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真赤なアスタラビスタ  作者: 面映唯
【蛍の欠片】
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 そんなことはわかり切っていた。だが、そうなっていない未来がちらちらと私を窺っている。私自身がそうだったように、順風満帆にレールの上を走って行けない未来が見えてしまう。それが私の愚かな妄想によって生まれていることは十中八九明らかであった。自分がそうだったから彼らもそうなるのだろうか。悩みのない人生なんてない。だから彼らも悩まないで事を次々と軽々と飛び越えて行けるのか。


 最近わかった。私は人の未来を想像するのを好んでいるのだ。


 自分が醜いから、自分の人生が怠惰だから。怠惰と片付けてしまえる自分はもっと愚かだから。輝かしい人間味を帯びた未来が、真夏の太陽が照るアスファルトを眺めるように、うざいけど輝いて見える。黒さを持ち得ながらも眩しい。それだけは信じていたい。


 三好は三好で幸せな人生を送っているのだろうか。確認はしていないが、なんとなく結婚はしていないように思う。だが、毎日こんなにも無邪気な子どもたちと顔を合わせていれば、多少のストレスは感じたとしても、彼女の性格ならば何不都合なく暮らせているのだと思う。それがましてや自分が生まれた地元ということであれば。


 他人の未来を勝手に想像して垣間見て、自分のことのように解釈する。こんなに身近に幸せを感じられる方法があったなんて、と思ってしまった。


 私は幾度となく疑似恋人として行動した過去がある。にもかかわらず、こんな妄想のような現実味のないバーチャルで幸せを感じている。今まで付き合ってきた女は脳内で流れる二次元に負けてしまうのか? ミナトの私への想いよりもはるかに今の二人の未来を思い描いているときの方が、幸福を感じている。何かが満たされていると感じる。


 その答えを探すことはもう少し後にすることにする。


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