃっ!」


そこはソラの部屋で、ソラの手には、屋根裏に置いた布石像が有った。


 見つかっちゃたんだ……


「やっぱり、サクラくんのだったのね?」


おずおず頷く。


「私が狙われてるとかって話と絡んでる?」


「まぁ……すぐ来れるよぉに……ね」


「ふぅん……でも、何事も無いじゃない?」


 いや、けっこう、あったんだけど――

 って、またっ!


ソラの背後に、開きかけた闇の穴に光を放つ!


「え!?」振り返った時には、何も無い。


「何なの!?」視線をサクラに戻した時、ソラは一瞬、サクラの厳しい眼差しを見た。


サクラは瞬時に、いつもの表情に戻していたが――


「本当……なのね……?」


少し間が有り、サクラが頷いた。

「だから……出来れば、安全な所で暮らして欲しいんだ。

天界に、来てほしいんだよ」


「それは……出来ないの。ごめんなさい」


「そう……なら、傍にいていい?

護りたいから……俺の責任だから……」


「えっ!? ……それは さすがに……」赤面して俯く。


「あっ!! そじゃなくてっ!

ずっと見てるんじゃなくてっ!

危険を察知できるトコにいるだけだからっ!」


「あ……そ、そう……そうよねっ」あははは……


「そりゃそーだよぉ」まっかっか!



 そんなこんなで、やっとアオにベッタリな生活から解放されたと思ったが、

ソラにベッタリな生活は、まだまだ続くサクラであった。


 どっちも大好きだから、いいんだよぉっ!



♯♯♯♯♯♯



 馬車の中では――


「のぅ、ワラワの記憶が、おかしいのじゃが……

東の国に来てからの記憶が無いのじゃ。

ワラワは何をしておったのじゃ?」


「寝てただけだよ。魔物に眠らされてな」


「さよぅか? しかし、何やら――」


「ムリに思い出さなくていいって」


「如何したのじゃ? クロ……何やら――」


「いいからっ! 何も無かったんだ!」


「怒らずとも――あっ」クロが抱きしめた。




「……嫌か?」姫が首を横に振る。


「なら、それでいい」姫の頭に、額をつけた。




 馬車の外では――


「サクラ様より頂きました」

珊瑚が家賽を二つ投じた。


「慎玄殿、何が有ったのですか?」紫苑。


「私は近くの寺を訪ねておりましたので……

戻りましたら、姫様は闇を飲まされ、眠っておりました」


「心配したのですね」三人、馬車を見る。




 桜華が嘉韶を乗せて、跳んで来た。


「あら、良い小屋ね」人姿になる。


「弐彌に陰陽師頭を継がせたら、狐の社に住まわせて貰える事になったよ。

二人が来るのを待っているからね」


「はい」紫苑と珊瑚、揃って、にっこり。


「馬車の中は……ちゃんと収まったのね」呟く。


「母様、何かご存知なの?」


「二人の事だから知らなくていいのよ♪」


皆、頷き、微笑んだ。



♯♯♯♯♯♯



「アカ兄、なぁに?」


アカは返事の代わりに、環を差し出した。


【これは……まさしく私の体……】


「具現環?」


【はい。もしや、そちらの箱にも――】


「認めてくれたか。サクラ、皆に配れ」


「ん♪ 具現環も魂主だったんだ~♪」


【はい。

アカ様、活躍の場をありがとうございます!】


アカがニヤリと微笑む。


(アカ兄は、すっごく喜んでるんだよ♪)


【然様で御座いますか♪】


「じゃ、配る~♪」曲空♪


(人にも配っておけ)


(は~い♪ 魔人さんも?)


【もちろん、大丈夫で御座います♪】



「慎玄さ~ん♪ コレ、錫杖に♪」

カチャカチャと二つ嵌めた。


「この環は如何な物でしょう?」


「術 出しやすくする環だよ~♪

桜華さま♪ 紫苑さん♪ 珊瑚さん♪」配った。

「じゃあ、またね~♪」曲空♪



戻って来た。

「クロ兄と姫に渡しといて~」頬が桜色。





凜「魔王は、どうして戦させてたの?」


桜「人を拐って魔物にするためと~」

青「人界を混乱させる為だろうね」


凜「魔王が行きたいのは神界でしょ?」


青「だから足掛かりにしたいんだよ」

桜「それに、俺達も足止めできるでしょ?」


凜「そっか……でも、どうして東の国を?

  仁佳なら大国だから解るけど、

  中と同じで小国でしょ?」


桜「それは、妖狐との繋がりを

  断ちたかったんだよ~」

青「凜、書いたよね?」


凜「あれは、桜華様を追い出したかった

  んでしょ?」


青「戦は、それより前からなんだよ」

桜「東の臣下で、いっちば~ん偉いの

  陰陽師頭さんなんだよ」

青「嘉韶さん、妖狐の血族だったよね?」


凜「そっか……」


青「他にも理由が有りそうだけどね」


凜「何?♪」


桜「まぁだだよ~」


凜「ケチ~」


青「あとは、竜が絡んでいそうだよね」

桜「東では、陰陽師さんと僧侶さんは、

  おんなじくらい偉いの~」


凜「それがヒントなの?」


桜「うん♪」


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