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三界奇譚  作者: みや凜
第二章 航海編
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西航行13-四眼復活

 主役は誰?

――一応、アオですが、その時その時です。


 キンは長老の山に向かう為に、ハクとサクラは船に向かう為に、一緒に竜ヶ峰を飛び立った。

上昇しながら、ハクはサクラに声を掛けた。

(アオとフジに、姫様とリリスさんの様子、聞いてくれるか?)


(うん♪ ちょっと待ってね~♪)


…………


(変わりないって~

熱出てないって言ってたけど、病気?)


(ありがとな。ああ、まぁ病気だ。

シロ爺は、何で兄貴を呼んだと思う?)


(四眼が見つかったから~♪)


(やっぱりか……なら、俺達も上に行くか)


(うんっ♪)


(四眼……復活させてくれるか?)


(あ……うん。やってみる)


「兄貴、俺達も付いて行っていいか?

四眼が見つかったんだろ?」


「そうだ。何か知っているのだな?

一緒に行こう」


「俺もいいの?」


「サクラが必要なのだろ?」ハクを見る。


「ああ」




 天界の門で、

「曲空するから掴まってくれ」


「うむ……」「わ~い♪」


 シロ爺の気を掴んで……曲空!



「おっ!?

ハクも出来るよぅになっとったかの!?」


書庫の中庭で、四眼を持って待っていたシロの目の前に出、危うく組み敷きそうになった。


「まだ精度が……」あはは……


「それが……まさか、四眼……?」


「――の、抜け殻じゃ」


(サクラ、急いで頼む)


(は~い♪)

(ヒスイ、手伝ってねっ)


【もちろんだよ。サクラ】


「シロお爺様、それ、貸して♪」



 サクラはシロから四眼を受け取り、両手で しっかり抱きしめ、柄に額をつけた。


目を閉じ、呼吸を整え、気を高めていく。


サクラが光を帯び……次第に輝きを増し……


 スミレ様は、サクラとヒスイ様が協力して

 四眼を目覚めさせるような事、仰ってたな……


 もし、アオが、この場に居れば、

 ヒスイ様の御姿と

 サクラの翼が見えるんだろうな……


色を失い、生気の欠片も感じなかった四眼が、サクラの光に呼応するように、淡く明滅し始めた。


徐々に、サクラと四眼が光を増す――



 サクラが顔を上げ、四眼を掲げた。

同時に地面から光が射した。


 魔法円!?

 いつの間に!? 誰が描いた!?


 サクラ……何か唱えているのか……?



 四眼から光が迸った。

辺りが真っ白に輝いた後、色とりどりの光の球が現れ集まり、チラチラと瞬き漂い、スッと四眼に吸い込まれ、白い輝きが弾けた。


色彩が元に戻る。


サクラが掲げていた四眼は、玉の色と輝きを取り戻し、艶やかに陽光を照り返していた。


「サクラ……」


「うんっ♪ カンペキ♪」にこっ


「また、寝るかと思った」ホッとして笑った。


(姫、熱出たって。行かなきゃでしょ?)


(すぐ戻ろう!)


「爺さん、色々ありがとう」ぺこり

「今、急いでるんだ。改めて来るからっ!

サクラ、掴まれ!」


「うんっ!」


ハクとサクラは消えた。


「連続しとると倒れるぞ……」


「種を植え付けられた者に、何か有ったのでしょう」


「じゃろうな。その袋は何じゃ?」


「これが例の檻です」ひとつ取り出す。


「ふむ。後で王には見せておく。

さて、大婆様の所へ行こうかの」


「はい」



♯♯♯♯♯♯



 ハクとサクラは天界の門近くに出た。


(わり)ぃ……連続曲空は無茶だったらしい……」


「ハク兄、休も。

境界 越えたら乗せてくから」


「サクラも、今、いっぱいいっぱいだろ。

すまなかったな。引き戻してくれたんだろ?」


「あはっ♪ バレてた~?」


四眼が輝く。


「ん? 四眼、なに? ……うん♪

ハク兄、四眼 持って♪」


ハクが押し付けられた四眼を抱くと、四眼からの暖かい金緑光に包まれた。


「そのままね……」


サクラが両掌を合わせ、ゆっくり離した。

掌の間に光の球が生まれ、成長する。


その光の球をハクに向かって優しく投げた。


サクラの力が抜け、後ろに倒れ――


――かけたが、止まった。


そして、やわらかな淡い緑の光がサクラを包んだ。


サクラが目を開けた。


(ヒスイ、ありがと)ニッコリ


【無理させてしまうけど……】


(大丈夫♪ ありがとう)にこにこ


【休むのは後で、だね。支えるよ】


(うんっ!)


「ハク兄、飛べる?」


「ああ、ありがとな。

サクラ、さっきの光は?」


「え~っとね…

治癒と浄化と回復と~

なんか、いろいろ混ぜたヤツ……かな?」


「かな? って、お前、自分の技だろ」苦笑。


「だって、コレも成長を封印してるから」

肩を竦めて笑う。


「ん? 治癒……まさか、天性か?」


「どぉだろ? よくわかんな~い」きゃはっ♪


「そっか……まぁいい。

行けるか? 無理なら休むぞ。

船にはアオとフジがいるんだからな」


「俺、だいじょぶ。ヒスイに治してもらった♪」


「んじゃ、行こう!」


「うんっ!」


「曲空は、まだムリだがなっ」


「俺も~」きゃはは……


「体力温存で回復しながら飛ぶかぁ」


「ん♪」




♯♯ 船 ♯♯


 アオとフジは、姫の部屋に居た。

姫の熱は上がり続けていた。


(アオ兄、治癒の光、めーいっぱい上げたら、種 消えるかもだって!)


剣の力を補充していたアオに、唐突にサクラの声が響いた。


「アオ兄様、薬が効きません」

姫の様子を見ていたフジが振り返る。


アオが姫の肩に両掌を当て、治癒の光を極大まで強めていく。


「駄目だな……発芽したって事か……」

 それとも、俺では駄目なのか……


「リリスさんも発熱しました!」

睦月が駆け込んで来た。


「すぐ行く! フジ、姫を頼む!」


「はい!」


アオが姫の部屋から出た、その時、


「上空に魔物!!」物見の声が響いた!





凜「サクラって凄いのね~」


桜「アオ兄は、もっと凄いよ♪」


凜「じゃあ、サッサと解放すれば、

  自分で護れるんじゃないの?」


桜「それ、できるなら、封印してないよぉ」


凜「魔王って、そんなに強い敵なの?」


桜「たぶんね~

  だって、神様が何万年も戦って倒せて

  ないんだよ」


凜「何万年って?」


桜「ん~~とねぇ……

  神話では、三十六万年くらいかな?」


凜「それ……倒そうとしてるの?」


桜「してる~♪」


凜「そ……ぅ……」


桜「魔王が恐れているのは、竜と神竜が

  手を結ぶ事なんだ。

  それが叶えば、魔王を倒す事が

  出来るんだよ」


凜「サクラ……アオが憑依してるの?」


桜「あのねぇ……」


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