第六話:魔王様は自由部の活動を開始するにあたり名前を改名するそうです。中篇
大変遅くなってしまい、誠に申し訳ございません。
朝日が昇った、時計の針はまだ7時を越えていない。今日は土曜日ということもあり、つかの間の休息である。蓮はゆっくり8時まで寝るつもりが昨日といい今という朝といい熟睡できる環境ではなかった。試行錯誤はした、今までないほど考えて。
1:押し入れ 結果:寒い
2:リビングのソファ 結果:寒い
3:トイレ 結果:何考えてんだ
4:我慢する 結果:近い
結局、夜は一睡もできなかった。だが、今日は休みだ。とにかく寝よう、一分でも多く。
毛布に潜り込もうとした瞬間、何者かに毛布を剥ぎ取られてしまった。
「起きてください!今何時かと思っているんですか!?」
「全くだらしないったらありゃしない、さあ、起きろ!」
ーーーー元凶であることを理解していないようです。
仕方がなく起き、顔を洗っているとふと思った。
「アリス、君風呂入ったのか?」
「...忘れてました。」
アリスは恥ずかしそうにうつむく。
「やっぱり、お風呂の入り方をミラ、教えてあげて。」
「ヤダ!」
ーーーー早い。
「なんで?アリスは女の子だし、今は女の子二人いるんだからミラの時みたいに教えれるわけではないんだよ?」
「ヤダといったらヤダなのだ!...無駄な脂肪の塊をつけおって...」
ミラは恨めしがりながらアリスの胸部を見る。やはりそのあたりは気にしているようだ。
「私も断固反対です!魔王とは一緒に入っておいて私とは入らないなんて...くぅ」
「いや別にアリスが大丈夫ならいいよ?けどなぁ。」
「けどなんですか!?あなたと入りますよ!」
「ごめんごめんってえっ?良いの?」
「入りたい...じゃなくて入らせてあげるんです!」
二人はいがみ合いながら風呂場へと歩いていった。部屋の襖が閉められた時、ミラはほんの少しだけ悲しい顔をした。
「ーーーーそれからここがシャワーのレバーだよ、これで水を出して髪を洗ったりするよ。」
「しゃわー、ればー...」
「わかった?今の説明で?」
「勿論です。私を誰だと思っているのですか?」
「よかった、ミラは三回くらい言わないと分からなかったからなぁ。」
すると遠方から、
「うるさいぞ!貴様!」
と罵声がとんできた。声からするにミラだ。二人は向かい合って苦笑した。その時、アリスの裸を視界の隅で見てしまう。小さな体に似つかわしくない双丘を隠すことなくさらけだしていた。ミラが嫉妬する訳だ...なんて思っている場合ではなかった。ささっと終わらせてしまおう。
二十分後...
アリスはまだ体に熱気を込めながら布団に寝転んだ。先日創部された「自由部」であるが、ミラのネーミングセンスが見るからに光った名前である。それについてアリスは、
「名前、変えませんか?」
と提案したので今、会議が行われる。
「自由への翼」
「やめなさいミラ、漫画の見すぎだよ、それは確実にアウト。」
「痔YOU部」
「ボケてないで考えよー。」
「GU部」
「それてるそれてる、てかミラホントにやる気ある?」
「見ての通りだが?」
ミラは漫画を読みながら答えている。
「無いんですね、分かります。」
「胸が無いとはなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「そんなこと一言も言ってません!」
「それなら私から、リバ茶部なんかどうですか?」
「うーん...どうかなぁ、でも今のところそれが一番良いよね、それにしよ!」
「やったぁ!部長さん、感謝しなさい。」
「誰が貴様に言うか!脂肪女!」
「なんですってぇ...」
二人の間で火花が飛び散る。熱い熱い。
なんやかんやありまして、
魔王様は自由部の活動を開始するにあたり、名前をリバ茶部に改名したそうです。