表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三界奇譚  作者: みや凜
第二章 航海編
107/429

西航行19-進める

 前回まで:皆でフジを後押ししてます。 


♯♯ 天界 長老の山 ♯♯


 大婆様の部屋から出、シロはキンに問いかけた。


「いろいろ、いっぺんに起こって大変じゃが……

こんな時に始めてもよいのか?」


「ああ……あの件ですか?

そちらも時間が掛かるでしょうから、進めて頂けますか?

ただし、単独で進められる範囲内で。

儀式などは先延ばしで、お願いします」


「ふむ……

人界から、皆、揃って離れる訳にはいかん、という事で徹しておくわい。

しかし、そうなると……

モモさんが付く事は無理かのぅ……

解読を急がねばならんからのぅ」


「大丈夫ですよ。ウェイミンがおりますから。

それに、時間を調整するには、どちらも私の方がよろしいでしょ?」


「モモさん……どこから現れたんじゃ?」


「厨房から出たら、二人が見えたの」ふふっ♪

「キン、今日は団子がありますから、持って行ってね」にっこり


「ありがとうございます、モモお婆様」にこっ


 あら、キンが自然に笑顔を……

 この様子なら、心配要らないわね。


「それでは、シロお爺様、モモお婆様、色々とお願い致しまして申し訳ございませんが、宜しくお願いします」

丁寧に頭を下げた。



♯♯♯♯♯♯



 アオは部屋に戻り、眠っているサクラを見ていた。


(アオ兄、心配しないで。

ちょっと疲れただけだから)


(起こしてしまった?)


(ううん、起きたらアオ兄がいたんだ♪)


(そうか……

サクラ、クロを呼んだって事は、フジが危ない、って事を察知したのかい?)


(うん……フジ兄、すっごく困ってたから)


(そうか……ありがとう。サクラは凄いな)


(俺じゃないよ。

俺の中の竜宝達が、ヒスイの欠片を通じて教えてくれるんだ。

あ、四眼もアオ兄が持っててね)


(サクラが使うんじゃないのかい?)


(今はアオ兄の方が必要でしょ?

その必要がなくなったら、両方ちょーだいねっ)


(解った。ありがとう、サクラ。

俺も、サクラと同じように竜宝の力で戦うからね。

もう、無理に抉じ開けないから、安心して)


(うん♪ 竜にはなれないけど、我慢してね)


(そうか……それは出来ないんだね。解ったよ)


(三本あれば、水竜 呼べるから、それで、ね?)


 蒼牙の欠片ぜんぶ集めたら、

 一本だけで出せるはず。

 だから、これから蒼牙も探さなきゃ……


(水竜? ああ、あれか……

なら、姫の剣も竜宝なのかい?)


(うん。朱牙(シュガ)って、蒼牙の仲間の欠片と、鳳雅(ホウガ)って、華雅(カガ)の仲間の欠片が入ってる)


 朱牙……何か引っ掛かる……

 俺は、朱牙も使っていたのか?

 ……いや、違うな……一体 何が……

 とても大切な……大切な事な筈なのに……


(アカ兄が、蒼牙と華雅との相性を考えて、もちろん、姫に合わせて作ったんだ。

それで、朱鳳(アケミトリ)って名前なんだ)


(よく知っているんだね……)


(アカ兄が教えてくれたんだ)


(アカ……サクラには喋るんだね……)


(アカ兄も普通に話すよ~)きゃははっ♪


サクラが起き上がった。


(キン兄が、こっち来てるよ♪ 団子 持ってる♪)


(そんな事まで分かるのかい?)


(キン兄は特別♪ アオ兄とは違って、特別♪

キン兄は、俺を通じて、俺が見聞きしてる事を感じ取れるんだ。

なんか、そんな技 覚えたみたい。

だから、俺もキン兄が見聞きしてる事、伝わってきちゃうんだ)


(逆流?)


(そんな感じ。

たぶんアオ兄も、竜宝いっぱい使ってたら、キン兄と繋がっちゃうよ♪)


 兄貴達と話すの、もうできるかな?

 まだビミョーかな……う~ん……


(そうなったら……なんか、嬉しいな)


(うん♪ 調整も出来るからね。

あ、それでね、護竜盾(ゴリュウジュン)はキン兄にあげてね。

それは、アオ兄と俺には、必要無いから)


(解った。

サクラ、話し方が、いつもと少し違うんだね)


(あ……つい……)


(なんとなく解っていたから、俺には力抜いていいよ)


 ああしてるのも、俺の為なんだろうな……

 きっと……


(アオ兄には解っちゃうよね~)あはは……


(だんだん、はっきり伝わってくるようになってきたからね。

無理しなくていいよ)にこっ


(ありがと。アオ兄)にこっ



♯♯♯♯♯♯



 フジが垣立にもたれて空を見ていると、今度は姫が来た。


 皆さんに心配かけてしまってますね……


「のぅ……フジ……」


「クロ兄様は、上に戻りましたよ」


「怒っておったか?」


「表面は……でも、本気では怒っていませんよ」


「然様か……

それより……のぅ……

フジは、何故、リリスに気持ちを伝えぬのじゃ?

好いておるのであろ?」


「それは……そんな……こと……無い……」


「ワラワでも分かる程に隠せておらぬぞ」


「えっ!?」


「リリスも、じゃが……

二人とも、自分の気持ちから目を背けおって、互いに伝えぬなどと……

まったくもって、そっくりじゃな」


「そんなに……分かる程……」ため息……


「知らぬは互いのみ、ではないか?」フフン♪


「そうですか……」もう一度、ため息……


 ああ……ですから、

 ハク兄様も、アオ兄様も……


「リリスは、自分が踊り子じゃから、生きてきた世界が違い過ぎるからと……

それに年上じゃから言えぬと、言うておったぞ」


「なぜ、そんな事を気にするのです?」


「そぅ言うと思ぅとったわ。

オナゴじゃから気にするのじゃ」


「なぜ職業で? 年齢など……どうして?」


「フジは純粋じゃからのぅ。

それが、リリスには辛いのじゃ。

フジには相応しくない、と思ぅとるのじゃ」


「そんな……そんな傷つき方……」


「じゃから、リリスからは決して言わぬぞ。

フジから言ぅてやらねばのぅ」


「それは…………出来ません。

私の想い人だと敵に知られれば、また、危険な目に遇わせてしまいます。

これから魔界に進めば護りきれません」


「ならば、早ぅ平和な世にするまでじゃな」


「えっ?」


「そぅじゃろ?

敵さえ、おらぬよぅになれば、問題無いのじゃろ?」


「確かに……そうですね」


「ならば、とにかく気持ちを伝えよ。

大陸に着き、話す機を逸する前にのぅ」


「リリスさんを送ってからでも、私には伺う口実はありますから」にっこり


 あ、笑いおった……


「薬も運びますし、あの物語もありますから。

キン兄様が、誰か書き留めてくれるか?

と言った時は、無意識……と言うか、リリスさんの目を見なくてすむので、手を挙げたのですが……

おかげで、渡した後も話せる口実になりそうです」にこにこ


 ワラワもクロの目を見るのは恐いからのぅ。

 心の臓が早鐘のよぅになるからのぅ。

 竜も同じなのじゃな……


「後でも、会いに行くのか?」


「修正は無いか、とか、新たに思い出した話は無いか、とか……」

頬を染める。


 フジ……可愛ぃぞ♪


「とにかく、リリスを安心させてやらねばの。

おそらく本心では待っておろぅからな」


「私の気持ちは、既に、リリスさんに伝わってしまっているのでは……?」


「知らぬよぅじゃったぞ。

ワラワも思うに、全部が全部 流れてきた訳では無さそぅじゃからの」


 とは、嘘じゃが……

 やはり、しかと言葉にして欲しいもの

 じゃからの。


「そうですか……

まだ、知られていないのですね……」


「じゃから、早ぅ伝えておけ。

待って欲しいとだけはのぅ。

さもなくば、新たな幸せを探す、と言ぅておったぞ」


「えっ!?」


「さすれば、会いに行った時も楽しかろ?」


「あ……」おもいっきり赤面。


「ではな。しかと伝えるのじゃぞ♪」


姫が、サッとフジの背後を指す。

そして、素早く逃げた。



 リリスがクロへの伝言を頼もうと、船室の角を曲がった時、

フジはリリスの方を向いて微笑んでいた。

隠しきれない緊張を 、少しばかり溢れさせて――





凜「キン様♪ 以前、仰っていた事を

  進めるんですね?」


金「そうだが、何か言いたげだな」


凜「書いてもいいですか?」


金「それは……私は脇役だから、その必要は

  無いと思うが?」


凜「脇役だなんて~

  メインはアオ、サブがサクラですが

  その場その場では、どなたも主役ですよ」


金「だとしても、書く必要は無い」


凜「書きたいから、という作者の気持ちは

  必要云々より強いんですよ?」


金「面白くも無い話だ」


凜「面白くしますからぁ」


金「しなくていい!

  そもそも書かなくていい!」


凜「そこまで仰るなら書きませんけど、

  その代わり――」ふっふっふ……


金「……何だ?」


凜「ひとつ、お願いがあります」にやり


金「脅すと言うのか?」


凜「いいえ、『お願い』です」


金「ふむ」脅迫確定だな。「先ずは聞こう」


凜「では――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ