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三界奇譚  作者: みや凜
第二章 航海編
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天地乱1-闇雲

 転載だから余裕?

――いいえ、手直ししていますので自転車です。

  それでも、投稿後に誤字を見つけます。


♯♯ 天界 天竜王城 ♯♯


 シロは控えの()でギンを待っていた。

もちろん、王子達の守護珠は、全て すり替え済みで。


城内が俄に ざわめき始めた。


窓に寄ると、宵闇が訪れたばかりの遠くの空に、気の翳りが見える。

謁見の()の飛翔台に、伝令兵が降り立つのが見えた。

シロは急いで謁見の間に向かった。


「コハク王! 何事じゃ!?」


「父上、ハザマの森より、魔物の襲来です。

境界の警備兵軍が応戦していますが、敵数が多いようです。

ギンが戻るまで、城をお願いしてもよろしいですか?」


「任せよ。

闇黒色の魔物は、傀儡とされた魔人や操られておる魔人じゃ。

治癒の光で応戦せよ」


「ありがとうございます。ではっ!」


コハクは、精鋭兵と軍医を率いて出陣した。



「コハク王軍が出たならば、王都の結界を強化せよ!

見習いも含め、医師を集めよ!

治癒の手を持つ者ならば、誰でも構わん!

国中より、出来る限り多く集めるのだ!」


シロの(めい)で、近衛兵達が散った。




♯♯ 人界 船 ♯♯


 姫がリリスの腕輪に、三日月型の飾りを付けていると――


「魔物襲来!」物見が叫んだ。


姫が、航海士の部屋を気密し、甲板に出ると、船の上空は魔物で覆われていた。


 まるで闇の雲じゃのぅ……

 大きな魔物も混ざっておるな……


妖狐達が天に駆け昇る。

背にはアオと慎玄が乗っていた。


「姫様! こちらをお使いください!」

爽蛇が大きな放水器を渡した。


爽蛇は大樽に聖輝水を入れ、鏡を入れた。

たちまち聖輝水が樽に満杯となる。

「この水を魔物に放出して下さいませ!」


放水器と樽を繋ぎ、二人は放水器を構えた。



 一際 大きな魔獣が、咆哮を上げながら降下して来た。


「たんと浴びよ!!」姫が放水する!


 大きいが速い!!


 躱される!? また!?

 当たらぬのかっ!?


角度を変え、宙を蹴った魔獣が迫る!


 近くなれば、こちらのものじゃっ!


聖輝水が掠め、動きが鈍ったところに、正面から当てた!


聖輝水をたっぷり浴びた魔獣は、動きを止め、色が戻り、小さくなりながら落下した。


「わん太郎!?」駆け寄る。


倒れたままのタォが、首だけ上げた。

「姫さま~♪」尻尾ぶんぶん♪「ありがと♪」



♯♯♯



 上空では、アオの治癒の光と、慎玄の浄化の光に、紫苑と珊瑚が妖力を加えて込め、強化し、拡散していた。


コギが現れた。タォを乗せている。

「タォを追って参りました。

一先ず、(やしろ)に戻し、参じます」


言って、光の矢となり、魔物の群れを突っ切って消えた。


コギの配下達が、海上に念網を拡げた。




♯♯ 天界 天竜王城 ♯♯


 大広間に集めた、天性・治癒を持つ者達に、シロが対処法を説明していると、ギンが帰城した。


「前王、ありがとうございました」


「山からも、治癒を持つ長老達を、王都の結界に向かわせておる。

あとは頼んだぞ」


「はい。

くれぐれも御無理なさいませぬよう」


「年寄り扱いしおって」笑う。

「ここが違うからのぅ」頭を指す。

「無理なんぞせんでも戦えるわい」ニヤッ


「では、な」シロは飛翔台から飛び立った。


ギンは医師達を各所に配置し、玉座に着いた。


 親父……また、守護珠を持って行ったな……




♯♯ 人界 船 ♯♯


 クロは知らせよと言ぅておったが、

 なんとかなりそぅじゃから、

 言わずとも構わぬじゃろぅのぅ……


姫が、そう思った時、アオを乗せた紫苑が降下して来た。


アオが部屋へと走る。


「如何したのじゃ?」紫苑に問う。


「回復薬が少なくなりましたので」



 アオが薬袋を持って甲板に出ようとした時、

アオの耳元に闇の穴が開き、拡がり、アオを引き込み、即、閉じ始めた。


「アオ!」姫が飛び込む。(クロ!!)


闇の穴が塞がると同時に、クロが現れた。

「姫っ!!」キョロキョロ「――は、どこだ?」


「アオ様と姫様が闇の穴にっ!!」


「どういう事だっ!? 爽蛇!!」




♯♯ 天界 天竜王城 ♯♯


 玉座のギンは、夜が更けても尚、報告を聞き、指示を出す事を繰り返していた。

それが途切れた時、すぐ目の前に、闇の穴が穿たれ、闇黒色の靄が吹き出し、視界が歪んだ。


ギンが見回すと、謁見の()に居た全ての者が静止していた。


穴から魔物が出て来て、穴に向かって恭しく一礼すると、闇の穴が大きく拡がり、闇黒竜が姿を現した。


「天竜王様、私の指示に従って頂きます」

魔物が、今度はギンに向かって、恭しく礼をした。


「何故?」

ギンは立ち上がろうとしたが、動きを封じられていた。


「貴方様には、発言権は御座いません。

勿論、拒否権も……」ほっほっほ……


ギンは気を高め、呪縛を解こうとした。


「実力行使に出ると仰るのでしたら、貴方様の愛する王子――竜に戻れない王子様が、どうなっても知りませんよ」ほ~~ほっほ♪


ギンは高めた気のまま、王子達の気を探った。


 ……アオが……蒼牙も見つからない……

 まさか!?


魔物がギンの表情を見て、ほくそ笑む。


「解った……」


「御理解頂けまして光栄に存じます。

それでは、早速、動いて頂きましょう」



♯♯♯♯♯♯



 闇の穴に引き込まれたアオに向かって竜血環が迫る!


「アオ!」

穴に飛び込んだ姫が立ち塞がった。


「姫!!」

「構わぬ! 下がれっ!!」


竜血環が姫の体に触れる寸前、妖狐の護札の文字が、姫の前に紅く浮かび、三日月型の飾りが紅く輝いた。


竜血環が弾け散る。


「へ!?」きょとん


続いて迫った環も弾け散った。


 この護札と御守の力……

 共鳴しておるのか!?


(クロ!)


(姫!? 無事か!?)


(生きておるぞ♪)


(どこに居るんだ?)


(わからぬ)


(アオも居るのか?)


()るぞ。この御守、あの輪を壊すぞ♪)


(そっか……アオを護ってくれてんだな)


(任せおけと申したからの♪)


(無理すんなよ)


(解っておる♪)


クロと話ながらも、姫は次々と竜血環を破壊しながら、発射元に近付いていた。


(調子に乗るなよぉ)


(調子は良好じゃ♪)斬!

発射台を、朱鳳で真っ二つにした。


(大丈夫かよ~)


(魔物が……居らぬ?)


(罠かもしれねぇぞ)


(うむ……)ん!? アオは!?


振り返ると、アオは魔物に囲まれている中で、剣に光を集めていた。


「アオ!」

姫が叫び、踏み出すと同時に、アオは剣を払い、光の円弧が放たれた。


光に包まれた魔物達が塵となって消える。


……静寂……


「もう、居らぬのかのぅ……」


魔物の有無を確認ついでに見回すが、出入口らしきものは無い。


引き込まれた部屋は、魔物が消滅した後、次第に暗くて何も無い、ぼんやり、のっぺりとした空間になっていく。


ただただ灰色の、境も何も無い空間に――


(アオ兄! 俺と手を繋いで!

離れて行ってる! 早くっ!!)


(サクラ? 手を?)


(まだ聞こえてるよね?

アオ兄、朝やったのと、おんなじだよ。

心で繋がれば飛べるからっ)


アオは目を閉じてみた。

(サクラ……あ……見えたよ。ありがとう)


「姫、脱出するよ」手を伸ばす。


姫がアオの手を取った時、アオは、心の中のサクラの手を掴んだ。


(アオ兄、船のクロ兄にっ! せ~のっ!)


一瞬の浮遊感……


そして、船に降り立った。


「アオ兄~♪」サクラがアオに抱きつく。

「姫っ!?♪」クロに姫が抱きついた。





 伊牟呂の鉱山地帯では――


白「サクラ!?」


藤「クロ兄様に続いて……ハク兄様! 船に!」


白「フジは、その石、頼む!

  奪われたらオシマイだからなっ!」


藤「はい!」


白「もっと集めといてくれ!」曲空!


  私も……曲空したい……会得せねば!

  でも、今は集めねばなりませんね!


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