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三界奇譚  作者: みや凜
第二章 航海編
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大乱後4-クロ悩む

 前回まで:リリスに竜だと伝える方法を

      兄弟揃って考えました。


 翌朝、クロは、長老の山の大池に居る、翁亀の元を訪れていた。


「どうしたんじゃ? 浮かぬ顔をしおって。

曲空が巧く出来んのか? 調整してやろうか?」


「少し違うんですけど……

それも見て頂けますか?」


「額を着け、曲空するつもりで気を高めよ。

……ふむ、やはり、飛び抜けて適しておるな。

連続するならば、両隣をもう少し高めれば、精度も良くなり、回数もほぼ無制限になるじゃろ。

これだけ出来ておるのに、何が不満なんじゃ?」


「不満……とは違うのですが……

曲空は、皆 出来るから……

もうひとつ、何か出来るようになりたくて……

でも、何がいいのか……」


「そういう事か」ふぅむ……


「クロ兄、天性、気づいてないでしょ?」


「おお、サクラ♪ 持って来てくれたのか?♪」

翁亀が すこぶる嬉しそうだ。


「水晶、これで合ってる?」


「あの中から見つけ出せるのは、やはり、サクラだけじゃな」にこにこ♪


「クロの天性のぉ……

己で気付くのが一番 良いのじゃが、なかなかそうはいかんからの。

ちょうど良い。これで見てやろうかの」


(サクラ、この水晶を介して、儂とも話せるじゃろ?)


(はい。やはり、その効果がありましたか)


(気付いとったか。流石じゃな。

クロの天性をどう見る?)


(クロ兄様の天性は、二つ……

もしかしたら、三つ、かもしれませんが、ひとつは既に発現しています。

ただ……

自覚が無いので、漏れ出ているだけですが……)


(ふむ……確かに、無自覚に発現しておるな)


(感情起因だと思います。

でも、その感情にも目を背けていますから……

フジ兄様のように、自分の気持ちに、素直に向き合って下されば良いのですが……)


(確かにのぉ……ある意味、厄介じゃの)


(もうひとつは、まだ明確に発現してはおりませんが……

開きかけているとは思います。

こちらが発現すれば、未知の地への曲空も、可能になると思います)


(よく見つけられたのぉ!

こんな深層の天性を……

確かに、これを利用すれば、そういう曲空も出来るのぉ)


(もうひとつ……

更に深層ですので、それが天性なのか特性なのか、判断致しかねるのですが……

強化型ですので、発現すれば、全てに於いて、常に効力が上がると思います)


(これか。これは『常強(ジョウキョウ)』。

また、珍しい天性じゃのぉ。

しかし、よくもまぁ見つけたもんじゃ。

お前さん、本当に凄いのぉ)


(いえ、私ではなく、全て竜宝の力です。

翁亀様、この常強を開く事は可能ですか?)


(出来そうじゃな……

しかし、お前さんの方が確かではないか?)


(私は……スミレ様が神になるまで、目立ってはならないのです。

魔王に気付かれぬよう、力を制限しなければ、アオ兄様を護れませんから)


(ふむ……では、手を添えて貰おぅかの)


(はい。我が儘を申しまして、すみません)


(いやいや、なんなりとじゃ)

「クロ、ひとつ、開く事が出来るが、どうする?」


「お願いします!」


「サクラ、水晶をクロの額辺りに掲げてくれるかの?

では、目を閉じ、気を澄ませよ」


翁亀が術を唱えると、水晶の輝きがクロを包み――


唱え終わると、その輝きはクロに吸い込まれた後、弾け飛んだ。


「この力は『常強』、つまり、常時強化じゃ。

全ての力が底上げされ、強うなる。

治癒の光のように、使うておる自覚は無いじゃろぅがの」


「ありがとうございます! 翁亀様っ!」


「お前さん、他に、二つも天性を持っておるからの」


「えっ!? そんなに!?」

「普通ひとつなのに、クロ兄すごいね♪」


「ひとつは既に蓋が開いておる。

己の心と真摯に向き合えば、自在に使えるようになる」


「オレの……気持ち……?」


「あるでしょ? クロ兄、ほらっ♪

見ないフリしてるのが♪」クスクス♪


「お前っ! 翁亀様の前でっ!」真っ赤!


「若いモンには、一番 大事な気持ちじゃよ。

しっかり向き合えよ」にこにこ♪


「はぁ……」


「いっぺんに蓋を開けたら体がもたん。

既に開いておる、その力を己の意志で引き出す事が出来たら、また来い」


「向き合えば……使えますか?」


翁亀とサクラが微笑みながら頷いた。



♯♯♯



 翁亀に礼を言い、池から離れた。


「なぁ、サクラ……お前、何か知ってんだろ?」


「なにを~?」


「オレの天性の事だよ」


「知らな~い」


クロは、ため息をついた後、

「姫の事だろ? 向き合わなきゃなんねぇのは。

でもなぁ……いいのかなぁ……」


「殿様になってもいいって、父上 言ってたし~

姫もクロ兄の事、好きなんだし~

なんで迷ってるの?」


クロが照れて、そっぽを向く。


「リリスさんも狙われるかも、ってぇのに……

姫まで護らなきゃなんねぇのは――」


「その為に、クロ兄の天性が必要なんだよ」


いつもと違う口調に、驚いてサクラを見ると、サクラはクロに真剣な眼差しを向けていた。


「……既に姫は標的なんだから……」呟く。


「兄貴達も、そう言った。

やっぱり……そうなのか……」俯く。


「そう思うよ」


「お前、やっぱ何か知ってんだろ!」


「知らな~い。

知ってても言えな~い」


「教えてくれよ!」


「天性は、ねっ♪

自分で見つけて、自分で開いて、自分で伸ばしたら、

いっちば~ん強くなるんだよ♪

だから、ねっ♪」にこっ


「サクラ……」


「クロ兄の天性、二つとも すっごく強いんだ♪

だから~、がんばってねっ♪」


「お、おう……」


「もぉガマンしなくていいから~

姫と なかよくしてねっ♪」にっこり♪


「それと天性と関係あんのかよぉ」


「大アリだから♪

あ♪ クロ兄、アレなんだろ?」


「鍛練場かなぁ……何だろうな?」


「行ってみよ~♪」「おう♪」



 鍛練場には方舟があった。

ネイカとホウが、蛟と魔人達に指示をしていた。


「ネイカさん、コレなぁに?」


「魔人を魔界に運ぶ船です」


「コレも魔宝?」


「はい。魔宝を組み合わせています」


「人を人界にも運べる?」


「それは、この船では……

でも、人界の材料で作れば可能かもしれません」


「木を運べばいいの?」


「他にも必要な材料はありますが……

王子様方が乗ってらした、あの船に使っている物は、全て必要です」


「なら、あの船、持って来たらいいのか?」


「その方が早く出来ますし、有難いですが……」


「もう、陸に着くんだ。

荷物 降ろしたら、貰って来るよ」

クロの言葉に、サクラがニコニコ頷いた。





凜「で、医師章って?」


桜「これ~♪」


凜「ワッペン?」


桜「それなぁに?」

青「凜の世界でも死語なんじゃ――」


凜「うっさいわね! 絶滅してないわよっ!

  ……で、それ、どう使うの?」


桜「こやって~、ぺったん♪」

青「腕とか胸とか場合によっては帽子なんかに

  着けるんだよ」


凜「やっぱりワッペンじゃないのよ~」


青「着け外しが簡単なんだよ。竜宝だからね」


凜「ふぅん。で、金色なのね~

  あれ? ハクは銀色なの?」


白「うっせーなっ! 鱗に合わせたんだよっ!」


凜「そうなの?」


桜「試験の成績で決まるんだ♪」

黒「ハク兄はギリギリだったって聞いたぞ」


白「っせーぞ! わざとなんだよっ!」


凜「そうなんですか? キン様」


金「ハクの勉強嫌いは昔からだ。クロも、だ」


白&黒「バラすなよぉ」

凜「やっぱりね~」


桜「薬師のコレ~♪」


凜「あ、フジのね♪ フジも鱗に合わせたの?」


青「天界一の薬師を讃えて、その色に

  決まったんだよ。薬師章は最近できたんだ」


凜「じゃあ、こっちがフジの色に!?

  フジって、凄いのね~」


藤「あの……いえ……そんな……」ぽっ


凜「フジ、か~わ~い~い~♪」


桜「ぺったん章、作ったのアカ兄だよ♪」

青「本人にしか着かないんだ」

桜「なくしても、ちゃんと戻ってくるんだよ♪」

青「丈夫だしね」

桜「ずっとピカピカ~♪」


凜「アカ……その素材でスマホ作って!」


赤「ふむ。千里眼に応用する」


凜「スマホだってば~」


赤「そちらの世界に干渉は出来ぬ」ニヤリ


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