表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三界奇譚  作者: みや凜
第二章 航海編
108/429

西航行20-決意

 天竜王族の『修学』は、

一定期間、一般の高等学校で学ぶもので、社会見学のようなものです。

高等学校の一般の入学は、百五十歳(十五人歳)からで、在学期間は三十年以上。

卒業する為には試験に合格しなければなりません。

キンやハクの頃は、王族は百歳(十人歳)から入学可能で、在学期間は十年間でした。


 以降、どうなっているのかは、またいずれ――


 アオとサクラが部屋で話していると、笛の音が聞こえてきた。

その音は清々しく、また、強い決意が感じられた。


「フジの音だね」


「行ってみる?」


「二人で居たら、戻ろうね」


サクラがニコニコしながら頷く。



♯♯♯



 フジは、ひとり垣立に腰掛け、笛を吹いていた。


アオが音を重ねる。


フジの目が微笑んだ。


数曲 奏で、笛を下ろし、

「フジ、護ると決めたんだね?」


「はい」にっこり


「そう」にっこり


「クロより先になっちまったな♪」

ハクが巡視から戻っていた。


(ハク兄は、どぉするの?)


(何をだ!?)


(キン兄は進めてるよ)ニコニコ♪


(何 知ってんだよ!? おいっ、サクラ!!)


(いろいろ~♪)


(お前……)冷や汗 (誰にも言うなよ!)


(言わないよ。安心して♪)


キンが来た。


(俺は言わないけど~)

(キン兄、ハク兄、あれ――)


キンとハクが、サクラの視線を追う。

そして慌てて飛んで行った。


「兄さん達、急に……どうしたんだろう?

サクラ、聞いてくれるかい? 敵なら――」


「だいじょぶ~♪ 団子 食べよ~♪」

キンが置いた包みに抱き付いた。


「様子を見て参りましょうか?」


「ほっといてあげて~♪」にこにこ♪


「……そうですか?」

「まぁ、問題無いなら……」



♯♯♯♯♯♯



「来るなら来ると言ってくれっ!」

焦りまくりのハク。


「シロ様とモモ様からは、きちんと許可を頂いておりますよ」にっこり♪

「ちょうど、キン様が飛び立たれた所で、伝えようがありませんでしたの」

ふふふっ♪


「それで、急ぎの用なのか?」

「人界は危険なんだからなっ」


「私達も、試練の山は合格しましたから、志願すれば戦えるのですよ」


「あの山を!?」キンとハク、揃った。


「ええ、一緒に♪」揃って、にっこり♪


「それで、妃修行も一緒にさせて頂きたいと存じまして、許可を頂きたく参りました」


「そうか……ハク、どうだ?」


「ってか、どんな話になってて!

こちらは何方(どなた)なんだよ! 兄貴!」


「ああ、そうか。初対面だったか……」


三人、頷く。

女性二人はクスクス笑いながら。


「私の――もうすぐ婚約者になるボタンだ」


鮮やかな緋牡丹色の竜が優雅に会釈する。


「兄貴……いつの間に……?」


「修学の時だ」


「そんな前から……」全然 知らなかった……


「ハクは?」


「俺も修学だけど……」


「長い付き合いならば、彼女で決まりなのだろ?

許可すべきだと思うが?」


「いや……俺は、まだ……

そこまで決めてなくて……」


「二人で話せばいい」

そう言って、キンはボタンと共に離れた。


 ハクは、楽しそうな二人を見詰め――

「ちゃんと相手が居たんだな……

兄貴らしいと言えば兄貴らしいか……

いつも何でもキッチリ決めるもんな……」


ボタンに負けない鮮やかさの彩橙色の竜がハクを突っつく。


「あ……」


「私では……ダメ?」


「そうじゃなくて、人界の任が終わってからって考えてたからな……

それより、兄貴から何も聞いてなくて、寝耳に氷水ぶっかけられたみたいな気分で……

まぁ、それだけだ。

ミカンには何の不満も無いさ」


「よかった……」安堵が、ため息になる。


「許可か……署名だけか?」


「うん」紙を差し出す。


サラサラと署名する。

「大変だけど、頑張れよ」


さりげなく抱き寄せ、口づけた。



♯♯♯



「まだ、婚儀は先の話になる。

待っていて欲しい。

出来るだけ早く、正式な婚約者には、すると決めているのでな」


キンが優しく微笑み、ボタンの髪を撫でる。

ボタンはキンの肩に寄り添い、頷いた。


「ん?」


ハクとミカンが天界に向かっていた。


「私達も行こう。長老の山まで送る」


「ありがとうございます」にっこり


幸せそうに煌めき、ぴったり寄り添い、キンとボタンも天界に向かった。



♯♯♯♯♯♯



 夜になってもキンとハクが戻らないので、フジは巡視に出ていた。


 クロ兄様に伝えにも行っておきましょう。


ハザマの森の修練場に豪速で向かった。



「クロ兄様、少しよろしいですか?」


「どうした? フジ。

お前……何か……雰囲気 変わったな」


「そうですか?

リリスさんから伝言があるんです」


「なんでリリスさんから?」


「姫様から聞き出して頂きましたので」


「え? それをわざわざ?」


「まぁ……兄様達も仲良くなって頂きたいので」


「『も』? フジ……もしかして、お前達……」


フジの頬が染まる。


「わかりやすいヤツだなっ!」


「私の事はいいでしょう?

姫様が酷く落ち込んでいましたから、伝えに参ったのです」キッパリ


「お、おぅ」何か強くなったな……


「姫様が目を開けられなかったのは、魔物がした事が恥ずかしかったからで、何かを企んでいたとか、騙そうとか、そういう悪意は無かったそうです」


「解ってるよ。姫に悪意が無い事くらい。

怒ってなんかいねぇから安心しろ、って伝えてくれ」そっぽを向く。


 可愛い照れ隠しですね♪


「それだけで来たんじゃねぇだろ。

翁亀様んトコ行くのか?」


「ええ、教えて頂きたい事がありますので」


「リリスさんを天界に連れて来る方法か?」


また頬が染まる。

「人を連れて来る事が出来れば、アオ兄様も可能かもしれませんし……」


「そうだな……かもしれねぇな。

オレも知りたい。行こう!」


 翁亀の湖に曲空した。

しかし、桜の大木が見当たらない。


「深い所に居るのかなぁ」

クロは気を掴む要領で、翁亀の気を探したが、湖には居ないようだった。


「留守にする事も有るのか?」


「いえ、無いと思います」


二人は不安に包まれた。





黒「あーっ! またっ!

  オレのは何でも書くクセに!

  フジのは何で書かねぇんだよ!」


凜「だって、ほら……」


黒「ゲッ…… スッゲー睨んでやがる……」


凜「でしょ?

  だから、クロが説得してくれたら

  書けるんだけど――」


黒「いや……オレにはムリだ……

  劫火で焼かれたくねぇ……」


  アイツはマジで燃やすからなぁ……


凜「でもねっ♪

  説得を頼んでるから、たぶん大丈夫♪」


黒「それって、まさか……キン兄に、か?」


凜「当ったり~♪

  ここからは書きたいからね~♪」


黒「それって……脅してるんじゃ……」


凜「皆さん、お年頃だからね~♪

  当然、有ると思うのよね~♪

  だから、書きたいじゃない?」うふふっ♪


藤「有るのは当然ですがっ!

  書くのは別ですっ!!」


凜「ヤバッ! クロ、曲空してっ!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ