第1話
皆さん、神というものをご存知でしょうか?
そう、皆の願い事を叶え、崇拝されたり、奇跡を起こしてくれるかもしれない存在のことである。
まぁ多くの人々はその存在を無いものと判断し、半信半疑で祈りを捧げる。
そんな神の存在類比を鼻で笑っている僕ら様態は、皆哀れな生き物なのかもしれないーー
多くの哲学者が唱えてきた哲学はどれも興味深いものだ。だがこれと言って確証的なものがない。
つまりQEDができないのだ。
世の中奇跡なんてものは存在しない。偶然なんてただの状況と状況の組み合わせ。
『神はいつ何処でもあなたを見ていますよ』と、どこかで聞いたことのあるセリフだが、この言葉に裏がある。見てるだけで庇護下にあるだけで無為なことに違いない。つまりーーー
詰まる話、神などそこにも存在しないのだ
「神、ねぇ....」
存在しない虚像を訝しげに思い、パタンッと本を閉ざし、机の上に置いてある日記を開いた。
男は虚空を一瞥し、悩みながらもこう綴り出すーーーー
『神とは何なのか』と
ピンポーン。
下の1階から聞こえたものだった。
突然鳴り出すも驚く事は無く、男は平然と向かって行った。ただ何かを待っていたかのように........
もう1度鳴り出すチャイムに焦り出す男の服装は端的に言うとダサかった。と言うよりだらしない.....
日曜日だからといい加減な屁理屈をつけて、朝から夕方まで全身鼠色のパジャマ姿だった。
だがこの男、入江翼は、その服装で人前に出る程常識知らずの男なのである.....!
更には玄関に着いたかと思えば息を整えず、その勢いのままドアを開けてしまい、結果として顔を下向きに出てしまったことになるのだが.......
「こんにちはー!神でーすぅ!」
ーーー..........
.................はい?
顔を上げると、そこには矮小ながらも美少女と言わざるを得ない女の子が立っていたーーー
しかも何故かその子は巫女のコスプレ(?)をしていた。姿からして幼いながらも千早を纏った姿は何とも優美であり、艶姿とは裏腹に、その清楚さが色気を醸し出し全てをみry........ん?
男は我に帰ったのか、目を丸くして質問をするーーー
「神様?」
「はい!」
「あの、その神さんが家に何の御用ですか?」
「えっとぉー、いりえつばさんですよねぇ、」
「え、あ、はい.......」
まだドキドキしていたー恐らくまだ走った疲れが......
「えっとぉ、あなたをごほーししにきましたぁ!」
忽然と発せられた淫語に、童貞の男は唖然とした.......
「つばささん?」
今この子はなんと言ったのだろう、ごほーし?誰が?誰に?
「えっと、ごめん、言ってること分かんないんだけど....」
本当は何となく察しはついてるのだが.....と、多少イベを期待
「かんたんにいいますとー、このからだをつかってつばさんのてつだいをします!」
手伝い?まさかとは思うが本当に18禁展開いきなのだろうか、はたして僕はそのエチケットを持っているのか…?
いや待て、冷静になれ童貞18歳よっ!!
神がご奉仕?手伝い?何かがおかしい、まぁ神様がここに居る時点でおかしいのだが.....
ここは直接聞いた方が早いと思い、神の寛大さを心じ、危惧しながら聞いてみた。
「手伝いって....な、何をやるの....?」
「えっとぉ、わかりません!」
うん、一体この子は何しに来たんだ。
翼が内心ツッコミを入れてるとーーその刹那
「あーでもぉー、しあわせをあたえなさいっていわれましたぁ!」
「誰に言われたの?」
「おかあさんにです!」
「はぁ......」
家庭内の事情がサッパリ理解出来ない翼はため息をつき、暫時虚空を見つめて考えた末、出た意見がこれだ。
「んまぁ、外で何だから家入る?」
「はい!おじゃましまーすぅ。」
達観せずに家に入れてしまったことに少し懸念を抱く所存です...色々と大丈夫であろうか......
何がともあれーー
この時には既に僕は、『神』という存在を盲信していたのかも知れないーーー多分。
「そういえばお前名前は?」
「わたしですか?わたしはあまてらすっていいますぅ」
..............は?