プロローグ
処女作です。誤字やら脱字やら文章崩壊が有るかもしれないですが、暇潰し程度に読んで頂けたら幸いです(・・;)
幼い頃から、自分に出来ない事なんてない、そう思っていた。
勉強にしても、運動にしても、器用さにしても。
全てが同年代の奴等に比べて頭一つ抜けていた。
その能力のお陰か、俺の周りには何時だって人が集まって来ていたし、少し甘えたがりな双子の弟も護ってやれていた。
だから、この力が好きだったし、感謝もしていた。
あの事故が起こるまではーー
(ーー嫌だっ!来ないでッ!)
(ーー何であんな事が出来るのよッ!あんなの、あんなの普通じゃないッ!)
(ーーこの事は周りに知られない様にしよう。いいな?空。)
俺が全力を出すと、悲しむ人がいる。怖がる人がいる。困惑する人がいる。
その事に気付いた時、周囲のモノ全てが¨無意味¨で¨無価値¨なモノに映ってしまった。
あらゆる事に力を抑えて生きる。
それは、どうしようもなく楽な生き方で、どうしようもなく辛い生き方だった。
生きる事が辛いなら、生きる事に意味を見出だせないなら
意味を求めなければいい。興味を示さなければいい。
そして、俺は、人生に興味を失った。
4月。
シトシトと雨が降るとある日、一人の男が傘もささずに道を走っていた。
「参ったな、まさか雨が降るなんて、聞いてないぞ。」
彼にとっては予想外だったらしい雨に対して、愚痴をこぼしながらも街道をひた走っている。
悪態をつきながらもその表情は特に感情の色が見えず、どこか虚ろな様に見える。
彼の名前は『麻上 空』。
特に目立った容姿ではなく、顔は整っているが、取り立てて美形、という訳ではない。
身長も170cm後半と日本男性の平均程である。
今日、無事に高校生になった空は入学式を終えて家へと帰る途中だった。
予報外れの雨に打たれなければ予定通り自宅に着いていただろう。
「このまま家まで走れば、びしょ濡れになっちまうな」
家にたどり着いた時の自分の姿と、母親からの苦情を想像しながら何処か雨宿りの出来そうな場所を探す。
「あそこの公園の木のしたなら多少雨避けになるか。」
近くの公園の中に大きな木を見つけ、そこで雨宿りをするようだ。
急いで木まで駆けて行き、根元へと入る。
「思ったより凌げるな。・・・ん?」
どうやら木の下には先客が居た様で遠目から見た時には気が付かなかったが、一人の少女がしゃがみ込んでいた。
「こんにちは。雨宿りですか?」
少女は空に気付くと、向日葵の様な笑顔で喋り掛けてきた。
これが、人生に興味を無くした少年と不思議な少女の最初出会いだった。