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真赤なアスタラビスタ  作者: 面映唯
【羞恥の源】
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ベッドの端でスースーと音を立てる寝息。うずくまっている様にも見える。多分、自分の身体に見合わない変化を押し付けていたのだろう。今まで自分を取り繕っていたのだ。そりゃあ本当の自分を見られるのが怖かったことだろう。

床には彼女の鞄が無様に広がっていた。


私も生まれ変わったら鞄になって、職を全うしてやるのに、と願う想いは後ずれされた。今自分が情けない顔をしているんだろうなということが十二分(じゅうにぶん)に理解できてしまう私は、彼女のことを放り出して沈みたいという焦燥に駆られる。


窓際に寄ると、カーテンの隙間から夜景が見えた。綺麗な三日月が光を放っていた。ここから見る夜景も捨てたものではない。もう少し高い位置から眺めれば、より美しく見えることだろう。誰かの笑ったときの目みたいな三日月は、絶え間なく光を注ぐ。


増田さんのことがわからないということが、私に(わだかま)りを形成させるのは、きっと今までの経験と知識が通用しなかったせいだろう。知っていても辛ければ、知らなければ当然もっと痛い目を見させられる。


満月と三日月以外、月の満ち欠けの呼び名を私は知らなかった。だからこの見えた月が本当に三日月なのかわからなかった。


より知識を豊富にそろえようか。


どっちも嫌いだ。


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