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少年と悪魔の天使狩り  作者: ぐーてん
第2章 悪魔崇拝者と天使信仰者
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お馬鹿な修道女

「あの、さっきは変態呼ばわりしてごめんなさい」


 突然降ってきたイルミナの謝罪に、キョウヤは驚きながら顔を上げた。


「え、いや、まあ気にしてないから別にいいけど」


「男の人にスカートの下を覗かれたのは初めてだったから、つい動転してしまって」


 キョウヤの隣に膝を畳んで座ると、イルミナは照れた笑いを浮かべた。


「ま、まあ、それに関してはこっちも悪かったし、その、ごめん」


 覗いたことは事実に違いないのでキョウヤも謝罪の言葉を口にする。

 そんなキョウヤに対してイルミナは先程のやり取りが嘘のように大人の対応を見せる。


「いえ、お互い様ですよ」


 笑顔を崩さず自分を見るイルミナにキョウヤは速攻で疑問を抱いた。


 さっきと態度が違いすぎやしないかと。

 どう考えても先程の少女と目の前の少女が同一人物とは思えない。

 あれだけ変態と叫んでいたくせに今では何事も無かったかのように自分に笑顔を向けている。



 一体何なんだ?

 イルミナの態度の変わりように驚きながらも、しかしそれがどうしてかまではキョウヤにはわからなかった。


「それで、少し聞きたいことがあるんですけど……いいですか?」


 こちらの様子を窺いながらイルミナが言う。


「まあ、答えられることなら」


「この孤児院への滞在はどのくらいを予定しています?」


 それを聞いてキョウヤは悟った。

 きっとイルミナは自分達を早くここから追い出したいのだろうと。

 だから穏便に出て行ってもらうためにも、こちらに気を遣いながら話しているのだろうと。


「ああ、明日には出ていく予定だから大丈夫だよ。早く出て行けってことだろ? すぐにでも出発しようとは思うけど、正直疲れたし聖騎士パラディンもうろついてるだろうから、今晩だけでも泊めさせてもらえれば嬉しいんだけど」


 しかしキョウヤの予想とは裏腹にイルミナはそれを否定してみせる。


「ああ、いえ。今晩と言わず暫くは居てもらって大丈夫ですよ」


「大丈夫って……。けど、俺達がいたら色々と迷惑がかかるんじゃ? 悪魔契約者とその悪魔だし」


 キョウヤの心配をよそにイルミナはおどけた表情で笑って答えた。


「確かに他の天使信仰者にバレたりすれば、問題になるでしょうけど、バレなければいいんですよ。あの子達のあんな楽しそうな姿は久しぶりに見ましたし、良ければ気の済むまでいてもらっても結構ですよ」


 しかしイルミナが笑顔を浮かべれば浮かべるほど、キョウヤにとっての疑問は増すばかり。

 何か裏があるじゃないかと疑ってしまう。


「その代わりに、また十字架に祈りを捧げろとかって言うんじゃ……」


「そ、そんなことは言いませんよ。メローネさ……、シスターにも厳しくお咎めを受けたので何かを強要することはないので安心してください」


 そうは言われてもあからさまに態度かおかし過ぎる。


「何か気になることでも?」


 キョウヤの疑うような視線を受けてイルミナが小首を傾げた。


「えと、何かさっきと違って態度が全然違うんだけど?気のせいかな」


「ああ、実は先程シスターから客人と接する態度について厳しくお叱りを受けまして。こう見えて、修道女のはしくれなものでして。きちんともてなすように言われたんです」


「……そうなんだ」


 それらしいことを言ってはいるが、それだけでこうも変わるものだろうか。


「また何かあればいつでも言って下さいね」


「う、うん。わかったよ」


 終始笑顔のイルミナに、何かあるのではと疑うキョウヤだが、しかしそれが何かまでは分からない。



 もしかしたら自分の考えすぎたろうか。

 修道女って確かそういうことに厳しいと聞いたことがあるし。



 自分のいた世界の修道女を思い浮かべながら、少し気にし過ぎだったかと思うことにしようとしたキョウヤだが、しかし次にイルミナの口から飛び出した爆弾発言に、キョウヤはイルミナが何か企んでいることを確信した。


「あ、それと、またスカートの中が覗きたくなったらいつでも言って下さいね。子供たちの前では無理ですが、2人きりの時には善処しますので、よろしくお願いします」


 目の前の少女は馬鹿なのだろうか?

 キョウヤは素直にそう思った。

 スカートの中を覗かせろと言って、はいわかりましたと答える修道女がどこの世界にいる。



 目に見えてこちらの機嫌を取ろうとるイルミナにキョウヤは確信した。

 何かあると。


「あ、うん。ありがとう」






 そしてそのまま部屋を出るイルミナを見届けたキョウヤは、すかさず刻印を使って今はここにいない悪魔へと呼びかけた。


『おい、ルシエル。少し話があるんだけど』

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