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おかしな短編

組合

作者: 井川林檎

確かに、表示にある吸収可能な量を超えていると思うのでした。

 ここのところ、毎朝訴えが聞かれる。

 小さく微かな声だけど、ちゃんと届いている。

 気持ちが十二分に分かるだけに、胸が痛い。でもどうにもできない。


 「もう、俺、駄目です」

 と、彼は言う。涙声だ。たぶん、涙目になっている。

 

 「限度を超えている。どうなることかと一晩ひやひやしました。何とか持ちこたえたけれど、もう一回きたら、もう俺は駄目になっていた」


 俺は俺としての役割を果たすことができず、そのまま尽きていた。

 

 わたしは痛む胸をおさえる。

 どうにもならない。ほんとうにこればかりは、どうにもならない。

 

 ある時は、ついに一晩もちこたえることができず、泣きじゃくりながら彼は言う。

 「人使い荒すぎですよ」


 突発的に起こる鉄砲水は、一体何度繰り出されたか。彼はだけど、十分に頑張ったと思う。

 被害はさほど広がっていないではないか。

 

 「君だから、これだけで済んだんだよ」

 と、わたしは心で囁いている。

 だけど彼は、泣きじゃくっている。もう自分は耐えられない、こんなふうなのは本来許された使われ方ではない。これ以上俺は耐えることができません。

 ……彼は切々と訴えるのだった。



 

 「ほらー、おまるでおしっこしなー」

 「ちっこ、なーいなーい」

 「ないじゃないよー、出してからねんねしなー」

 「やー、ちっこ、なーい」

 



 (許せ、トイレトレーニングが仕上がるまで)

 4月になるまで、ちょっとはましになると思うんだけどな。


 

 「組合に訴えますよ、俺。こんなに酷いの、俺には受け止めきれないっすよ」



 夜用紙パンツよ。

 君の奮闘ぶりは、毎朝思い知っているよ。

すごく吸収してくれる紙パンツ君なのですが、毎朝大変な状態で。

おふとんに被害が出ていないのは、ひとえに彼の奮闘のお陰です。

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― 新着の感想 ―
[一言] ごく短い中、さくっと読めてしかもいいオチ。 さすがです。 なるほど~、彼だって、そりゃ受け止めきれませんよね^^; 頑張れ○○ツ。そしてお母さん!!
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