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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
194/429

東の国2-王立大学

 前回まで:姫が襲われ、

      クロは闇に堕ちそうになりました。


♯♯ 魔竜王国 王立大学 ♯♯


サクラは上空からソラの様子を見ていた。


 あれが宝物館かな?

 博物館みたく大きいね……

 光ってるってことは、

 何か探してるモノがあるんだね。


 そろそろ、布石像の腕輪できたかな?

 でも……どぉやって渡したらいいんだろ……


考えつつ、


 講義中の今なら無難だよね……


境界の洞窟に曲空した。


(アカ兄、できた?)


(ああ)


天界に曲空し、受け取り、

「ありがと♪」急いで戻った。



 大学に置いた布石像に曲空すると――


上空に穿たれた闇の穴から、魔物が湧き出ていた。


闇の穴の直ぐ前に曲空し、光の球をブチ込む!


 救えるなら救いたいからっ!


先ずは全力で治癒の光を波紋状に拡散する。


 半減っ! 残りは本物だからっ!


浄化の光を、矢のような鋭い線状にして、続けざまに放ちながら高速回転した。


光に当たった魔物が弾けて消える。


それでも下へと抜けた群れに向かって、波動を溜めて放った。


 あと少しっ!


地上には建物や木々が有るので、曲空し、地を蹴る時、人姿になり、

三眼と四眼を両手に持って、翼のように後ろに広げ、舞い斬りながら宙を蹴り、昇った。


 おしまいっ!


魔物の気が無くなった事を慎重に確かめ、竜体に戻り、元に戻った魔人達に、極大の治癒と浄化を合わせた光を放ち、到着した魔竜軍に治療方法を伝え、託した。



 そして、急いで上空に昇ろうとしたが――


「サクラくん!」


 見つかっちゃった……


今度こそ気付かない振りをして、曲空で逃げようとしたが、さすがに連発し過ぎて、発動できなかった。


 あちゃ~

 飛ぶしかない……


「待ちなさいよ!!」大声を上げ、迫って来る。


 コレ、気付かなかったなんて……

 言えないよねぇ……


諦めて振り返った。


「先生が、お礼を言いたいって……

王子だとは言わないから……お願い」


「でも……俺、あんまり接触したく――」


「探し物って何?

もし、竜宝なら、魔宝学の先生だから何か知ってるかもしれないわ」


「魔宝……」


「ね? 来てよ」


 ここで話し続けるのもマズいよね……

「わかった。ありがと」




 魔宝学の教授室に向かいながら、

「私だって、住んでた人達が、みんな、いなくなった街や、焼け野原になってしまった街があるって知ってるわ。

ここも……そうなる所だったんでしょ?」


 確かに、そぉなったかもしれないけど……

 それは俺のせいで、君が狙われてるからで……


 あ……とりあえず、コレ渡さないと――


「どこを狙ってたのかは分からない。

もしかしたら、ソラちゃんかもしれない。

俺と接触したから……ごめんね。

だから……コレ持ってて欲しいんだ。御守」

布石像の腕輪を差し出した。


「キレイね♪ ありがとう♪」ニコニコ♪


「手でも足でもいいから、ずっと身に着けてて欲しいんだ」


「うん」頷いて、手首に着けた。「嬉しい……」


 これで、ソラちゃんに危険が及んだら

 察知できるし、すぐ助けに行ける。


「ずっとだよ」にこっ


「うん。外さない」頬を染める。


ソラは大切そうに何度も布石環を撫でていた。


――が、不意に顔を上げ、立ち止まった。

「ここよ」




 魔宝学の教授からの、何かお礼がしたい、という言葉に甘え、大学の宝物館が見たいと言ってみると、快く案内して頂ける事になった。


「宝物館には、魔宝だけでなく竜宝も沢山ございます。

ただ、竜宝に関しましては、専門的に研究している者がおりませんので、説明などは出来ないのですが――」


魔宝学教授が宝物館の扉を開くと、竜宝が一斉に輝いた。


「これは……何事……」魔宝学教授が立ち竦む。


「私に呼応しているのです。

実は、よくある事なのですが……」あはは……

(竜宝達、どぉしたの?)


竜宝達が口々に語りだした。

その殆どが、使って欲しい、修繕して欲しい、だったが――


(待ってね。俺、勝手に触れないからっ)

「あっ! 三眼!?」

三眼が、勝手に背の鞘から抜け、浮き上がり、どこかに飛んで行こうとしている。

(ちょっと! みんな、落ち着いてっ!)


刃が半分しかない剣が、奥から飛んで来た。


「えっ!? 蒼牙!?」受け止める。


 これ……蒼牙だけじゃない……

 この気は、竜?


 ……間違いない! 竜の女性だ!


 誰が蒼牙に込めたんだろ?

 この女性は、いったい誰?

 ……あっ! もしかしたら――


蒼牙を見詰め、考え込んでいると、魔宝学教授が学長を連れて来た。


「その剣は……?」魔宝学教授、ぱちくり。


「奥から、飛んで来たんです」ソラ。

「兄が使っていた剣なのです」サクラ。


「貴方様は――」学長が目を見張る。


サクラが、教授からは見えないように、サッと口の前に指を立てる。


「本当に光っていますね」学長は話を変えた。

「竜宝が同調する……

竜宝には、お詳しいのですか?」


「多少は……」


耕運鐸(コウウンタク)を御存知ですか?」


(耕運鐸、いる?)

たくさんの輝きが一斉に消え、ひとつだけが明滅し始めた。


(来て♪)

耕運鐸が飛んで来て、サクラの掌に乗った。


「農耕用の天候調整器なのに、お蔵入りはツラいね……」

埃を払い、浄化の光を当てた。


 あ、浄化で、汚れもキレイになるんだ……


「ほう……

それは、私が天界から持ち込みました、唯一、存じております竜宝なのです。


当学には竜宝の研究者が居りません。

是非とも名誉教授職をお引き受け頂けませんか?」


「いえ……それは……」とっても困り顔。


「授業などは、なさる必要は御座いません。

ただ、肩書きだけ……出来ましたら、竜宝の解説を標して頂ければ有難いのですが。

当学の教授でしたら、ここの出入りと、持ち出しは、ご自由で御座いますので」


 出入り、持ち出し自由……それは魅力的……


気持ちが、ぐらりとした時、再び竜宝達が一斉に輝き、騒ぎだした。


(わ、わかったからっ! 待って!

みんな、落ち着いてっ!)


「他の大学や博物館などの宝物館の方にも、声をかけさせて頂きますが、如何でしょう?」


竜宝達、とっても大騒ぎ。


「有り難く、引き受けさせて頂きます……」


竜宝達から大歓声!


「リジュン先生がいらっしゃったら、さぞかし大喜びしたでしょうに……」

魔宝学教授がボソッと言った。


「リジュンさんを御存知なのですか!?」

 リジュンさんは魔竜じゃないのに、

 ここで出てくるなんて……凄い方なんだ……


「あ……他大学の教授なのですが、魔宝研究の第一人者なのです」


「リジュンさんはご無事です。

今は天界で療養されていますよ」にっこり


「良かった……それは本当に良かった……」

教授は涙を流して喜んだ。




 手続きの為に、学長に付いて出ようとした時――


三眼が、再び鞘から抜け、飛んで行った。

(どこ行くの?)付いて飛ぶ。


三眼に呼応して、何かが光る。


「これは!」三眼の大玉が有った。


三眼と大玉を持って、学長の所に戻る。


「どうぞ、お持ち下さい」


お礼を述べ、大玉を三眼に込めた。

三眼が歓喜の光を放つ。


「あと少しだね。三眼」なでなで


三眼が返事をするかのように強く瞬いた。


(ぜんぶ集めたいんだね?)もう一度、瞬く。


サクラは三眼を掲げ、両手に気を込めた。

「一緒に集めようね」術を唱える。


三眼の輝きが増していき、どこからともなく玉が飛来し、漂った。


(これで全部?)三眼と玉が瞬く。


「みんな、元の場所に戻って♪」


漂っていた玉が、三眼に吸い込まれるように収まった。


「良かったね~、三眼♪」なでなで♪


学長は、その様子を微笑ましく見ていたが、あとの二人は、ただただ驚いていた。




 学長室に向かう。

魔宝学教授とソラは、それぞれ次の授業に向かった


【サクラ王様、ありがとうございました】


(あ、三眼♪ 話せるよぉになったの?)


【はい。力を取り戻しまして御座います】


(そ♪ よかったぁ~♪

これからもヨロシクねっ♪)


【力の限り、尽くさせて頂きたく存じます】


(もおっ、友達だからぁ、フツーに話してよぉ)


【いえ、それは……】

【私共は、竜の為に存在しております。

故に、尽くせる事こそが生き甲斐なので御座います。

主を得る。それこそが幸福の極みなので御座います】


(四眼までぇ……

じゃあ、話し方は仕方ないけどぉ、友達は決定だよっ!)


【サクラ王様……】揃って静かになった。


(三眼? 四眼?)


【あまりに有り難く】【勿体なき御言葉にて】

【感涙が止めどなく】【申し訳ございません】


(背中、冷たっ!!

ホントに泣いてるのっ!?

なんで、剣が涙!?

ちょっ! 泣かないでっ!!)浄化っ!


学長室に着いた。





 竜宝を探す為とは言え、教授なんかに

なってしまったサクラくん。

学生より、ずっと若いので、どう見ても

公園代わりに遊びに来たコドモです。


桜「ひっどいなぁ。

  俺、竜宝学博士なんだよぉ」むぅ


凜「いたの!?

  忙しさに輪をかけて大丈夫なの?」


桜「どぉだろね~

  でも、竜宝 探し易くなるし~

  ソラちゃん 護り易くなるでしょ♪」


凜「確かにねぇ。

  でも、無理はダメよ~」


桜「だいじょぶ~

  俺、若いも~ん♪」


凜「あっそ」


桜「凜、何歳(いくつ)?」


凜「え!? 非公開よっ!」


桜「ふぅん……」


凜「サクラより、ずっと若いわよっ!」


桜「そりゃそ~でしょ。人なんだから~

  で? あ、逃げちゃった~」


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