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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
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涅魁東7-えほん

 前回まで:竜達は受け入れられて大喜びです。

      だから、ギンも来てしまいました。


 アオとサクラは、雪希に治癒の光を当てていた。

背後の食卓で、リリスが独り言ちながら、何かを書いていた。


静かになったので二人が振り返ると、リリスは座って考えていたまま眠っていた。


(運ぶ?)


(フジが戻るまで、このままで……)

アオは立ち上がり、リリスの肩に毛布を掛けた。


(アオ兄、どれがいい?)紙片を指す。


(表題を考えていたんだね)


(これ、絵本っぽいね~)つんつん


(絵本か……それもいいね)


(キン兄の絵、複製して、文字 書いていい?)


(複製? 出来るのかい?)


(アカ兄なら できるよ♪ 頼んでくるねっ)

サクラは挿絵原稿を持って消えた。



 アオが治癒を再開し、暫くすると――


サクラが戻り、複製した絵に、丸く可愛い文字を書き込み始めた。



――――――



ある なつのよる

ヤタが そうげんで ほしをみていると


ひとつの ほしが

ぐんぐん ちかづいて きました


ほし じゃない りゅう なんだ!

ヤタは かけよりました


しろい りゅうが

きょろきょろ していました


どうしたの?

ヤタが といかけました


かみかざりを おとして しまったの

たいせつな はなの かたちの かみかざり


ぼくも さがすよ


ありがとう

わたしは リリス


ぼくは ヤタ


ヤタと リリスは

くさを かきわけ かきわけ

かみかざりを さがしました


みつからないわ……


そらから さがそうよ


うん! ヤタ のって


リリスは ヤタを のせて

ゆっくり とびました



そうげんから もりへ


りすさん かみかざりを みなかった?


しらないよ

からすくん なら しってるかも


からすくん かみかざりを みなかった?


ぼくは みていないなぁ

きらきらする ものなら

まちに たくさん あるよ



もりから まちへ


おじさん かみかざりを みなかった?


みては いないが

きみは りゅうつかい なのかい?


ちがうよ

リリスは ともだち なんだ



まちから まちへ


おばさん かみかざりを みなかった?


まあ! かわいい りゅうつかい だこと

さがしものは これかい?


ちがうわ


りゅうが はなしたわ!

りゅうつかいくん どういうこと?


ぼくは りゅうつかい じゃないよ

リリスは ともだち だよ

ちゃんと おはなし できるよ



ヤタと リリスは

うみをこえ やまをこえ

あっちこっち さがしましたが

かみかざりは みつかりません


とうとう さいしょの そうげんに

もどって しまいました


リリス あそこ!


あきに なり

かれた くさの なかで

なにかが ひかって いました


ここに あったのね!


ヤタは リリスの かみに

きれいな はなの かたちの

かみかざりを つけました


ありがとう ヤタ

わたし かえらなきゃ


また あえる?


ヤタが おぼえていて くれるなら

いつでも あえるわ


わすれたりなんか しないよ!

ずっと ともだち だから


ありがとう

ずっと ともだち ね……


やくそくするよ

またね リリス


またね ヤタ


ヤタは そらに むかって

いつまでも いつまでも

てを ふりました



――――――



(う~ん……長いかなぁ……)


(凄いね、サクラ。

元から、そこに文字が有ったみたいだよ)


(えへへ♪)


(元が長いから難しいよね。

でも、絵に馴染んでいるから、文字だらけには見えないよ。

台詞と文章は、文字の色も、大きさも違えているから、俺は読み易かったよ。

小さい子は台詞だけ読めばいいし、読み聞かせなら全て読めばいいんだから、

リリスさん達に見せてみたら?)


(ありがと♪ アオ兄)


薪を抱えた空龍とフジが戻って来た。

「サクラ、それは何ですか?」


「絵本にしてみた~♪」


卓の上には、同じ絵が何枚も有る。

「アカ兄に複製してもらった~♪」


リリスが目を覚ました。


「ね♪ 読んでみてみて~♪」



 読み始めたところに、タツが入って来た。

「おや、綺麗な絵だねぇ。

竜の先生方、今度は絵本を作るのかい?」


タツも読み始める。

「孫を連れて来てもいいかい?」


「うんっ♪」




 タツは膝に男の子を乗せて抱き、卓に置いた絵本を読み聞かせ始めた。


「フジ兄、リリスさん、台詞お願い♪」


「えっ!? 私ですか?」「はい♪」


「うんっ♪ 俺、りすさ~ん♪

アオ兄、からすくんねっ♪」


「俺もっ!?」


「空龍さんと雪希さんも~♪」


「この、おじさんだね?」

「おばさんなのね♪」ふふっ♪



♯♯♯



「――手を振りましたとさ」


「おばあちゃん、いつもの おはなし、えほん ないって いってたよね?」


「これから、絵本になるんだよ」


「よかったぁ♪

これで わすれないから、りゅうに のれるね♪」


「そうだね。いい子にしてたら乗れるよ」


「うん♪」


「いい子だね~ 竜に乗りたい?」


「のりたい!」


「じゃ、乗る?」(フジ兄、外ねっ♪)


「うんっ! りゅう どこ?」


「ほら♪」窓を指す。


「おばあちゃん! はやく!

りゅうが にげちゃう!」じたばたっ!


「だいじょぶ~ 逃げないから~」にこにこ♪



♯♯♯



「私も早く乗りたいわ」

雪希が、窓の向こうで小さくなっていく竜を見ながら言った。


「すぐに乗れますよ」

光を当て続けるアオが微笑む。


「不思議ね……

どうして、竜なんていないって信じてたのかしら……?」


「それは――」


「って、竜の先生に尋ねるのは、おかしいわよね。

人が忘れてるんだから。

でも……人が忘れてしまったのに、どうして貴殿方は、ここに?」


「空龍さんとリリスさんが、覚えていてくださったから、来る事が出来ました」

にこっ♪


「あの人は、本当に信じていたのね……」





凜「喋るリスやカラスって……」


桜「トーゼン、天人か魔人だよ~」


凜「当時は普通にウロウロしてたの?」


桜「たぶん、そぉなんでしょ」


凜「今は、森とかには、いないよね?」


桜「会ったコトな~い。凜は?」


凜「リスやカラスに話しかけたりしないからっ」


桜「俺、だれでも話してみるよ~♪

  友達なれるかもだから~♪」


凜「あ~、サクラだもんね~」


桜「どぉして、そんなふぅに言うのぉ?」


青「サクラ、人は、人しか話さないと

  信じ込まされてしまったんだよ」


桜「凜も人なの?」


青「そこは疑問だけどね」


凜「おいっ」


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