プロローグ
つまらないものですがよろしくお願いいたします!
――とある世界で...
「ふっふっふ。よくぞここまで来たな!...だっけ?」
魔王と思わしき人物は右手に持っている魔導書を一瞥した。そして一瞬の動揺を気を取り直し胸を張った。
「基、まさか我が軍を打ち負かすか...いい腕だな!しかしお前はここで死ぬ!せいぜい残りの人生を楽しめよ!」
魔王の元に来た勇者の大群衆からはどよめきが聞こえた。魔王はいまだに自信ありげに胸を張っている。
「いい腕って言われても、Lv.30の俺でも倒せたし...。」
「魔王って大したことないんじゃね?」
「俺らこんなに人数いるしな...。いけるな。」
魔王は「あれ?」というように首をひねった。しかしまだ魔王の顔には笑みが浮かんでいる。
「我が㒒は弱かったかもしれないが、私は違うぞ!おぬしらの魔力をすべて足しても私には到底届かん!」
またもや勇者達からどよめきが聞こえる。魔王は唇を嚙み、勇者たちを絶望の淵に立たせる言葉を放った。「そうか...。そんなに死にたいのか!じゃあ私の全魔力をつぎ込んだ究極魔法をくらえ!」
魔王は自分の手元に意識を向け、魔力をつぎ込んでいく。魔王の周りの空気が気流となり吸い寄せられている。そして、大気が震える。
「くらえ!これが究極魔法の威力だ!」
魔王の足元に一瞬で魔法陣が浮かび上がった。そして魔王の部屋全体が光に包まれた。次の瞬間大爆発は...起こらなかった。
「はあ...。よかった失敗か...。」
勇者たちのリーダーと思われる男が安堵の息をもらした。
「さあ、お前たち!魔王を仕留めるぞ...ってあれ?」
勇者たちはがくがくと足を震わせている。なんとそこには...
―——魔王がいなかった!