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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
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立太子1-リジュン救出

 前回まで:仁佳は、ほぼ落着しました。


 カルサイと共に天竜王国を祝福の光で包み、竜骨の祠で笛を吹いて、アオとサクラが大婆様の部屋に戻ると――


「二人共、明日から、裏方として駆け回るつもりなのじゃろ?

無理は せぬよぅにのぅ」


「ありがとうございます、大婆様」


「ところで――」


「はい?」


「クロは、如何な事になっておるのじゃ?」


「あ……」顔を見合わせる。


「クロは、ゆっくり進めたいと申しておりましたし、婿入りですので、先方優先かと――」


「二人共、近くに居りますので連れて参ります」


サクラは、そう言うと消え、姫とクロの手を取って現れた。


「えっ!? サクラ、ここは――」


「ご挨拶まだでしょ?」


「う……」


アオとサクラは二人に手を振って、退室した。


「クロ、よぅ来たのぅ」にこにこにこ


「大婆様、ご無沙汰して申し訳ございません」


「静香様、はじめまして。

竜の国に、ようこそお出でくださいました」


「お初にお目にかかり申し上げまする。

大婆様」ぺこり


「今回、二人は儀式を共にせぬのじゃな?」


「はい。まだ、そこまでは考えておりませんでしたので、また、日を改めまして行おうと考えております。

私だけは……その……婿入りですので……」


(クロ……考えてくれておったのか?

それより、まこと、それで良いのか?)


(まぁな。でも、もう少し考えさせてくれよ。

オレは、なんとかして両立させたいんだ)


(うむ。よかろぅぞ♪)


「ふむ……そうじゃのぅ。同じとは、ゆかぬのぅ。

じゃが、後にも楽しみが残るのは、これまた良き事じゃ」


「婿入りしても……よいのでしょうか?」


「何も留め立てする事は無いからのぅ。

それぞれ幸せになればよいのじゃ」にこにこ


「では、静香様の御国について、お聞かせ頂けましょうか?」


姫とクロは、中の国について話し始めた。



♯♯♯♯♯♯



 アオとサクラが中庭に出ると、翁亀が居る大池に、シロと神竜達が見えた。


近寄ってみると、馬頭鬼族長でギン王の執事であるマーさんが描いた魔界の地図を広げ、新たに何やら描き込んでいた。


しかも、そこには――


「父上!? 明日のお支度は!?」


「そんなもの、皆がやってしまって、かえって暇で仕方ないのだ」笑う。


「それで、何か判ったのですか?」


「リジュン殿の居場所が、この五つに絞れそうなのだ」


「ただ……私達も、この半年は仁佳に居りましたので、これ以上は絞りきれず……

申し訳ございません」


「ねぇ、神竜さん。

俺の肩に手を当てて探ってみて」にこっ


(サクラ、また闇を――)


(ごめん、アオ兄。今しかないと思うんだ)


(最低限だぞ)(もっちろ~ん♪)


神竜達がサクラの肩に手を置き、サクラは地図の上を掌で(なぞ)った。


「そこです!」神竜達が一斉に声を発した。


「で、どう行けばよいのだ?」


「ここからですと、ハザマの森を抜け、地下界の奥に向かわねばなりません。

遥かに遠い所です」


「闇の穴は?」「サクラ!」


「アオ兄にも迷惑かけちゃうけど、リジュンさん、早く助けないと、この先もっと大変になっちゃうよ」


「そうだけど……」


「アオ兄、お願いっ」拝む。


「的確に、リジュンさんの、すぐ傍に開けてくれよ」


「神竜の皆さん、宜しくお願いします!」


神竜達が、もう一度サクラの肩に手を置く。


サクラが闇を纏い、両手を前に出し、闇の穴を開いた。


アオが、その向こうを確かめる。


穴の向こうの魔物達が殺気立つ!


刹那、アオが放った光が、魔物達を塵と化した。


ギンとアオは、寝台に横たえられていた人物を穴から引き出した。


サクラが闇の穴を閉じる。


ほんの一瞬の出来事だった。




 アオはサクラを抱え、深蒼の祠に曲空した。

急ぎ、自身の浄化を行い、サクラを浄化台に横たえ、浄化と回復の光を当てた。


【何故また無茶を?】


「カルサイ様、何度も、すみません!」


【ああ、魔人を救ったのですね?】


カルサイはサクラの闇を消し去った。


【己が欲の為に使った訳ではありませんので、それならば、何度でも参りますよ。

でも……もう少し使い易くせねば、いずれ、闇に堕ちてしまいますね……

アオ、私にサクラをお預け願えますか?】


「はい。宜しくお願い致します。

私はリジュンさんの方へ参ります!」




 アオが中庭に戻ると、神竜達がリジュンの竜血環を破壊し、中で成長した闇を消す為の術を唱えていた。


そこに女神が現れた。

【貴方がアオ?】


「はい。貴女様は……?」


【ドルマイと申します。

カルサイに頼まれました。

この方ですね? 確かに酷い状態です。


そしてアオ、貴方も……

先ずは貴方から浄化します】



 ドルマイがアオを浄化するのが終わるのと、神竜達がリジュンに出来る限りの事を成し終えたのは、ほぼ同時だった。


【続きは、私が行います。

アオ、お手伝いくださいますか?】


「もちろんです!」


ドルマイが浄化を始め、暫くして、ネイカとホウが駆けて来た。


「兄さん!」


アオが微笑み、頷く。


ウェイミンも走って来た。



 そして、サクラとカルサイが浄化に加わり、沢山の闇の塊が取り出され、内に生まれていた魔物を滅した時、リジュンが目を開けた。


「兄さん!」「ジュン!」


抱き合い、喜び合っている四人を見ながら――


「アオ兄、もう、ひと仕事あるんだけど……」


「ご家族だね? でも、大丈夫なのかい?」


「だいじょぶ~♪

神竜さん、リジュンさんのご家族は、どこ?」


リジュンの時と同様に、牢からリジュンの家族を引き出した。

そして、呪などは無かったが、付着していた闇を滅した。


「サクラ、今度は闇に負けなかったね」


「うん♪ カルサイ様に残りの封印、解いてもらったら使い易くなった~♪」


【それでも一応、浄化しますね。

浄化が終わったら、私にも笛を聞かせてくださいね】


「はい♪」




♯♯ 人界 ♯♯


 その頃、馬車では――



 あ~~っ! 腹立つニャッ!

 せっかく、みんニャ揃って天界に行ったから

 馬車に細工しておこうと思ったのにニャ~


 ニャんで神が留守番してるのサ!

 ぷんぷんっ!


 両軍、全部隊にイカツイ結界なんか

 張っちゃって~

 どこにも手出し出来ニャイニャン!


 せっかくサクラの者見玉(モノミダマ)作ったのに、

 光の結界の中に行ったら見えニャイし!


 闇使ってる事しか、わかんニャイ!

 サクラのバカーーッ!


 せいぜい、闇を使いまくればいいニャッ!

 フンッ!!




【フジ、今度は、どうしたのですか?】


「姫様が晴れ着を望まれまして。

アメシス様、それでは行って参ります」


【フジ、こちらの事は気になさらず、生涯一度きりの大切な事です。

存分に楽しんでくださいね】


アメシスはフジを祝福の光で包んだ。





凜「『祝福の光』って?」


青「神の光だよ。

  今回は、それで結界を張ったんだ」


凜「そういう事かぁ。『幸福の種』は?」


青「それも神の光。少し運気が上がるかな?

  まぁ、浄化だね」


凜「アオ達は、どうやって手伝ったの?」


青「神以鏡の光も似たようなものだからね。

  カルサイ様の御力が強いから、

  俺達でも手伝えたんだと思うよ」


凜「カルサイ様って……」


青「たぶん、凄い神様だね」


凜「ドルマイ様って……」


青「カルサイ様の奥様なんじゃないかな?

  とても似た気をお持ちだったよ。

  同じくらい凄い女神様だよ」


凜「で、リジュンさん、アッサリ奪還って……」


青「アッサリって言うけど、サクラは

  かなり無茶したんだよ」


凜「だろうけど……」書く私には……


青「まだまだネタは、たくさん提供するから

  今回は、勘弁してよ」


凜「よーし! 約束だよっ!♪」るんっ♪


青「あ……」


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