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真赤なアスタラビスタ  作者: 面映唯
【体裁と生きやすさと自分の感情と】
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 運転してくれていたのはこの島の役所に勤めている人らしかった。「こんな島に観光客がねえ」と言わんばかりの笑顔。こんな学生の集まりでも、来客はうれしかったのかもしれない。


 見た目は五十代。白髪交じりの短髪に無精髭。作業着のようなダボついたベージュのスラックスに淡い青のポロシャツ。名前は八巻(やまき)と言うそうだった。


 その八巻さんはと言うと、役所に勤めているせいかいろんな島民に顔が利くみたいだった。我々が泊まることになっている部屋を予約した際にも聞いたのだが、役所では活性化させようと流入人口を増やそうと試みているみたいだった。だが、その考えを拒む島民もいるみたいだった。そんな批判派の島民にも、八巻さんが声を掛ければひとまず話が和んでしまうという。八巻さん自身が「僕が割って入らないと水掛け論みたいに永遠に続いちゃってねえ。でも僕が入るとなぜか収まるんだよねえ」と言って、電話越しに楽天家のような人柄を私に想像させた。


 電話で聞いた通り、八巻さんには人望があった。船を降りて宿へ歩いて向かう際、田舎ではこれが当たり前なのかもしれないが、島民を見かけるたびに挨拶を交わし、そのたびに微笑ましい返答が返ってきていた。


 だから、私の最大の目的は、意外と早く終幕してしまうのではないかと思ったのだ


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