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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
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涅魁東4-真祐の術

 大陸をアチコチしますので、サブタイトルは、人界での話の中心国にします。

1話まるっと天界や魔界に行ってしまっても、です。


♯♯ 天界 ♯♯


 長老の山の鍛練場に、姫の船も置かれた。


「ネイカさん、

魔界用の方舟に使ってた魔宝に似た竜宝と、人が境界を通過する鍵の竜宝を集めたから、甲板に置いとくね♪

足りない物は、いつでも言ってね」にこにこ♪


「工場長さん、ご協力ありがとうございます。

必要な資材は、この蛟にお申し付け下さい」


量産型竜宝工場の関係者も救助されたからと、その工場長が協力を申し出、人界用の船の改造が始まった。


「爽蛇、船の事は頼んだよ」


「お任せ下さい、アオ様♪」


「なんか~、爽蛇、嬉しそ~」


「わくわくしてます♪」


「アオ様~♪ 執事長~♪」

蛟の一団が飛んで来た。


「アオ兄の屋敷の……」「うん……そうだね」


「私達にも何かさせて下さいませ♪」アオを囲む。


「それなら、この皆さんの食事を――」


「畏まりましたっ♪」

アオが言い終わらないうちに、嬉々として散った。


「爽蛇、皆の事も頼んだよ」


「はい♪」



♯♯♯



 王子達はシロに連れられ、大婆様の部屋に向かった。


「アオ兄様のお屋敷の皆さんは、とても雰囲気が良いですね」


「フジの所は違うのかい?」


「私の執事長は、堅くて厳しくて……」ははは……


「クロ兄も、怒られてばっかりだって~」


「それは、クロが悪いんじゃないかなぁ」


「あ、そっか~」きゃははっ♪



 大婆様の部屋に着いた。

大婆様がやわらかく微笑んでいた。


【フジ様、先日はお助け頂き、ありがとうございました。

そして、お受け頂き、ありがとうございます】

神と成ったアメシスが礼をした。


「いえ、そんな……

私の方こそ御指名頂き、ありがとうございます」


「では、早速、始めようかの」


【アメシス様とフジ様は中央に、既に神竜との絆を結んでいらっしゃる方々は、こちらへ――】


立ち会いの神の指示で、それぞれ決められた位置に立つ。


 やはり、アオ兄様とサクラは、

 スミレ様、ヒスイ様と

 絆を結んでいるのですね……


フジは、アメシスの左右後方に立った二人を交互に見た。


【アメシス様、フジ様、胸の高さで右手を合わせてください】



 立ち会いの神が、真祐(シンユウ)の術を唱え始めた。

アオの後ろにスミレが、サクラの後ろにヒスイが現れた。


立ち会いの神の詞に続き、大婆様が詞を唱える。


護竜甲が、アメシスとフジの右手の上方に浮かび、紫を帯びた光を放ち、二人を包む。


立ち会いの神と大婆様が、数回 交互に唱えた後、アオとサクラが声を合わせて唱え、立ち会いの神と大婆様が声を重ねると――


二人を包む光に煌めきが生まれ、唱え終わると同時に、合わせた右手に吸い込まれた。


スミレとヒスイが微笑んで消える。


【これでいつでも心が通じます。

三界の平和の為、私の力を御存分にお使いください】


「ありがとうございます、アメシス様。

これから宜しくお願い致します」


立ち会いの神が、大婆様と、その両横に立つシロとキンに向かい、

【魔界に君臨する者は、神竜に対して強固な結界を成している為、私共は魔界に入る事が出来ません。

天竜の皆様を利用する様な形となり、誠に申し訳ございませんが、以後、宜しくお願い致します】

深々と礼。


「天竜の力だけでは、太刀打ち出来ぬ相手でございます。

神様方の御協力無くして、平和への道はございません。

どうか、無力な私共に御力添えを、宜しくお願い致します」

もっと深く礼。



♯♯♯



 神々は神界に帰って行った。

兄弟は中庭に出た。


「アオ兄様、サクラ、あの術を知っていたのですか?」


「知らな~い。唱えたのヒスイだから~」

「うん。スミレ様が、ね」


「いつから絆を結んでいたのですか?」


「それも知らな~い」

「気づいたら、傍にいらっしゃったんだ」


フジが ため息をつく。

「どうして今まで黙っていたのですか?」


「だって~、兄貴達にも、それぞれいると思ってたんだもん」ふくれる。

「俺も、そう思っていたよ」


「フジ、気持ちは解るが、そう二人を責めないでやって欲しい。

自分が当たり前だと思っている事は、気づき難いものだ」


「キン兄様……」


その時、アオとサクラに緊張が走り、二人がサッと顔を見合わせた。

「キン兄、フジ兄、掴まって!!

クロ兄に、せ~のっ!」




 クロが闇黒色の魔物の直中に居た。

クロの背で姫が聖輝水を放水し、クロが風技で、それを拡散している。


「フジ兄! リリスさんをっ!」

サクラが下を指す。


そこは、空龍の家の上空だった。


フジが豪速で急降下する。


アオとサクラがキンを挟み、治癒の光を溜める。


キンが一気に、その光を拡散させた。


空かさず、サクラが光の球を膨らませる。

「キン兄、アオ兄、手伝って!

平たくするよ!」


大きく拡げて下に放ち、元に戻って落下する人々を受けた。


「追加……無いかな……」

三人、背中合わせで宙を睨む。




 暫くそうして、三人は警戒を解いた。

下では姫が聖輝水を配っていた。


クロがコギ、紫苑、珊瑚を連れて現れた。


「治療しよう」降下した。




 空龍一家はハクが護っており、無事だったが、フジは両手を固く握りしめ、唇を噛んで俯いていた。


「フジ、大丈夫か? 暫く片時も離れるな」


「ありがとうございます。キン兄様」




♯♯ 天界 ♯♯


 夜になり――

ひと通り治療を終えたアオとサクラは、長老の山の蔵に入った。


(護竜宝達、この前の返事、お願い)


五つの護竜宝の魂が、アオとサクラを囲む。


【竜宝の総意をお伝え致します】


【貴殿方のご依頼は、やはり……

私共の存在意義に反するものです】


【ただ、その事が発生した場合、私共が悪用される可能性が極めて高く、それだけは避けなければなりません】


【ですので、お二人には……

全ての竜宝にとりましての絶対的な主、つまり、竜宝の王とお成り頂き、悪用を回避する王命を頂く事を条件とし――】


【先だってのご依頼も、王命として、お受け致します】


(竜宝の王――)(――って何をすればいいの?)


【竜宝の声をお聞き頂き、正しくお使い頂く。

それだけで御座います】


【お二人にとりましては、容易い事と存じます】


【悪意を持つ者に使われたくはない。

それが全ての竜宝の願いなのです】


(竜宝の存在意義に反する お願いをした俺達なのに、王になってもいいの?)


【お二人のお気持ちは、十分 理解しております】


【竜宝を内に持ち、共に成長された、お二人以上の適任者は居りません】


【お二人の御心、御力、この上無く理想的な王であると存じます】


(そんなに誉められても……ねぇ)顔を見合わす。


(でも、ならないと叶えて貰えないなら――)

(――やってみる?)

(二人で、だし)(やる?)

(ん、そうだね)(うん♪)


【竜宝の王とお成り頂けるのですね?】


(謹んで、お受け致します)二人、声を揃えた。


蔵の中が、竜宝達の歓声で満ち溢れる。


【皆、喜んでおります】


【我等が王、宜しくお願い致します】


【全竜宝への御布令は、行き届きました】


【近日中に、竜宝の国にて御挨拶をお願い致します】


「えーーーっ!?」二人、声が揃った。


 安請け合いだったか?


と、早くも、ちょっぴり後悔している竜宝の王達であった。





 竜宝の王達は、工房を訪れました。


桜「アカ兄、コレ~♪」小さい紡縁鏡♪


赤「ありがとう。

  流石、サクラだ。的確だな」


桜「えへ~♪ で、どれ?」


赤「これだ」


桜「わあぁ~♪♪♪

  アカ兄♪ コレにも込めてっ♪」


赤「それは……」


桜「ニセモノの守護珠♪」


赤「持っていたのか?」何故?


桜「うん♪ キレイだから~♪」


青「それって……」


桜「シロお爺様が作ったヤツ~♪」


青「もしかして、俺の解放の為かい?」


桜「そ♪ ホンモノ使わないとだったから♪」


青「もう一度、長老の山に行くよ

  お礼を言わないと――」


桜「じゃ、俺も~♪ アカ兄、お願いねっ♪」


赤「うむ」


桜「アオ兄♪ せ~のっ♪」


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