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真赤なアスタラビスタ  作者: 面映唯
【蛍の欠片】
83/128

2

 食事をし終えて各々で支度をした後、我々は近くの小学校へと向かった。財布はいらないということだったので、私はスマートフォンとリュックサックのみ持って出かけた。リュックサックの中に弁当を入れて歩くということみたいだった。


「あれ、武田ってリュック新しくしたの? もしかして美菜ちゃんに買ってもらったとか?」


 そんなことを言う桑原に続いて、明日香や相澤も絡んでくるのを必死に掻い潜りながら、宿から数分で着く小学校の校庭へと着いた。橋の方にはオレンジの滑り台や青パイプのブランコが見られた。四隅や端にはちゃんと青々しい雑草が茂っている。


 もうすでに子どもたちが集まっていてはしゃいでいた。遊具で遊ぶ者や、木や丸太に括りつけられたロープのアスレチックで揺れる子どもも何人か見られた。意外だったのは、大人も少なからずいたということだった。


「この島の子どもは少ないですからねえ。小一から小六までで二十数人程度ですからね。島唯一のお医者さんも呼んでるくらいですから」


 見ると、ひとりの男性に群がる数名の子どもが見えた。おそらくあの人が島唯一の医者だろう。


「もっと言えば、役所の職員も来てるんですよ。今日ぐらいは休みにしてもいいんじゃないかって部下から言われましてねえ」


 そんなことを言う八巻さんは、どこまでもいい人柄に見えた。


 程なくして、八巻さんの掛け声で四隅の遊具から一斉に子どもたちが走ってきた。大人もぞろぞろと白い号令台近くに集まった。我々もそれに続いた。


「はい、皆さんお集まりのようですね。今日は待ちに待ったオリエンテーリングの日です。今日も暑いですが…………」


 しばらく八巻さんの話は続いた。「八巻さん話長ーい」なんて野次を入れられ、「ごめんごめん。じゃあ説明するね」と言って話は終わりに近づいていった。


 グループで一つクリップボードとA4の紙をもらい、その紙に書かれた地図をもとに番号の書かれた看板を探しに行くというものだった。その点数が高ければ高いほど、豪華な景品がもらえるみたいだった。


 地図はごく簡易的なもので、島のおおざっぱな形と看板の大体の場所しか書かれていなかった。八巻さんも「毎年行ってますが、ゼロ点のグループも少なくないですからね。皆さん頑張りましょう」と言っていた。看板を何個も探すのは難しいのだろう。多くて四つとか?


 点数は五点から百点までと幅広い。だが、言わずもがな高得点になればなるほど難易度が高い。スタート地点から遠い。一つ見つけるだけで百点になるならと、その一つを必死に探しに行くグループもあるそうだが、無難ではなさそうだった。


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