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真赤なアスタラビスタ  作者: 面映唯
【余裕のない哲学者】
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日本の人々はおかしいぐらいに急いでいる、と外国の人は思うみたいだ。そうなってしまうのも日本特有の文化と言ってもいいのではないかと思う。「仕事」は文化としてもいいと思う。次から次へと仕事が入って休む暇もない。それが連鎖になって家庭や公共に影響を及ぼしている。とにかく自分に余裕がない。余裕がないと他人に気を配れない。気を配れないとイライラする。イライラするのは、余計なところに目が行くから。余裕がないから。


外国では、電車内でもベビーカーを押す女性や車椅子に乗る人に声をかけるところもあるみたいで……。


夫の仕事は、子育てにも影響するのである。悪化した子育て環境は、虐待を生む。その連鎖を断ち切ろうとしていそうな雰囲気を醸し出しているに過ぎなくて、実際は変わっていない。結果が出ていない以上、法律も過程も実績もそれは作業に過ぎない。


ましてや、その法律に従って働いているのだって人間なのだ。その人間に余裕がなければ対象の子どもだって余裕が生まれるはずもない。


日本は日本の中で自分と戦っている。外に出ろと言っているのではなくて、いい加減こびりついた錆びを取れって話だ。外国人労働者が日本に来て驚くのも当然。その外国人労働者に日本人がイライラするのも当然。だって、働いてきた環境が違うんだから。育ってきた環境が違うんだから。教えられてきたことが違うんだから。働き方を改革をするならするだし、長い歴史の根本に目を当てているのならそれでいい。もしおかしいと思っているのだったら早くそれを目に見えて変化が起こるように、実行に移して欲しい。


そう思いながら窓の外を眺めているのだが、景色はいつも見ているものと同じ。他人に委託できるのならとっくにしている。結局自分頼みだったり自分にすら信頼できていない私なので、人にとやかく言える筋合いはない。神の存在を信じて、神頼みでもしておこうか。


そう。私にとってこれらは祈る程度のことなのだ。


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