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真赤なアスタラビスタ  作者: 面映唯
【隠したくて隠したんじゃない】
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 誰しもゲームを一度はやったことがあるだろう。スマートフォン、タブレットが普及した今、アプリケーションとして電車の乗車時間の暇つぶしにやる人も多い。一番手軽なのだ。グリーもモバゲーも今はあまり聞かない。


 ゲームのことを好きだという人はいても、嫌いだという人はあまりいないのではないか。種類も多種多様で、特に男子は小さい頃から身の周辺にあって、そんな環境で育った人も多いだろう。成長して中学高校に行けばなおさらだ。


 たまに思うのが、なぜゲームをゲームとしか見られなかったのだろうかということだ。確かに面白い。RPGもFPSもシミュレーションも、夜中が過ぎてカーテンが明るくなるまでベッドに寝転がってやった。でも、本気で好きになれなかったのだ。面白いが、「好きだ」という言葉が出てこなかった。ゆえに、プロゲーマーという道は、私の頭に浮かばなかったのだ。


 好きなことを突き詰める。これが私は苦手で、ドラマやアニメに感化されて格闘技や囲碁を始めても、親によく何をやっても三日坊主だと蔑まれた。今こそユーチューバーやプロゲーマーなど、広告主やスポンサーなどとの契約によって好きなことを仕事にする職業がある。プロ、実業団の選手だってそうだ。夢を目指せる環境は確かにある。険しい道なのかは誰かに聞かないとわからないが、少なからずある。


 私がそういう道を選ばなかったのはなぜだろう。


 元から選択肢になかったのだろうか。


 いいや、そんなことはない。目を背けていたのだ。勝手にテレビに映る人々は別の世界を生きている人だと思っていたのだ。知らなかったのだ。そもそも自分にもそんな道を歩もうとする権利があったということに。今更気づいたのだ。


 大人になった今こそ自分が満たされる瞬間を感じる物事がないにせよ、幼少期はあったに決まっている。サッカーに始まり野球、水泳もクラスメイトより早く二十五メートル先の壁をタッチした瞬間は、とても心地よかった。夏休みの作文の課題は、感動した漫画の作文を真似て描いたこともある。美術の課題、火事のポスターだってありきたりではなく他人と違うものが描きたくて、男性脳女性脳の違いに囚われず、必死に特異性を求めて構想を練った。


 楽しいことはいっぱいあった。面白いことも散らばっていた。でも私は、それを突き詰めようとしなかった。そういう道を知らなかったのもある。だが、おそらくあの頃は、将来のことなど微塵も考えずに楽しんでいたからなのだと思う。


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