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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
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仁佳東2-マーさん

 前回まで:馬車は仁佳の東岸に戻りました。


♯♯ 天界 ♯♯


 キンとハクは天竜王城で、立太子と婚約絡みの儀式について打ち合わせた後、

王、前王達と共に、馬頭鬼に会いに行った。


馬頭鬼は執事見習いとして、王の執事長に、しごかれていた。


「マーさん! 先程 指摘したばかりでしょっ!

何度 申せばよろしいのですかっ!?」


執事長の声が怒りで裏返り、

『マーさん』こと、馬頭鬼は縮こまっていた。


「まぁまぁ、そう怒らず」ギンが笑う。


「彼を借りて行ってもいいかな?」コハクも苦笑。


執事長は恭しく礼をし、

「御意のままに」馬頭鬼を解放した。




 ギン王の執務室に入る。


「魔界の事、魔王の事、知っている限りを詳しく話して頂けるかな?」


「はい、ギン王様。

何から、お話しすればよろしいのでしょう?」


「そうだな、魔王とは何者だ?」


「はっきりと見た事もございませんので、正体など存じませんが……見る度に、姿が違っておりました。

おそらく、依代を求めて、様々な身体を試しているのだと存じます。

中の気は、竜のような……しかし、何かが混ざっているのか、少し違うような……そんな感じが致しました」


「この前の『影』と呼んでいた輩は?」


「あれは魔王の影、分身の様な魔物です。

何体も存在していて、全て、あの様な闇黒竜の姿をしております」


「本拠地は何処なのだ?」


「地下魔界です、コハク王様。

地下魔界には、数多くの拠点が在ります。

魔王は、それらの拠点を移動しますので……

今、何処なのかは分かりません。

これまで拠点となった場所でしたら、分かりますが……」


「後で、魔界の地図を描いて欲しい」


「畏まりました」


「リジュン殿をご存知ですか?」


「キン様、リジュンとは……?

ああ、リ博士の事でしょうか?

竜血環を作っていた――」


「そうです!

その方は生きておられますか!?」


「おそらく……殺される事は無いと存じます。

魔王は、博士の知識を必要としておりますから。

私が最後に見た時には、眠っておられました。

博士は、試作品の竜血環によって、操られておりましたが、試作品故か、予期せぬ副作用が起き、その副作用が進まないよう、眠らされたと他の幹部から聞きました」


「今、どうなのかは分からないのだな?」


「はい……申し訳ございません」


「いや、謝る必要は無い。

リ博士のご家族については、ご存知ですか?」


「ご両親、ご兄弟――妹様と弟様でしたか……それと、奥様と、お子様がお二人。

皆様、捕まっておりましたが、お父様は病死、妹様と弟様は、博士が反抗した際に闇化されたと……

記憶に自信はございませんが……」


「残りの方々は?」


「存じ上げません。

人界――西の国の砂漠では、竜血環の試作品を、私が試しておりましたので、接触もございましたが、

以降は影直属となりましたので、その後の事は、知る機会が無く……眠らされていたのも、偶然 見掛けました次第でございます」


「竜血環以外の魔宝は、再現や改良をされていないのか?」


「はい、ハク様。

神禍乱(シンカロン)を再現しようとは、しておりました」


「それは、どんな魔宝なんだ?」


「神竜の力を奪い、自分のものにするのだという、漠然とした事しか聞いておりません」


「その為に神竜の魂を集めていたのか……

それで、実現の見込みは?」


「博士が眠っていては、進めようが無いと存じます」


「では、捕らえられた神竜の魂は?」


「そのまま、どこかに閉じ込められている筈でございます。集めるのは大変ですので。

試作品が出来れば、効果を試すでしょうが……」


「何にせよ、早急にリジュン殿を救出したい。

眠らされている場所――最後に見た場所でいい。

後で描く地図に印して欲しい」


「畏まりました、キン様」


「リ博士が眠ってて、何も進まないって事は、携わっているのは、博士ひとりだけなのか?」


「はい、ハク様。

以前は数人いたのですが、役立たずは必要無い、と闇化され、リ博士だけになってしまいました」


「人を大切にしねぇと国は滅びるんだがな。

それにしては、お前、重用されてたな」笑う


「はぁ……

それはもう、必死で取り入りましたので……」


「再生して貰ったとか言ってたよな?」


「はい。妖狐の三の姫様に滅された筈なのですが、何故か元に戻っておりました」


「方法は知っているのか?

使用する魔宝や魔術は?」


「全く分かりません。

ただ……目覚めた部屋には大きな鏡があり、

この身体は……別の誰かの身体に、私の……何と申しますか、因子の様なものが融合している……そんな気が致します」


「魔王が依代を求めている可能性が有るとすれば、実験だったのかもしれんな。

自分好みの依代を作る為のな」

ギンが顎に手を当て呟いた。


扉が叩かれた。

「国王様、お時間でございます」


執事長を見て、マーさんが跳び上がる。


王達が解散を告げ、マーさんは執事長に連行された。




 前王達とキン、ハクは、長老の山に曲空し、シロが大婆様に報告を始めた。


それを聞きながら――

(アオ、サクラ、馬頭鬼の話は信用出来るのか?)


(キン兄、だいじょぶだよ。

嘘は感じなかったから)


(馬頭鬼を再生した方法は分かるのか?)


(う~ん……鏡と、誰かの身体でしょ?

竜宝 使った術でも、そゆ『禁じ手』があるにはあるけど……)


(珍しく歯切れが悪いな)


(その術、ものすご~く力を要するから……

だから神竜の魂を集めてたと思うんだ。

でも、まだ、その力を得るための神化乱は、完成してないんでしょ?

なのに再生してるでしょ?

おかしいんだよね……)


(力を得る方法も、色々と試しているのかもしれんな)


(そぉかも……ね……)


(魔界へは、ハザマの森を通るしかないのか?)


(そんな事ないよ。

人界から魔竜王国に通じる道があるんだ)


(知っているのか?)


(人界からの入口は知ってる。

でも、解空鏡を見つけないと通れないんだ)


(サクラ、竜宝の国に行ってみようか?)


(そぉだね♪ アオ兄、行ってみよ~♪)


(待て、竜宝の国とは?)


(竜宝の魂達が居る所なんです)


(行けるのか?)


(俺達二人なら、行けます)


(そうか……なら、頼む)


(はい)(うん♪)



♯♯♯♯♯♯



「皆、合流したばかりなのに悪いんだけど――」


「また、どっか行くのか?」


「うん。ちょっと探し物~」


「私も、こちらに居りますので、行ってください」

フジが入って来た。


「フジ、お前、また来たのか?

上には行かねぇのか?」


「それも、ちゃんとしていますので、ご心配無く」にっこり


「ちゃんと……かよ……」


「クロ兄様より先に結婚してしまいますよ。

クロ兄様こそ、ちゃんとなさったらどうです?」


「いや……それは……」姫をチラッと見る。


「これじゃからのぅ~

他の者に乗り換えよぅかの♪」見回す。


アオとサクラがビクッとし、

「じゃ、行くねっ」

「ルリ、おいでっ」きゅる♪

(蔵にっ! せ~のっ!)消えた。


「姫……マジか……?」


「どぅじゃろのぅ~♪」


笑い声と共に、馬車は進んで行った。





黒「なぁ……姫は、本気で言ってるのか?」


凜「知らないわよ。

  私は実況中継してるだけなんだから」


黒「姫、オレは本気なんだ。姫の事を――」


凜「それを岩じゃなくて、姫に言いなさいよ」


黒「うっ……」カックン


姫「クロ~、昼餉は何じゃ?♪」ぴょこっ♪


黒「もちろん旨いもんだっ!

  アオとサクラにオレが勝てる事は

  コレしか無ぇっ!」ダッ!!


姫「甘味も作ってくれるかのぅ♪」


凜「今なら、何でも作ってくれるわよ♪」


姫「さよぅか♪ しからばっ!」したたたっ!


凜「お幸せに~♪」


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