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真赤なアスタラビスタ  作者: 面映唯
【不純と謳われる所以】
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さすがに時間が時間になった。「もうちょっと」と駄々をこねる子猫にそっとキスをして機嫌をとった。効果は思った以上で、「しょうがない起きるか」と彼女も布団を上げた。シャワーを浴びようと浴室に行くと、「私も」とミナトが付いてきた。備え付けのボディーソープとシャンプーで、二人で身体と頭を洗った後、浴室を出て個々で淡々と支度を始める。先にミナトが、次に私と交互に洗面台を使った。歯を磨くときだけは、なぜか二人一緒に洗面台に立っていた。当然もごもごするのでしゃべれない。


二人とも来たときと同じ服装に着替え、荷物を整える。


私が使い古したと言ってもいい見すぼらしいナップサックを背負うと、「またどこか行こ」と隣のデスクに立っていたミナトが言う。デスクの上には鏡があり、その前で髪をとかしていた。


「ああ」


「鞄買いに行こうよ。そう言えば、ソウタって誕生日いつなの?」


「……そういうのは言わないことにしてるんだ」


一瞬、彼女の顔が冷めた気がした。


こういう発言はあまりしたくないのも事実なのだが、私たちの関係が疑似であるという事実も変わることはなかった。言いたくないけど、言わない訳にもいかないときもある。そう割り切る。正確には、私情を言わないのではなく、言えないのだ。


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