表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真赤なアスタラビスタ  作者: 面映唯
【泡沫汀の集合体、火花】
95/128

2

 出遅れた相澤と桑原に追いつかれ、グダグダと言い訳をし合いながら歩くと、自然と宿までの時間は短く済んだ。仲がいいねえ、なんて茶化してやると、二人とも鬼の形相で必死に否定するのだ。その仕返しか、桑原に「武田こそ美菜ちゃんと付き合ってんだろ?」なんて言われて私が否定せずにいると、紗江と相澤は少し驚いていた。明日香は元々そういった類のことに敏感で勘が鋭い女なので、表情一つ変えなかった。


 私も少しは素直になってみようと思ったのだ。今まで自分の嫌いなところはできるだけ隠してきた。言いたくないことは言わなかったし、言いたくないことも誰かに促されようと口を割ってこなかった。今日からは少し明るくなれるような気がする。


 宿に戻ると、食欲をそそられるような香りがするので何だろうと思って襖を開けると、案の定そこには今作ったであろう料理がテーブルに広がっていた。何事かと思っていると、それは首藤の仕業のようだった。理由を聞いてみるとなんでも、「どうせ暇だったから」ということらしい。カボチャやナスなどの夏野菜の天ぷら。白菜ときゅうりの浅漬け、刻まれたトマト。首藤は料理ができた。


 明日香に「おいしそう。やればできるじゃん」と言われツンデレを発動していた。さらに紗江が「料理できる男の人ってかっこいいよね」なんて言われて、洗い物を理由に台所の方へ隠れてしまうほどだった。桑原は単純なので、今度から自炊を始めるらしい。


「美味しんぼ読まなきゃ!」


 それは違う気もする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ