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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
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仁佳城6-解呪

 この先、解呪は何度も出ます。

その度に、こんなん書けませんので、省略して、光で包んでとか輝きを放ってとかで、チャチャッと終わらせます。


 アオとサクラが連れて来た、仁佳の皇族の為に、神竜達が中央を空け、申し訳なさそうに俯いた。


(アオ兄、手を貸して。

神竜さん達に伝えたいんだ)アオの手を取る。


(神竜さん達、皇族さん達は、たぶん気付かないから、堂々としてていいと思うよ)にこっ


突然の声に、神竜達が驚いて顔を上げた。


(やったのは魔王なんだから、みなさんには罪なんてありませんよ~

それより、解呪お願いします)ごく小さく礼。


(あ……貴殿方は、一体……?

先程の光と言い……神なのですか?)


(俺達は、ただの竜ですよ)(ね~っ)


「神竜の皆様、皇子、皇女様方の解呪をお願い出来ましょうか?」


「あっ、はい。お任せください。

そちらに魔法円を描きましょうか」


神竜達が少し離れ、光で魔法円を描き始めた。


アオは皇子達と皇女を誘導した。

「神竜様方、必要な竜宝は御座いますか?」


「呪を受けた方が多いので、対象を明確にしたいのですが、至冀(シキ)の璧は有りますか?」


「御座います」サクラが答えた。


「それと浄禍器(ジョウカキ)をお願いします」


「畏まりました」アオとサクラが消え、


魔法円が描き上がる前に、璧と器を持って現れた。


「こちらで間違い御座いませんか?」


「はい。確かに……ありがとうございます」

「こんなに早く……驚きました」


「では、おひと方ずつ参ります。

中央へお願いします」


進み出た皇太子に至冀の璧を渡し、解呪が始まった。




「桜華姫様、皇后様の解呪をお願い出来ましょうか?」


桜華は皇后に手を翳し、頷くと、

「畏まりました」空いている場所に移動した。


桜華は床に紙片を置き、少し離れると、

「紫苑、珊瑚、よく見ていてね」

術を唱えながら紙片に光を当てた。


紙片が拡がり、広い紙になった。


筆で滑らかに、流れるように宙をなぞると、光の文字が紙面に浮かび上がってきた。


「皇后様、こちらへ」紙を示す。


皇后が紙の中央に立つ。


光の文字が皇后の周りに螺旋状に浮かび、小さな星屑を撒きながら回り始めた。


そして、するすると皇后の眉間に吸い込まれ――


皇后の口から闇黒色の小さな竜が、すぅーっと出ると――


桜華は掌大の二枚貝で、その闇黒竜を捕らえ、封印した。


「皇后様、もう大丈夫でございます」




 神竜の方は、皇女に至冀の璧を持たせて、魔法円の中央に立たせ、

五人で囲み、順に術を唱え、出て来た闇黒色の塊を浄禍器に捕らえていた。




「さて……前皇帝陛下、皇帝陛下。

貴殿方の呪は、神の御力を以てしか解く事が出来ません。

アオ、サクラ、フジを――おやまぁ」


【私が解呪いたしましょう】


「カルサイ様……」介入は?


【ここは天界。私も自由です】にっこり


「ありがとうございます!」アオとサクラ。


【見守りの最後の仕事です】満面の笑み。


カルサイが杖を振ると、魔法円が現れた。



(サクラ、笛の飾りが光っているよ)


(グリッターローズ様のだね~)


(カルサイ様と絆を結んでるのは――)


(きっと、そぉだね~♪)


(後で笛を吹きに行こう)(うんっ♪)



【神竜の方々、そちらは終わりましたね?】


「はい。後は滅するだけでございます」


【それは後程、私が致しましょう。

周りに、お立ち頂けますか?】


神竜達が魔法円の周りに立つ。


【アオとサクラも】


(なら――)(そだね~)

二人は一瞬、姿を消し、神以鏡(カムイキョウ)を各々の手にして現れ、新たな浄禍器を神竜に渡した。


【流石、竜宝の王達】にっこり


「凄い方々だらけの中で、その呼び方は恥ずかし過ぎますよぉ」

サクラが俯く。


【まぁまぁ、始めましょう】ふふふ♪


皇帝を魔法円の中央に立たせ、カルサイが術を唱え始めた。


アオとサクラの中で大器が発動され、合致する術の文言が、目の前を横切っていく。


カルサイがアオを見た。


続く節をアオが唱える。


カルサイに戻す。

カルサイがサクラを見た。


続く節をサクラが唱えた。


またカルサイに戻すと――


皇帝が持つ至冀の璧に、闇黒色の邪気が浮かび上がった。


カルサイの掌と、アオとサクラが持つ神以鏡から、光の竜が同時に放たれ――


闇黒色の邪気を捕らえ、神竜が持つ浄禍器へと運んだ。


【続けます】


光の竜達が浄禍器から抜け出、皇帝の周りを飛び交う。


カルサイが術を唱えながら両手を挙げるのに合わせて、アオとサクラは神以鏡を掲げた。


三方からの光を受け、皇帝の身体から闇黒色の靄が、焔の如く湧き立った。


光の竜達が、靄を喰らう。


アオとサクラが声を重ねると、靄を喰らい尽くした光の竜達は、一旦離れ――皇帝の胸へと勢いよく突入した。


そして、勢いそのまま、一緒に禍々しい塊を咥えて、頭頂から抜けて出た。


塊を浄禍器に収めると、光の竜達は天へと昇っていった。


カルサイが皇帝を光で包んだ。

【悪しきものは、全て取り去りました。

国に平和をもたらしてください】



 前皇帝も同様に解呪し、カルサイは、浄禍器に収めた全ての呪を滅した。


カルサイは、アオとサクラに向かい、

【解呪で疲れてはおりませんか?】微笑んだ。


「何とも御座いません。

カルサイ様、ありがとうございました」


【いえいえ、見守ってきました御縁です。

それでは、もう少し、お手伝い願います】


「はい。何なりと」


【ご兄弟のお祝い事が有るのですよね?】


「はい♪」


【幸福の種を蒔き、祝福の光で包みましょう】


アオとサクラは、カルサイに続いて飛んだ。




「それでは、皆様、これよりは、ごゆるりとなさってくださいませ。

シロ、モモ、ムラサキ、案内よろしゅうのぅ」




♯♯ 神界 ♯♯


【ここに居たのか。話せない筈だ】


【あら、お祖父様。如何なさいましたか?】


【アメシス様自身が必要らしい。

呼ばれているのだが、最高神は行けないようだ。

人界に行かせられるか?】


【そうね。そろそろいいかしら】


女神は、背を合わせている二人の肩に触れた。

【アメシス様、フジが呼んでいるそうよ。

一旦、休憩ね】


【あ、はい。それでは失礼致します】礼。


【こちらを出る方法を伝えておりませんでしたね……お祖父様――】


【ヒスイは預かってやろう。

王子達が神竜を助けた。

お前は、そちらの様子を見て来てくれ】


【畏まりました、お祖父様。

では、アメシス様、天界までお連れしますね】


【ありがとうございます】


女神とアメシスは姿を消した。




【では、ヒスイ、力を引き出してやろう】


【ありがとうございます!】


【サクラの行動に追い付かねばならぬ。

闇使いの天竜を失う訳にはゆかぬのだ。

少々無理をさせるが、耐えよ】


【はい!】


男神はヒスイの額に掌を翳した。

【ふむ。やはり、よく伸ばせているな。

気を極大まで高めよ】


【はい!】



♯♯♯



【ヒスイ、お前らの父親は生きている。

今は会わせる事は出来ぬが……

王子達と共に、闇の神を滅したならば、希望の光も見えよう。

私も協力する。頑張れ】


【父が……はい!】


【母親の魂は、父親が持っている。

つまり、いずれ、両親に会える】


【だから竜骨の祠には居ないのですね】


【会いに行っていたのか?】


【スミレが行ったと話していました】


【そうか】


【あの……】


【何だ?】


【アメシス様は――】


【ヒスイが想像している通りだが、王子達には話すな】


【はい】





 大婆様の部屋で解呪が行われていた頃――


姫「クロ、何処に向こぅておるのじゃ?」


黒「サクラに頼まれたんだ」


姫「何をじゃ?」



黒「アレだよ。翁亀様だ」


姫「ほぉ! 天の亀様か♪」


 二人、大池へと駆けて行く。


姫「まこと、大きいのぅ♪

  桜が咲いておるのぅ♪」


黒「だろっ♪

  翁亀様、こんにちは」


翁「ほぉ、クロ、愛らしい娘御を連れて

  どぉしたのじゃ?」


 小鳥達が、しきりに囀ずる。


翁「そぉかそぉか、クロは婿入りするのか。

  中の国の姫様とな。

  ふむ。真、目出度き事じゃのぉ」


姫「何故、知っておるのじゃ!?」


黒「翁亀様は小鳥達とも話せるんだ」


姫「天の亀様は凄いのじゃな♪」


黒「だろ♪」


翁「凄いとな」ほっほっほっ♪

 「では、クロ、馴初めなど話してくれるかの」


黒「あ? い、いや……それは、また今度~っ!」


姫「クロ! 何をするっ! 引っ張るでない!」


翁「仲良き事は、この上無き事じゃ♪」

 ほっほっほっ♪


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