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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
179/429

仁佳城2-桜華の手紙

 沢山の物やら者やらの名前が出てきますが、

覚えようと頑張らないでください。

すみません。m(__)m


 アオは忍頭に、治癒と回復を当て続けていた。


(サクラ、術にも詳しいよね?

偽者が作れないって、どういう事だい?)


(ん~とね、いくつか あるんだけど……

たぶん皇帝さんは、既に何かの呪に、かかってたんだと思うんだ)


(呪? どんな?)


(それは、会ってみないと わかんない。

ただ……

戦を止めたかったのに止められなかった。

そこに絡んでると思うんだ。

勝手な想像だけどね)


(ああ、そうか。

偽者を作るのも、一種の呪なんだね?

だから重ねて掛ける事が出来ない)


(そ。どの呪って限定はできないけど、たぶん本物が死ぬと、偽者も消滅しちゃうんじゃないかなぁ。

だから、だれも殺されなかった)


(皇帝は……生きているんだろうか……)


(わからない……とにかく見つけ出さなきゃね)




♯♯ 仁佳 北部 ♯♯


 東の国の軍では――


主軍に届いた帝からの賜り物の環を、皆が着けた事を見届け、睦月達は馬車へと向かった。


主軍の者達が着けた環は、当然 偽物で、輸送中に竜達が すり替え、本物は、とっくに護竜宝で消してしまっていた。


主軍は、こうして士気が上がっていたが、先陣の両翼が、片や人だけが消え、片や負傷者を多数抱えており、身動きがとれない有様だった。




 その、負傷者を抱えた片翼では――


軍師が恐る恐る桐箱を開けていた。


「これは……陰陽師の装束……桜華は、これを……」


白を基調とした淡い色合いの、織り模様と刺繍の美しい、たおやかな装束を手に取ると、手紙が はらりと落ちた。


手紙を拾い上げ、開く。



――――――



 嘉韶様


 この手紙をお読みくださっていらっしゃるという事は、貴方に装束が届いたのですね。


 この装束は、あの時、私が織っておりました物。

妖狐の力を込めておりますので、力や刃からだけではなく、術からも貴方をお護りする物でございます。


 私は人界を去る時、子供達を連れて行くべきか迷いましたが、

妖力の弱い狐として生きるより、貴方と共に、強き陰陽師として、人の世で生きる方が幸せに違いないと考え、人界に残して去ってしまいました。


 私が子供達を連れて行っておれば、貴方が いつまでも縛られる事など無かったでしょうに。

子供達を不遇になど、せずに済みましたのに。

人界での事を耳にする度、己の浅はかさを悔やむばかりでございました。


 しかし、子供達は、そんな不遇など、ものともせず、真っ直ぐ清らかに育っておりました。

義父母様には、ただただ感謝するばかりでございます。


 妖力も、私の懸念など無意味とばかりに、並の妖狐など、遥かに凌ぐ大きな力を持っており、

まだ、更なる上を目指して、修行に励んでおります。


 もはや、子供達は、護られる存在ではなく、人界を護ろうとしておりますので、

貴方の御親族との約束も、これまでと区切り、

これからは、私も共に、三界の平和に向けて戦っていく所存にございます。


 貴方の御親族は、魔物によって誑かされただけ。

全く恨みなどございません。


 それぞれの道とはなりましたが、

与えられた生を悔いなきよう全うしたく存じます。

いつかまた貴方と笑い合える日を夢見て――


 桜華



――――――



 会いたい……


 そうだな。

 もう、縛られる事など無いのだな……

 家など弐彌に継がせてしまおう。


 仁佳との戦を終わらせ、都に戻らなければ……




♯♯ 馬車 ♯♯


 いつものように、コギ達が魔人を連れて行き、

フジが天界から戻り、忍頭に薬を渡した。


仁佳の兵は忍屋敷へ、東の兵は嘉韶が居る軍へ運んだ。



「皇族の方々には、安全な場所に避難して頂きたいのですが、よろしいですか?」


キンの言葉に、皇族達は躊躇いながらも頷いたが、皇太子だけは、どうしても見届けたいと同行を望んだ。


「御命の保証は致し兼ねますが、それでも?」


「私が死する事あろうが、皇子は、まだ二人もおります。

しかと見届けねば、気持ちが収まりません!」


(どぉしよ、ついて来るなら、めーいっぱい護るけどぉ。

キン兄、決めてね~)


(俺も、キン兄さんに従います)


(ふむ……護ってくれるか?)


(勿論、死なせる訳にはいきませんよ)


(ならば、頼んだぞ)


(はい)(うん)


「分かりました。

皇太子様のみ、御同行ください」




 キンは皇族達を乗せて、船の発着場に向かった。


「キン兄、頻繁に上に行ってるな……」


「そりゃ、もぉすぐ婚約だもん」


「決まったのか?」


「とっくに~」


「いつ!?」


「あさって~♪」


「え……聞いてねぇぞ!」


「クロも、その場に居た筈だけど……

これからの予定は、

明後日、立太子と婚約と戴冠式。

次の日、御披露目祝列。

その次、アカとフジの婚約式だよ」


「アカも!?」


「昨日、大婆様には、一緒に挨拶しましたよ。

クロ兄様も一緒になさったら如何ですか?

今なら、まだ間に合いますよね? アオ兄様」


「まぁ、ひと組 増えても、儀式は同じだからね。

大丈夫だと思うよ」


「いや……まだ、そこまでじゃ……」


「クロ兄は婿入りだから、姫に決めてもらうんだよね~」くすくす♪


「サクラ! っせーぞ!」


「クロがいい時にすればいいよ。

まだサクラもいるから、ゆっくりでかまわないよ」


 アオこそ、どうなんだよ!


と、クロは思ったが、口には出せなかった。


それはフジもサクラも同じで、皆、それは言ってはいけない事だと感じていた。


「クロ~、そろそろ夕食の支度を――

何故、皆 揃って、神妙なのじゃ?」


「いや、明後日から儀式が続くからな。

明日、仁佳城に乗り込むぞ!」


「おぅよ!

して、儀式とは?」


「キン兄さん、ハク兄さんの立太子と婚約。

アカとフジの婚約が続くんだよ」


「立太子……では、貴殿方は――」

姫の後ろに皇太子が居た。


「竜の国の王子達じゃ」


「では、先程、母と弟妹が乗って行ったのは――」


「王太子になるそうじゃ」


「とんだ失礼をっ!」


「気にせずともよい。

竜は人を乗せるのが好きじゃからのぅ」


「いや、しかし――」


「その通りですので、お気になさらず」にこっ


「姫は、いっ――もがっ」「何でもねえっ!」

サクラの口を押さえて、クロは曲空した。


「何じゃ? クロは如何したのじゃ?」


「姫も見に来るかい?」上を指す。


「行ってもよいのか?♪」


「何も問題無いよ。

リリスさんも喜ぶと思うよ」


「ならば、参ろうかの♪

その前に、仁佳城奪還じゃがの!」




♯♯ 神界 ♯♯


【貴女がスミレね?】


【はい……あの、貴女様は……?】


【最高神様から、貴女の指導を依頼されたの。

セレンテよ。よろしくね】


【よろしくお願い致します、セレンテ様】


【あ、あのっ、私も御指導お願い致します!

セレンテ様!】


【いいわよ。ただし、厳しくするわよ】


【はいっ! 宜しくお願い致します!】


【やる気の有る()は好きよ。

二人共、ついておいでなさい】


【はいっ!】





桜「ねぇねぇ、姫♪ いつクロ兄と――」


黒「サクラ!」連れて曲空!


姫「何なのじゃ? あの二人は」


桜「姫♪」曲空して現れ、即、連れ去られた。


姫「クロ! いい加減にせよっ!」


桜「クロ兄、姫に嫌われちゃうよ~」


黒「えっ……オレが悪いのか!?」


桜「姫♪ 結婚いつ?」


黒「あっ! サクラ!」


姫「ワラワに聞かれてものぅ」


桜「じゃ、クロ兄♪ いつ?」


黒「うっ……」曲空で逃げた。


桜「姫、クロ兄でホントにいいの?」


姫「そぅじゃのぅ~

  サクラ♪ 婿に来てくれるか?」


桜「ほえ?」後退り……曲空!


姫「サクラには、こぅすればよいのじゃ♪」

 わはははは♪


青「姫……それでいいのかい?

  逃げられたんだよ?」


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