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真赤なアスタラビスタ  作者: 面映唯
【藍】
104/128

 翌日、私たちは余裕をもってこの島を離れた。大学生の私たちが昨日歩きまわった体で、ましてや夏休みの最中で朝早く起きれる訳がない。事前に八巻さんには「午後とかでも大丈夫ですか?」と言っておいた。出港は十三時になった。


 島を出るときには、島民の何人かが見送りに来てくれていた。そこには当然三好もいた。


 揺れる船の上に私たちは立って、彼らの見送りを眺めていた。


「千紘はこの島にいて楽しいのかな?」


「さあ。でもああ見えて強いとこあるからな」


 私の問いに首藤はそんな答えだった。



 あの日の約束。夏休みの補習の日。私は彼女と約束をした。私はそれを忘れるところだった。


 大きく揺れる漁船。島民の顔の輪郭がぼやけている。皆、無言で手を挙げて左右に振っていた。桑原は存分に応対している。


「夏休み中にもう一回この島に来る気がする」


 私がそう呟くと、「武田がそう言うんなら来るのかもな」と首藤は私の肩を叩いた。



 波の音が漁船の機械音に紛れて聞こえづらかった。自然の波ではなく、船この波の音を創り出す。白い気泡の集合体が船の淵に沿って創り出され、進めば進んだだけ、後尾の方で消えていった。


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