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三界奇譚  作者: みや凜
第二章 航海編
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天地乱7-終結

 そろそろ、プロローグの章に相関図とか

地図とか人物紹介とか纏めた方がいいのかな……

でも、ズレるらしいから、工夫しないと……

う~ん……


「ギン王、一体 何があったというのだ!」


前線から急ぎ城に戻ったコハクは、玉座のギンに詰め寄った。


「竜宝兵器を全域で使えなどと!

国を滅ぼす気か!!」


コハクはギンに迫りながら、その気を探る。


「戦果は上がらず、王子達も来ぬではないか。

どうして勝利など得られよう……」


 巧妙にギンの気を纏ってはいるが……


「コハク王よ、こんな所に居ていいのか?

ああ、そうか……

前線の指揮、交代して欲しいのだな?

俺が直ぐに終わらせてやろう」フッ


コハクは疑っていることを覚られぬよう、歩調も表情も変えず近付き続けており、ちょうど飛びかかれる間合いになっていた。


「その必要は無い!

お前の王命を破棄しに来ただけだ!!」


コハクは王笏を掲げた。


「コハク=エレ=シャルディドラグーナと天竜王家長老会の総意に依り、一連のギン王よりの命を無効とする!!」


「させぬ!」ギンが立ち上がる。


コハクは王笏を掲げたまま身構えた。


ギンが王笏を振り翳し、何事か唱えようと口を開いた時――


王笏の守護珠から光が迸り、持っているギンを包んだ。


勿論その光は、本物のギンが放ったもので、光は偽りの姿を剥ぎ取り、消し去った。


闇黒竜が、その姿を露にした。


ギンと王子達が一斉に踏み込み、間合いを詰めたので、闇黒竜は己の背後に闇の穴を穿とうとした。


「させないよ~」

闇黒竜の背後には、全王子の守護珠を抱えたサクラが、悪戯っぽく微笑んでいた。


全ての守護珠から光が放たれ、闇黒竜は目を押え、膝を突いた。


一番近くにいたコハクが捕り押さえようとした、その時――


闇黒竜は、突然 悶絶躄地し、断末魔の絶叫を残して、かき消えた。


「お、俺じゃないよぉ」サクラが たじろぐ。


「解っている。魔王に抹殺されたんだ」

ギンがサクラに寄り、ぽふっとして頭を撫でた。


「ギン……それと……」コハクが王子達を見回す。


「非常事態だ。許してくれ」


「ああ。ただ、説明してくれ」


「勿論だ。

しかし、人界任務中の王子が城に居るのは掟に反する。

ちょうど、偽者が厳重な人払いをしているようだから、それを利用させてもらう。

その上で――」


王の顔で皆を見回した後、悪戯っぽい目をしてニヤッと笑い、


「掟もヘッタクレも無い♪

今から、ただの親子と伯父で頼む」


「それは嬉しいな」コハクが笑う。




 ギンはコハクに全てを話した。

アオが行方不明となり、力も記憶も封印されていた事も、全て――


息子達は、バレまくりだ……と、観念して補足した。


「で、親父(シロ前王)が、あんな所に穴を開けたんだ」

玉座の後ろにある、王子達の笏杖立てを指す。


兄弟達が、笏杖立ての後ろの壁を外し、控えの間の明かりを灯すと、偽物の守護珠を着けた笏杖が、控えの間に転がっていた。


「そんな所に穴を……」コハクはハッとした。

「だからサクラが、そこに現れたのか!」


「うん♪ 穴から入った~♪」ホントは曲空♪


そして、コハクはアオに、

「本当に、もう大丈夫なのか?」

本当に、ただの伯父として尋ねた。


「はい。ここに、こうして居りますから」

心からの安堵と喜びを以て答えた。


「良かったな……本当に良かった……」

甥っ子達を見回して言った。


「はい!♪」兄弟達が一斉に応える。



「ところで、クロは人を娶るのか?」

「なんで父上までっ!!」焦るクロ。


「止めはせんぞ」

「止めてもいいですっ!! 無いんでっ!!」


「そうなのか? 残念だな。

再び人と仲良くなるための懸け橋となるか、と思ったのだが……」


「結婚は、ともかく……姫とは、竜と人との懸け橋になろうとは約束しましたよ」


「それなら、それでいい。

クロが思うように、やってみろ。

ま、本当に人界の殿様になってもいいんだからな。


で、フジの方は、どうなんだ?」


「私は、彼女との結婚を考えています。

ただ……まだ、竜だとは言っておりませんので……」


「そうか。だが、フジが選んだ女性なら真心が通じる筈だ。

悔い無きよう、フジの言葉で話してみろ」


「はい。ありがとうございます」


「キンとハクは、もう留保する理由が無いだろ。

進めるか?」


「はい。宜しくお願いします」

「んじゃ、俺も。一緒にお願いします。

でも、あの派手派手な市中引回しだけは勘弁してくださいよ~」


「……それは、ミドリに言ってくれ」


「……それは、もっと嫌かも……」


「だいたいなぁ――」

ギンがハクの肩に手を回し、皆に背を向ける。

「アイツが、俺の言う事なんて聞くと思うか?

だからな――」


ゴニョゴニョ話す濃淡の銀色の背中を眺めながら、皆がクスクス笑っていると――


二人が振り返り、ニヤリ。

「サクラ、説得 頼む♪」ハクが掌を合わせた。


「なんで!? 俺がっ!?」


「俺達が やったら、皆 やらなきゃなんねぇだろ♪

だから、なっ♪」


「それなら、フジ兄の方がっ――むぐっ!」

クロに口を塞がれた。


「私も、ご遠慮いたします」にっこり


「ついでに今回の事も、なっ。

サクラの話なら聞くだろうから、許可は出す」


「そんなぁ~ 父上まで~」


コハクが吹き出した。

「今回の事は、手を打ってある。

アカ、早速 役に立ったよ。ありがとな」


「何の事だ?」


不思議そうなギンに、コハクは微笑み、


「どのくらい待てば、再生できるんだ?」


「……半日。次は、もっと改良する」


「何かはわからんが、楽しみだ♪

で、アカは……まだ、好きにさせろと顔に書いてるな」笑う。


アカが紅い頬を更に染めて、そっぽを向き、皆の楽しげな笑い声が響いた。


「結婚に関しては、王子だとか何だとか考えなくていい。

お前らには生きるに当たって、何かと窮屈な思いをさせるが、それだけは自由にしていいからな」


息子達が嬉しそうに頷く。


「ギン、これから嫁が来て、孫ができる。

賑やかになるのが楽しみだな」


「そうだな。楽しみだ」目を細める。


「父上~

シロ爺みたいな顔しないでくださいよぉ」


「親父みたいだったか?」


一斉に頷く。

そして、また明るい笑いが起こる。


そこに騒々しい足音が迫って来た。

皆、気を消し、臨戦態勢をとる。


正面扉が――ドンバンドンッ!!――壊れそうだ。


『あなたっ!! ギン王様っ!!!

こちらにいらっしゃるのでしょう!?!

ここをお開けくださいませっ!!!!!

どうしてアオが死罪などとっ!!!!!

一体どういう事なのかっ、

説明して下さいませっっっ!!!!!!』


ドンドンッ!! バンバンバンッ!!!


「うわわ~」

「スゲーな……」

「どうする?」

「逃げるしかないでしょう?」

「無いな……」

「サクラ、行けよ」

「ハク兄が呼んじゃったんでしょっ」

「父上だよっ」


兄弟達は、ひそひそしながら後退る。


「マズイな……お前ら! 逃げろ!」


息子達を逃がすのかと思いきや、ギンは先に立って飛翔台に向かった。




 コハクまで一緒に 、皆で笑いながら天界の門まで逃げた。


「では、元気でな」


「はいっ!」


若い竜達は、父と伯父に見送られ、人界へと飛び立った。


楽しそうに じゃれ合いながら、陽の光を受け、煌めきながら小さくなっていく。


雲の向こうに見えなくなっても、二人は下を見ていた。


が、背後に気配を感じ――


兄弟(コハクとギン)が恐る恐る振り返ると、(シロ)が居た。


「親父かよ~」

「気を消さないでくれよ~」


 ミドリでなくて良かった……


「親父が、ここに来たって事は――」


「あんなもん、赤子の手よりも容易く捻れたわぃ」ニヤッ


「そんな事より――

皆で楽しそうに何しとったんじゃ?

何で、あの子らはワシに顔も見せずに行ってしもぅたんじゃ?」


拗ねた振りをしているが、目は笑っている。


今度は、こっちで、久しぶりの親子の会話が始まった。





 船の上空も静かになった。


儀「若様、姫様、魔人と天人は社に運びます。

  人を船にお願い致します」


紫「そうですね。人だけは別にせねば、

  姿を見て恐れるでしょうからね」


儀「では、先ずは、こちらをお願い致します。

  その後は、社の方にと三の姫様が

  仰っておりました」


珊「行ってもよろしいのですか?」


儀「今回は特別、と……

  これも修行の一環と存じます。

  では、また後程、お迎えに上がりますので」


二「はい! よろしくお願い致します!」


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