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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
195/429

東の国3-龍虹藍女王

 神様方の御名前も、いずれ出ます。

神様は滅されない限り不死なので、

とんでもなく大勢出てきます。

覚えなくても、なんとかなります。たぶん……


♯♯ 魔竜王国 王立大学 ♯♯


 学長室で教授就任の手続きを終えたサクラは、次は、魔竜王城の宝物庫に入る為の許可を得ようと、城に向かった。


 お城だけは、学長さんの力じゃ

 どーにもなんないからね~


ソラに渡した布石環からの共鳴を気にしつつ――


 すぐに入れるなんて思わない方がいいよね。

 魔竜王国は今、確か、

 女王様おひとりで統治されているはず……

 龍虹藍(ロン=ホンラン)女王だったよね。


大学の宝物館で、竜宝達から得た情報を整理していると、城の上空に差し掛かった。


 宝物庫はアレかな?

 光ってるね……ってことは、探してるモノ

 のうちの何かがあるんだね♪


降下。




 正門横の小さな処務室で、申請書の署名を見た執事達が、ざわめく。


待たされた後、

「女王陛下が、お目にかかりたいと申しております」


 俺なんかに?

 でも、断る理由も無いし、

 今後の為にはいいかもしれないよね。


「光栄至極にございます」恭しく礼。


――したものの、

「少々お待ちください」


天界に行き、外套を掴んで戻った。


 体力ヤバい~


サッと外套を纏い、天竜王家の紋章が入った金具で留めた。


その紋章を確かめた執事達が頷き合う。




 謁見の間に通された。

玉座に向かい、バッと外套を翻し、跪いた。

「お呼びに与り、光栄至極にございます」


「サクラ様、お久しぶりです。

お顔をお見せくださるかしら?」


サクラが「失礼致します」と、少し顔を上げると、

女王はサッと手を振り、微笑んだ。


 人払い?

 そぉいえば、さっき『お久しぶり』と……

 あ……あの、深い海のような鱗は――


「あの時は、助けてくださって、ありがとう」

女王が人姿になった。


 龍虹藍女王って、ランだったんだ……


「もしや、東の国で――」

 密かにアオ兄を護衛していた時、

 偶然出会った少女。

 高貴そうな雰囲気は醸してたけど、

 まさか魔竜の女王様だったなんて……

 ランが魔物に追われてたワケ、

 やっと解ったよ。



「はい。戦をしているという東の国を視察に赴いた際、襲われ――」


「申し訳ございません!

女王陛下とは存ぜず、失礼を致しました!」


「いいえ、何も失礼など……

ご親切に、私が希望した場所にまで送って頂いて、本当に嬉しかったのですよ」


言いながらサクラに歩み寄り、

「ね、あの時みたいにお話ししましょ♪」

囁き、サクラの肩に触れた。


「ありがとうございます♪」にこっ

やっと、目を合わせた。


「私も、多少は竜宝の声が聞こえるの」


「会話できる?」


「ほんの少し。聞こえるけど、なかなかね」


「そぉなんだ~」


「ね♪ サクラ様は、竜宝の王様なんでしょ?」


「お願いを聞いてもらう代わりに引き受けただけだよぉ」


「王命としてなら聞いて貰えるから?」


「ちょっと違うけど……それも、あるかな……」


「あ……随分違うみたいね。

その剣が言ってるわ。

本当に慕われてるのね♪」にこにこ♪

「それで、何か探し物なの?」


「うん。ひとつは、ここにあるハズなんだ」


「分かるの!?」


「光るから♪」


「必要な物が有るなら、何でも持って行っていいわ」


「ありがと♪ 女王陛下♪」


「ランでいいわよ~、友達でしょ?」


「じゃ、俺も敬称いらな~い♪」


「わかったわ。サクラ♪

今度、ちゃんと時間つくるわ。

竜宝に関して、教えて欲しい事が有るの」


「うん。いつでも♪

今日は突然で、ごめんね。

まさか、ランが女王様だなんて思いもよらなかったから」


「私こそ、あんまり時間とれなくて……

ごめんなさい」


「忙しいの解るから、謝らないで~」


ランは「じゃあ、また、きっとよ」と言いながら立ち上がり、少し寂しそうに微笑んだ。


サクラは声を出さずに、「また来るよ」と、笑みを返した。


ランが纏う気が、虹藍女王のものに変わる。


「では、再会を楽しみにしています。

今後は両国の発展の為、互いに力を尽くしましょう」


「はっ」


虹藍女王が王笏で床を打つと、執事が現れ、サクラに魔竜王家の紋章が入った金の板を恭しく差し出した。

「宝物庫の全権許可証でございます。

どうぞ、お受け取りくださいませ」


「ありがとうございます。女王陛下」




 サクラは城の宝物庫で、流雲璧(リュウウンヘキ)を見付けた。

「浄化♪ これからよろしくね~♪」

流雲璧が光る。


 あと、豪雷璧(ゴウライヘキ)恵雨璧(ケイウヘキ)を見つければ、

 アオ兄を体に戻す為の竜宝が揃うんだ。


 この調子で、ぜんぶ見つかれば

 いいんだけど……


 あ……もぉひとつ光が……


近付くと、剣の欠片が光っていた。


 これも蒼牙だね……

 なんで魔界でバラバラに見つかるんだろ?

 あ……もぉ、ソラちゃん家 行かなきゃ。


サクラは屋根裏の布石像に曲空した。


(サクラ……)


(あ……アオ兄、起こしちゃった?)


(十分眠ったよ。いろいろ、すまない……)


(体……持ってかれちゃって……ごめん)


(いや、サクラが居なかったら、俺は……間違いなく魔王と同化していた。

サクラも捲き込んで、三界を滅ぼした筈だ。

ありがとう、サクラ。阻止してくれて)


(もぉだいじょぶなの? 心、ツラくない?)


(ああ……サクラにも分かってしまったよね?

みっともない姿を晒してしまったな……)


(そんなことない!

そんなふうに思わないで!)


(ありがとう、サクラ。

隠しようもなくなったから……話すよ)


(ううん、ツラい話なんでしょ?

ムリしないで、ね?)


(そうか……ありがとう。

なら、もっと気持ちが落ち着いたら、ちゃんと話すよ)


(うん。ね、アオ兄――)


【立ち直れるのか? その記憶から……

思い出せ……再び傷を抉じ開けてやる!】


(アオ兄!

魔界じゃ不利だから、人界へ行くよっ!)


 融合、試せなかったけど……できるハズ!


(アオ兄、俺の体を使って!)


(そんな事が――)


(もぉ何度かやってるからっ!

自然に、自分の体を使うようにやってみて!)


アオが気を鎮める。


サクラが退くと同時に、アオが気を高めた。


 いける! 自分の体と同じだ!


アオが、そう確信した時、サクラの気が覆い被さった。


(えっ!? サクラ!?)


(そのまま!!

アオ兄は、そのまま俺の体を使って!

俺の力も、アオ兄なら使えるからっ!!)


魔王が放つ闇黒の瘴気を双剣で弾きながら、反す刃で光の波動を放つ!


(竜宝の国へ! せーのっ!)



――竜宝の国、広場。


集縮(シュウシュク)!」


【我等が王よ! 御復活で御座いますか!】


「これより、体を奪還する! 協力願う!」


【畏まりまして御座います!】


集縮の魂主がサクラの中に入った。


【アオ王様の御力、全て解放致します!】


 凄っ!!

 やっぱり、アオ兄の力、すっごく大きい!


(水の技は、小器に入ってねっ。

そしたら、この体でも、すぐに使えるから)


【私もお供させてください!

その腕輪になら、宿る事が出来ますので!】


具現環(グゲンカン)♪ ありがと♪

キミが来てくれるなら、水技おもいっきり使えるねっ♪」


(アオ兄、奪還するよっ! せーのっ!)



――人界、大陸北部の荒野。


魔王がサクラを追って現れた。

【ほう……ただ逃げたのではないのだな】


「その体、返してもらうぞ!」


【この器は闇に染まった。既に私のものだ】


(ウソだよ!

アオ兄の心から闇が消えたから、まだ魔王自身はアオ兄の体に入れてない!)


(今、入っているのは?)


(魔王の欠片。前二回と、おんなじだよ。

だから今のうちなんだ)


(なら、今度こそ、奴を掴み出したら、即、俺達が運んでしまわないとね)


(そ♪ だから、兄貴達 呼んだからねっ。

キン兄とアカ兄なら、魔王の欠片が見えるから、掴み出して、滅してもらお♪)


(その隙に体を運ぶんだな? よしっ!)


(アオ兄は、おもいっきり戦ってねっ♪

連絡係は任せといてね♪)


アオとサクラは話しながらも、交互に技や術を繰り出し、間髪入れない攻撃を仕掛けていた。


ただし、アオの体を使う事に慣れてきた魔王も、アオとサクラを纏めて闇に包むべく、間髪入れない攻撃を続けている。


アオとサクラの光と、魔王の闇が激しく交錯する!





凜「サクラ、そういうのは平和にしてから

  じゃなかったの?」


桜「なんのコト?」


凜「ソラちゃんとランちゃんに二股?」


桜「ふえっ!? そんなんじゃないからっ!」


凜「いや、そんなんでしょ」ふふふ♪


桜「違うもんっ!!」


凜「じっくり追いかけさせてもらうよ♪」


桜「もおっ! それどころじゃないのにぃ」


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