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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
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立太子4-御披露目祝列


 『祝列』はパレード、

『高輝台』や『飛翔台』はバルコニー、

勝手に作ってしまいました。


「しっかし驚いたよなっ♪」


「まさか、妃冠 持って出て来るとはなっ♪」


「お前らが主役になって、どーすんだよっ♪」


クロとハクに小突かれる。


「しかし、心配したのは本当だ。

影武者を仕立てて、二人だけ、また戦っているのかと思ったぞ」


「そうですよ。

何も応えてくださらないし、本当に困りましたよ」


戴冠式が終わり、控え室に王子達は集まっていた。


「二人には妃冠の呪を祓って貰ったんだ」


「父上!?」一斉。


「あの部屋は男子禁制だからな。

で、可愛いから、そのまま来てもらった♪」


「父上~」ぶぅ~


「お♪ その表情も可愛いな♪」


「もう戻ってもいいですか?」


「いや、今日は、まだ晩餐会が有る。

ボタンさんとミカンさんを護衛して欲しい。

狙われているやもしれんからな」


「はい」ため息……


「キン、ハク、今日は、そのつもりでな。

出来るだけ行動を共にしろ。

クロ、アカ、フジ、お前らも婚約者から離れるな。

各々しっかり護れよ」


「はい!」



♯♯♯



 キン、ハク、アオ、サクラは護衛の為、ボタンとミカンの控え室に移動した。


「アオ、サクラ、それは自由に出来るのか?」


「うん。キン兄もできると思うよ~」


「するつもりは毛頭無い!」


「ハク兄は出来ないからね~」


「要らねぇよっ!」


「できると、いいコトあるかもなのにね~っ」

「出来ないのと、しないのは違うのにね」

「そぉだよね~っ」

「本物の女性の前で、あんな否定しなくてもね」

「うんうん! そぉだよね~っ」


「そこの二人! うっせーぞっ!」


アオとサクラが振り向き、ハッとして光を放った!


光は、ハクの後ろに開きかけた闇の穴を消した。


(アカ兄、城の結界を強化してっ!)


(うむ)


(兄貴達、闇の穴 出たから気をつけてねっ!)



♯♯♯♯♯♯



 クロはサクラの声を、王都の屋台が並ぶ通りで聞いた。

屋台で買った色とりどりの小さな飴を嬉しそうに眺めている姫に、

(姫、悪ぃ。城に戻らねぇと。

闇の穴が出たらしいんだ)


(うむ。ここに現れては迷惑じゃからのぅ)


二人は建物の陰に隠れ、曲空した。



♯♯♯



 結局、全員、ボタンとミカンの控え室に集まり、晩餐会までを過ごした。


晩餐会の間は、アオとサクラが付きっきりで王太子と婚約者を護衛した。



♯♯♯♯♯♯



 夜も更けて――


(アオ、サクラ、王都に結界を張る。手伝え。

クロ、供与頼む)


(アカ兄、三重いける?

御披露目用だから、雑多な思念に負けないよぉに、そのくらい必要だと思うんだけど~)


(五重するつもりだ。だから手伝え)


(うん♪)


四人は上昇し、クロを囲んだ。


クロが領域供与を発動し、アカが硬固の結界を張る。

アオとサクラが昇華で光明を強化しつつ、結界に光の護りを加え、双璧で結界を真似、拡げていった。


(御披露目が終わる迄は保てるだろう)


(うんっ♪)


(やっぱ、スゲーな。お前ら)


(クロ兄がいなきゃ、できないのっ)

(クロの力だ)

(クロ抜きでは出来ないんだよ)


(んな、いっぺんに……

何言ってんだかだけど、本当にオレなのか?)


三人、頷く。(自覚なさすぎ~)揃って笑う。



♯♯♯♯♯♯



 翌日、荘厳に飾り付けられた竜宝小艇の天台に、キンとボタン、ハクとミカンは乗せられ、王都を回らされた。


その次の日に婚約の儀を控えているアカとワカナ、フジとリリス、そして、この際だからとクロと姫も、ギンに強引に天蓋無しの竜宝小艇に乗せられ、同行させられた。


沿道の娘達や、娘を持つ親達は、七人の王子のうち、既に五人までもが相手を決めている事を知り、衝撃と落胆を隠せないでいたが――


「アオ様とサクラ様がいらっしゃらないわ」

「お相手が、いらっしゃらないのかしら?」

「サクラ様は、まだお若いもの。当然よ」

「狙い所はアオ様ねっ!」

「私は前々からアオ様派なのよ! 今更何よ!」

「早く向かせた者勝ちよ♪」

「負けないわっ!」

「私は、じっくりサクラ様を狙うわ♪」

「百年待ち!?」

「育てる楽しみが有るのよ♪」


アオとサクラは、本人の知らない所で、思いもよらず標的にされていた。




 そのアオとサクラは――


上空、結界の天井から警護していた。


しかし、流石に、この結界は破れないようで、偵察程度には魔物が現れたが、無事に御披露目祝列は終了し、艇は城の広場に到着した。


(だいじょぶそ~だね~♪

俺達も後ろに並ばなきゃダメ?)


(そうだね。行かないと、またうるさいね)


(んじゃ、控え室に、せ~のっ♪)


広場にも大勢の群衆が犇めき合っており、高輝台に王太子と婚約者、二組が現れると、響動めきと喝采が湧き上がった。


王達の挨拶に続き、主役四人が挨拶し、これも無事に終わった。


(今日は、これで終わりだよね~♪)


(でも、まだ用がありそうだよ)父を見る。


(イヤな予感~)(しかないね)



 その予感は、的中で――


高輝台の後方に並んでいたアオとサクラは、屋内に入った所でギンに呼び止められた。


「この後、女性王族のみの儀式が有る。

着替えて護衛するように」


「え!? それも!?」「またぁ!?」


「お前らしか出来んだろ?」


ため息を廊下に残して、着替えに行った。



♯♯♯



 アオとサクラが、ボタンとミカンの控え室に入ると、モモが説明していた。

そこでは、ボタンとミカンだけでなく、ワカナとリリスも説明を受けていた。


モモはアオとサクラを見て、花が咲くように微笑み、手招きした。

「本当にアオとサクラなの?」


「ええ、まぁ……」「そぉだよ~」


「この儀式は一度に纏めますからね。

明日は無いから安心してね」うふふ♪


「何度見ても、かわいいわ~♪」まじまじ


「ミカンさん、それを言われても、きっと嬉しくありませんわよ。ねぇ」苦笑。


「明日、代わりに出て欲しいです」ため息。


「何でも完璧なんですね……

どうなってるんですか?」

リリスが、そっとサクラの胸に触れた。


「……本物!?」後退る。


「付けてるんじゃないの!?」囲む。


「ぃや~ん」逃げるサクラ。


ミカンがサクラを追いかけ、残った三人がアオの胸をじっと見る。


「あの……恥ずかし過ぎるんですけど……」


「今、本当に『女性』なのかしら?」


「そういう技ですから……」たじたじ



「皆さん、妃冠を着けますから、こちらへ」


ワカナとリリスも、戴冠式と前後するが妃冠を着けてもらった。


「アオ、サクラも」手招き。


「これは王女の……」


「そうよ」にっこり


「モモお婆様、俺達、いったい誰って事にされているのでしょう?」


「そうね……まぁ、王族も大勢いますから、個紋さえ有れば納得されますよ」




 そして、モモから儀式の流れと動き、物の受け渡しなどの説明を受け――


サクラがモモの、アオがミドリの手を取り、入場すると、見たこともない王族方々が居並んでいた。


(これなら、俺達の素性なんて気にしなくてもよさそうだね)


(そぉだね~♪)


(要するに、これは新たに王族入りする、お嫁さんの顔見せなんだね)


(女性は、女性だけで連携するんだね~)


(殆どが婚儀きっかけで入る事になるからね。

こういう儀式が大切になるんだろうね)


ボタンが代表で挨拶し、モモが祝し、大人数のお茶会が始まった。


アオとサクラは玉座後方に控え、誰も来ない事を祈り続けるのだった。





桜「アシ痛ぁいぃ~! 靴キライ~!」


青「女性って大変なんだね……」


桜「よく、こんなの履いて踊れるよねぇ」


青「それに、こんなに締め付けて……」


桜「うん、お菓子いっぱいあるのに

  食べらんな~い!」


青「隠してあるから、後で食べようね」


桜「うんっ♪」


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