第5話。引越しと新しい生活。
お気に入りなんと1000件突破!
嬉しい反面何があったのか不安も。。
面白いと思ってもらえるようなものが書けるように精進してきます。
父と向かった家で見つけたものはっ……!
まあ、一見して何も変わらない館なんだけど。
というよりも。変わっているのはこっちだ。
父と俺、そこはいい。そして同行者、それも俺。
大丈夫。俺はおかしくなっていない。
子供としてのソラと、銀髪碧眼のヒュウガ、その両方が居るだけだ。
その正体は、支援スキル『多重化』と特殊スキル『変化』のおかげだ。
多重化、は名のとおり対象者の存在のある複写を作るもの。早い話劣化コピーを作り出すものだ。
単純な思考ルーチンしか持ち合わせていないから使用者の命令通りにしか動けない。
普段はそれで固定砲台にするか、短時間でも攻撃の倍化を狙って作るものだが、今回は父親に付き従う内気な息子を演じてもらっている。
話が出来ればよかったが、出てくる語尾がおかしかったから黙らせた。
流石に、こんな所で変な語尾をつけて話す頭の可哀相な子供とは思われたくない。
と、今回俺がヒュウガとして付いてきた理由はやはり1つ。
この館の価値をどうやつらが判断しているのか、ということと牽制のためだ。
恐らく完全に排除するのは無理だし、それを考えるつもりもない。
むしろ、1つの町だけとはいえ組織を潰せるような個人を生かしておくバカは居ないだろう。
有害であるだけなら関わらなければ良い。だが、少量の毒であれば薬にもなる。
なら、その線を見極め、薬とすれば良いだけだ。
まだ全く実感はわいていないが、今の俺はついていない、状況にないようだ。
まあ、確かに歩いていてもこけないし、上から植木鉢も落ちてこない。
町を歩いていてケータイを落とすこともなければ財布をすられることもない。
見ず知らずの場所で初めてあった人間に因縁を吹っかけられることもなければ、変な勧誘を受けることもない。
たまに行く店が休業していることも、リニューアルオープンのため一時休業しますということで後日改めて行ったら新しい店になっているということも今のところない。
だが、そんな何時あってもおかしくないことが今後ないとは限らないのだ!
だからこそ予防線は張っておく。現状俺や俺の家族に一番危害を加えそうなのは魔術ギルドだ。
庭先で倒れている人間が居ない以上、庭からの侵入をしようとするバカは居なかっただろうが中を見なければどうなっているかなんてわかりようがない。
バカがいた。俺の仕掛けた、物盗り用の防犯魔法に引っ掛かったバカがいる。
「……トニー。こいつ自衛団にでもしょっ引くか?」
「いやいや、ヒュウガ。先に説明をして欲しいんだけど」
盗品を抱えたまま立ち尽くす、いや気絶したバカが玄関ホールの時点で居たことに息を吐く。
「あー。これな、置かれているもので、鍵だのそれを開くもの以外を持ったまま別の場所に移動しようとすると一歩歩くごとに呪いが発動するんだわ。
普通なら、そんなの鍵に関するものでない限り黙って人の家のものを持ってくバカいないだろ?」
これは元々館侵入防止の魔法陣の効果を思い出し、ドロボウ防止に俺が設置した2重罠の1つだ。
まあ、今回は無制限に仕掛けているから俺も父もそうすると同じ目に遭うんだが。
額縁を持ったまま気絶しているバカはそれそのものが証拠になるからそのまま放置して、俺たちは地下室へ行くことにした。
もちろん、行き先は俺が魔法陣を仕掛けたところだ。
「よう、爺さん。そんなに慌ててどうした?」
わたわたと大人の男が取り乱しているのは若干面白いが、それ以上に気持ち悪い。
「う、うむ。おぬしらか。……いや、…………この館はどうなっているんじゃ」
困惑したような魔術ギルドのギルドマスター。
原因は、昨日は光を放っていた床にあるんだろう。
過去形である以上、今は光は放っていない。
むしろ、魔法陣の姿形すらない。
「玄関じゃローブを着たおっさんが立ったまま気絶してるし、『また』勝手になんかやったな?」
その言葉を聞いて爺さんがびくりと身体を強張らせる。
「何じゃとっ!? ……まったく、どいつもこいつも勝手ばっかしおってからに!」
これが演技でないなら相当な狸だ。いや、狸だと疑ってかかってはいるんだが。
「それで、どうされたんですか? 何か落ち着きがないようですが」
「うむ……床に張られていた魔法陣を調査しようとしたところ、魔力を流した瞬間それが消えての。
随分と年代もののようじゃったから、それで効力を失ってしまったようでの」
よし。実験は成功したみたいだな。
爺さんの言ったことは半分正解、半分不正解だ。
正しくは、探査系の魔法を使うと魔法陣が消える。
これは『レジェンド』であった極悪なクエストを元に作った。
そのクエストは古代の遺産にまつわるもので、最後にあるアイテムを手に入れるため洞窟に入るのだが、最後洞窟の奥に安置されているアイテムは全く見かけが同じものが3つ。
手に入れる機会はそれだけ。しかもキークエストアイテムのため販売、トレードも不可能。
そこで通常であれば『鑑定』を使って真贋を見極めるのだが、鑑定を使った瞬間、アイテムは消え去りクエスト失敗、再受注不可となる。
今回はそれを対魔術ギルド用として用いた。
正直魔法陣自体は解析されようが何をしようが問題じゃないんだが、魔術ギルドの本質を見抜く餌にさせてもらった。
で、見事餌にひっかかり、おまけも現状釣れたというわけだ。
「それで? 爺さんは人様の家に押し入ってどうしたかったんだ?」
「押し入るとはまた乱暴な表現じゃな。……とはいっても、現状はそう変わらんか。
ワシらは魔術を研究し、解析するのが仕事じゃ。その仕事をまっとうするだけじゃ」
「研究と解析と、盗人の間違いじゃないのか?」
爺さんの顔が苦々しく染まる。
「おぬしら相手ではそう思われても仕方ないの。……今日は引き上げることにする。この件の迷惑分は後日払わせてもらうことにするよ」
「随分とあっさり引き下がるんだな。もっと構わず荒らしまわるもんとばかり思ってたが」
「ワシらは魔術師であって盗賊団ではないつもりじゃ。
今回の件でまた罰するものも出てきたようじゃしの」
とはいえ、ここで黙って帰らせるのもどうかとは思う。ただ引き下がるだけというわけでもなさそうだし、俺もここで生活するのに憂いを残すのは出来る限りしたくない。
「……爺さん、あんたと話がある。2人きりで話せる場所はあるか?」
「まっ昼間から酒盛りでも始めるつもりか?」
父にこれからの行動を促し、魔術ギルドの人間を追い出した後(額縁を盗ったバカに関しては庭に放置した)爺さんに連れられ、到着したのは随分と寂しい酒場だ。
昼間だからなのか、2、3人の客とマスターしかいない。両開きのドアを抜けると、特にこちらに視線を投げかけられることもなく、あっさりとマスターの前に着く。
「腰を据えて話すのなら酒が入ったほうがいいからの。マスター、奥を借りるぞ」
返事すら待たず奥へ向かう爺さんの後を仕方なく付いて行く。とはいえ、どうしたものか。
前の俺は酒が弱かった。……未成年が何故弱かったかどうかを知っているかは気にするな。
どうせもう死んで無効だ。そもそもあれは売った側が悪いというものだしな。
とはいえ、飲酒喫煙は20歳になってからだ。この物語はフィクションであり……いや、分かっているだろう。
それはともかくとして、だ。今の俺はなりはこれでも中身は9歳の子供。
アドバンススキルに『状態異常無効』というスキルがありそれをカンストしているが、それが上手く働いてくれるだろうか。
ちなみに、ベーススキルに『状態異常耐性』というスキルがあり、それをカンストしてようやく『状態異常無効』がアドバンススキルとして使用可能となる。
久し…………初めて飲むアルコールは喉や胃を通る時は熱さを感じるが、その後の独特の酩酊感が来ない。さりげなく頬を触れるものの、熱くなっている様子はない。
そんなわけで運ばれてきたエールを半分ほど飲み、改めて爺さんを見る。
爺さんは嬉しそうにエールを口に含み、一気に呷る。
話に来たのか、それを口実に飲みに来たのかはわからないが、話は進むのだろうか。
「……で、話を聞く体制にはなったのかよ」
「くくっ。もう少し飲みたりんがの。それで、おぬしの話とは何じゃ?」
「分かっててとぼけやがって。で、あんたはどうしたいんだ?」
何を、とは敢えて聞かない。聞く必要もないだろうし。
「それを聞いてどうするのかの?」
にやり、と爺さんは笑う。俺だから平気なものの、小心者ならこれだけでもガタブルものだぜ?
「別に。あいつらを巻き込まないなら好きにすりゃいいし、そうでなきゃ」
エールを一気飲みし、ガダン! とテーブルに思い切りぶつける。
「物騒なやつじゃの。じゃが、そのくらいでなければ冒険者は務まらんか」
どうやら爺さんは俺のことを冒険者だと誤認しているらしい。
荒くれ者がなるという話だし、まあその方が都合もいい。
「ま、ギルドには所属すらしていない根無し草だがな。それで、答えは?」
「ワシは市井のものと事を構えるつもりはないぞ。
ワシらの研究は、全ての民のためのものじゃからな」
「それはあんた個人の考えだろ?
考えは高尚だが、言う事と実際が釣り合ってないんじゃないか?」
「若造に説教をされるとはの。じゃが、それもまた事実か。
魔術ギルドそのものの在り方に問題がある、ということかの」
押さえられなかったあんたにも問題はあると思うが。まあ言うまい。
「で、だ。俺やあいつはあんたらの出方次第では多少協力をすることは出来る。
だが、妙なことをすればそれは終わりだ」
今切れるカードは2枚。その後に控えているカードはあるものの、出す切り札としては多すぎるのも考え物だ。
「……む。ワシ1人相手に交渉しても何も出てこんぞ?」
「あんたがギルドマスターとして、手を出さないと言えばいい。
そして手を出させるな、ともな。それくらい難しいことじゃないだろう?」
「公言は出来んが、それとなく注意する程度じゃったらな。
ただ、それはいつも言っておる。おぬしらを特別扱いすることもなければ、の」
「それならそれで構わないさ。俺はあいつらが穏やかに過ごせればそれでいい」
「あの男に何かあるのかの?」
「恩がある。ただそれだけのことだ」
銀貨を1枚懐から出すとテーブルに置き、立ち上がる。
「エール一杯にしては随分と多いぞ」
「口止め料込みだよ。こういうときは先に恩を売っておくに限る」
苦笑する爺さんは放っておいて、酒場を後にする。
これで魔術ギルドに対しての言質は取った。口頭だけだがきっちりとする必要はない。
あの爺さんは相当な狸だろうから後々接近してくる可能性もある。
正直な所、この世界の魔術の扱いに関して思うところはあるが家族が損をしなければいい。
町の治安も悪くはなさそうだ。
住むには幾つか不便なところも出てくるだろうが、目を瞑れる範囲であれば当然出てくることだろうから気に病むこともない。
父と合流したのはそれから30分後……くらいか。いい加減時計くらいはあって欲しいがどうなんだろうか。
スキルで作れるものはある。それこそ日時計から柱時計、懐中時計と作れるものは多種にわたる。
日時計なら作ったところで構わないが、それだとそもそも持ち運べないし、正確な時間が分からない。
体感時間としてはおおよそ20時間ちょっと位のはずだ。
子供の身体だからずっと起きてはいられないし、感覚が鈍っている可能性も有るが。
……最悪、ストップウォッチを作ってそのうえで正確な時間を刻む時計を作るか?
いや、それも無理だ。
『レジェンド』で作れる時計は『レジェンド』の時間とリアルの時間を表示するくらいでそれを好きなように弄るスキルは俺自身にない。
そもそも、一日の始まりと終わりをどうやって決める?
日の出の時刻を毎日ストップウォッチを使って測るか?
莫大な時間だけを消費するのだけは確実そうだが、俺1人が時間を知りたいためだけにそんな無謀なことはしたくもない。
まあ、学校もあることだ。村には関係がないとしてもどこかで時間を知る方法は確立されているだろう。
そんなことはともかく。
父は俺の希望通り馬車を買っていてくれた。
馬2頭立ての帆馬車だ。これなら、これ自体を弄るだけでもどうにかなりそうだ。
まあ、それはあくまで何とかぎりぎり耐えられる程度の話で、安定性や快適性は求められないだろうが。
そして、価格は金貨50枚だそうだ。
随分と思い切って購入したものだと思ったが、父には何か考えがあるらしい。
それは後で聞くことにして、少ないがなくはない荷物(いつの間にか食料品や雑貨などもあった。布や革もあったが、他のものも多い。村へのお土産だろうか?)を積み込み、町を出る。
俺も馬車の運転は出来るはずだが、子供がこんな大きい馬車を運転するのはおかしい。父も運転できるそうなので御者を頼んだ。
町を出るときにジールと何やら話していたようだが、たった数十m程度でも揺れで気持ち悪くなっていた俺はただじっと我慢するしかなかったので話は聞いていない。
町を抜け、街道を走り、森に近づいた頃に休憩を取る。
気持ち悪さから必要に駆られてというのもあるが、むしろ理由は別。
馬車を入れ替えるためには流石に人がいないところで行う。
悪いことをしているつもりはないが、父のあの懇々とした説明の前ではトラックなど作れないだろう。
まだ材料が足りないのでそちらの面でも現状は不可能だが。
中世ヨーロッパ調な街道を爆走するデコトラ……やばい、想像しただけでもワクワクしてきた。
雑念は捨て、鍛治を取り掛かろう。何かまずい妄想が頭をよぎった気がしたがきっと気のせいだ。
今回は材料がぎりぎりしかないから万全の態勢で行おう。
あいにくと鍛冶師用のハンマーが露天に並ぶことはなかったため、今回はDEXをあげるしかない。
DEXを上げる支援スキルで俺が覚えているのは2つ。
1つはDEXが+50される『小手先勝負』……名前が酷いのはデフォだ。詠唱も酷い。「これがっ! 俺の今の最善だっ! いざ、『小手先勝負』!!」……非難はこの詠唱を作った人間とそれを採用した担当者に言ってくれ。ちなみに叫ばないと発動しない。
俺も取ったは良いが、恥ずかしくて使えなかったスキルの1つだ。
もう1つは『神の祝福』だ。こちらはMPの消耗が激しいが、DEXを現在値の1.25倍にしてくれる。詠唱は普通だ。特にネタもない。
そんなわけで作った馬車は馬2頭立て、最大6人乗りの、箱馬車と幌馬車の中間のようなものだ。
4輪で片方にドア、両側の窓。そして車輪と軸は金属を使い、車の下の部分はサスペンションが用いられこれが衝撃を和らげてくれるようだ。
内装も、シンプルながら席は革張りだし、ついでにつくったクッションもいい仕事をしてくれるだろう。
急に現れた馬車に馬がビビってたが、何とか宥め荷物を移し変える。
で、残った元々の馬車なんだが、アイテムボックスに収容した。
……やれば出来るものなんだな。一瞬で消え、アイテムボックスに格納されたのを見ると少し気分が悪くなった。
キャラバン
重量1500 耐久度【997/1000】
最大10人乗り、最大積載量800
父の希望とはいえ……少し大きすぎはしないか?
ちなみに俺が作った馬車は
ワゴン
重量2000 耐久度【1500/1500】
最大6人乗り、最大積載量1200
となっている。使った素材の重さが2500だったためまあ、妥当な加工だろう。
そして、いきなり500も重みが増えると馬の負担になるだろうから特殊スキル『軽量化』をかける。
これは装備やアイテムにかけることが可能で、最大4割の重量の軽減と移動速度+5%がかかるという便利なものだ。
消耗品にはかけられないためポーション等のアイテムにはかけられなかったが、こういった移動用のアイテムや装備している武器には狩りの前にかけ、移動時間の短縮に繋げていた。
さらに支援スキル『強靭化』を馬にもかける。これは一時的にSTRを+10とVIT+30してくれるスキルで、筋力と耐久性をあげれば疲れ辛く、重いものも運べるはずだ。
「……ソラに歩み寄らなければ、色々なことはきっと納得できないんだろうね」
何故か苦笑する父。
どこか微妙に失礼なことを言われている気もするが、人の相互理解を得るためには歩み寄りは必要だ。
間違ったことは言っていない。
ところで、馬車の移動速度というものは何kmだろうか。
聞いた話によると、町を観光用にゆっくりと廻るものはおおよそ5~6km。人が歩くより多少早い速度だ。
こういった村と村、村と町のように街道を往く馬車は15~20kmらしい。
だが、改良し移動速度を速めた馬車は最初は馬の思うとおりに走らせていたのだが、すぐにゆっくりとした速度に変えた。
特に酷い振動を感じることもなかったし、どうしたんだろうか。
体感的には恐らく50kmも出ていないはずなのに。野生の馬でも70kmは出せると聞いたから、まだ安全範囲な気がするんだが。
まあ、そんなちょっとしたことはあったものの。村の近くに着いたのは出て2時間ほど。
行きの1/3のペースでつけたことになる。やはり支援スキルは偉大だな、と感謝をしていると父に話しかけられる。どうやら購入した馬車を出し、連結して欲しいそうだ。
よく分からないが、言われたとおりアイテムボックスからキャラバンを出し、ちょっと不安定ではあるものの車軸で連結させる。連結に使ったのはキャラバンに残っていたロープだ。しっかりとしたものだし、無理な動きをしない限り外れることはないだろう。
とはいえ、いきなり2倍近くになった重みを馬が楽々動かせるわけもなく。
ずいぶんとのんびりとした速度で村にまで辿り着く。もう既に日は低く、空は赤くなっている。
それだけ出るのが遅くなってしまったのは少し反省したい。
村の入り口に立つグランさん(村に駐在している騎士だ)には驚かれたものの、スムーズに村に入る。
家に着くまでに人に色々父が聞かれていたようだったが、行商以外で村に馬車がくることはない。
その物珍しさからだろう。
「ただいま、母さん、レニ!」
1日程度しか家を離れていなかったが、やけに懐かしい気がする。
きっと、それだけ会いたかったということだろう。
「おかえりなさい、おにいちゃん」
だから、最愛の妹の顔を見て思わず抱き締めたのも不可抗力だろう。
可愛すぎるレニがいけないのだ。いや、レニがいけないことは一切ない。
では何がだめなのだろうか?
「お帰り、ソラ。あら、トニーは一緒じゃなかったの?」
「父さんは用があるとかで村長のところに。ああ、そういえばお土産があるんでした。
レニ、お兄ちゃんからプレゼントだよ」
懐にしまっていた包みを取り出し、首飾りを妹に、母にはイヤリングを渡す。
どちらもあの露天で買ったものだ。
「おにいちゃん、だいすきー」
満面の笑みを浮かべるレニを再度抱き締める。ああ、何て愛い妹だ!
「良かったね、レニ。お兄ちゃんから貰ってさ」
母も嬉しいのか笑みを浮かべている。買ってよかったと思う。
ほぼ2日ぶりに食べるパンはやはり格別だ。
同じ食べ方でもこれをスープに浸すのもうまい。
味の濃さでいえば町で食べたものの方が美味かったが、主食のパンが比べ物にならない時点でどちらを食べたいかは決まっている。
父もすぐ帰ってきており、夫婦で土産話をしているらしいが、俺は食べるのに夢中。
親同士の話に子供が首を突っ込むものでもないしな。
時折こっちを見てはいるが、たいしたことではないだろう。
俺はレニの世話をしながら食事を続ける。
「ソラは学校に行きたい?」
そう聞かれたのは俺が食事を終わらせ寛いでいた時だ。
「別に……興味はないけど、何で?」
というか、この前もその話をしてそれで喧嘩をしたような気もするんだが。
「前にも聞いたけど、やっぱりソラはちゃんと学んで欲しい。
きっと、ソラにとって必要なこともあるから」
そういう母の目は真剣そのものだ。とはいっても。
「俺、こう見えても6歳から18歳までずっと勉強してきたんだ。
いまさら勉強する必要もないと思うんだけど」
小学校から高3まで。12年間は流石に長い。
それでもちゃんとした一般教養を身につけたとは言いがたいからたった5年間で何が出来るのかとも思う。
「……ソラのいたところはそんなに小さな頃から勉強していたの?」
「人によってはもっと前から色々な習い事をしてたみたいだけどね。それに、俺なんてまだ途中みたいなものだったよ」
大学に入れれば22までは学生だっただろう。となると16年間。
それでも社会人になって苦労することは少なくないというから驚きだ。
「でも、それはソラの知ってる前のことでしょ?
今は今で勉強が出来るならちゃんとしたほうがいいよ」
それはその通りだ。未だに俺はこの世界の時間の流れも歴史も知らない。
王都がどんな名前なのか、今の王様の名前も顔も知らない。法すら俺は知らないのだ。
前では絶対に考えられないことだ。
魔法学校と言ってもそれだけを行うわけではないだろう。
遥か昔に作られた某有名小説の魔法学校ではそれらに特化したものだったが、あれも恐らく年齢的に考えて義務教育は終わらせているはずだ。
とはいえ、幾ら識字率が低いとはいえ、貴族であれば家庭教師を雇っているだろうし、その教師に読み書きはもちろん、必要な勉強は習っているだろう。
そうなると、魔法学校で教えるものは限られてくるだろう。
前読んだ入学案内にはカリキュラムこそかかれていなかったが、魔法のみを対象に勉強するわけではなさそうだった。
「……けど、学校だってただじゃないんだけど?
入学金、学費、制服代に教科書代、もろもろの消耗品、年間でかかる費用は結構洒落にならない」
そのことで母も諦めたはずだが。むしろ母が一度終わった話を持ち出すとはまた珍しい。
普段は一時どんなに言っていても終わってしまったら後は気にしない人なのに。
この前言った金貨70枚は最低限。実際全てを含めば卒業までに白銀貨1枚以上にはなるだろう。
それも順調に合格し、留年しなければの話だ。そもそも受からなければ意味がない。
「トニーがさっき言ってたんだけど、魔具を売って家と馬車とかを買ったお金を差し引きしても白銀貨2枚は残ってるんだって。だから、お金のことは心配しなくてもいいよ。
元々、それなりに蓄えはあるしね」
「それでも補修の費用は必要だし、維持費も必要だと思うんだけど。
とてもじゃないけど、そんなのしてる余裕ないって」
それで魔法が使えないなら通う必要もありそうだが、そんなことはない。
と考えると高校も何のために行っていたのか分からなくなるが。
ボケて突っ込んで張り倒して蹴飛ばして。……友達とバカをしていた記憶しかないが、まあ高校生なんて特別目的意識を持たない限りそんなものだろう。
それをするには流石に高すぎる授業料だと思う。
俺は高校の時は学費以外は自分で捻出していたが、小遣いを貰ってる時点であまり説得力はないか。
「分かった。そこまで言うなら、応募の締め切りまで考えてみて。それでソラが行きたくないなら言わないからさ」
確かに応募の締め切りはあと2ヶ月ほどはある。それだけあれば引っ越した後落ち着いて考えられるだろう。
「あまりいい返事は期待しないで欲しいけど」
何故母がこんなに熱心なのかは分からないが、何か理由があるのだろうか。
まあ、滅多にないことだし引っ越したらじっくりと腰を下ろして話をしてみるのもいいかもしれない。
ところで。父の言っていた考えがある、とのことだが。
それはその次の日に分かった。
村長の家の隣に、急造だが馬小屋が建てられた。
建てたのは、ゴーンさんをはじめとする村の人たちだ。
今は父の買った馬が繋がれている。それと、その後数頭馬を買う予定だそうだ。
そして、父からお願いされたのが馬車を村に譲りたいとの事だった。
訳を聞いてみると、村には特産品や狩猟で得たものはあるがそれを好きなタイミングで売りにいけないこと。
売っても、今度は得られたお金で大きなものが買えないこと。
町に出るのは俺と父が町に向かった時のように行商が来た時にそれに便乗すること。
帰りに至っては辻馬車を利用するお金もないため数日かけて歩いて帰るそうだ。
俺はそれに対し条件付で了承する。条件は2つ。
町などで、馬車を父が買ったことを話さないようにすること。
それと俺の作った馬車に村の人以外を極力乗せないこと。
その条件は父も問題だと思っていたのか、快諾しその話は終わった。
俺としても、この村には愛着がある。
ずっと住むには不便だし、俺には不可能ではあるがここが故郷だと思っているし、ここに住む人のことも好きだ。
なら、その人たちが少しでもいい生活が出来るようこの位のことなら、むしろしたほうがいいと思っている。
ただ、それだと村に来ている行商と折り合いが悪くならないだろうかと心配したが、そんなことはないらしい。
行商から買うものはいつも決まっており、それは商人でないと仕入れるルートを確保しづらく、また行商も他のところで売った最後の流れとしてこの村に来ているから荷物が増えない分には問題はならないそうだ。
整備程度ならゴーンさんも出来るだろうし、馬の世話も問題ないだろう。
……サスペンションが鋳造なのか鍛造なのか気になるが、まあそれもどうにかしてくれるだろう。
そんなこんなで、気づけば15日も経っており、引越しの日を迎えた。
一昨日は父が猟師団の面々と夜中騒いでいたし、母も何度となく村のあちらこちらで別れを惜しんでいた。
俺はいつも通り暮らし、別れを惜しんでくれる人に感謝しつつ、荷物の整理を行っていた。
ただ、引っ越すとなると鉱石の露頭箇所が遠くなるので人目を忍んで採掘に勤しんでいたが。
「お前たち一家がいなくなるとこの村も寂しくなるな!」
と、全然寂しそうに見えない村長。まあ、こういったキャラは熱血か涙もろいかどちらかだ。
きっと、後で1人で酒でも飲みながらひっそりと泣くんだろう。
「トニー。お前がいないと猟師団もきつくなるが、何とかする。
どうにもならなかったときはお前だけでも引っ張るけどな」
そうやって笑うのは父の所属していた猟師団の団長だ。
これからは村に馬車があるし、辛いときは父を頼ればいい。
「何言ってるんですか。いつもはお前は邪魔だとばかり言ってるのに」
そうやって笑う父に力はない。恐らく自分が引っ張りまわされる光景を想像しているんだろう。
「では、そろそろ行きますよ」
御者を買って出てくれたのは自衛団の1人、ロソンさんだ。
今回はまあ、色々と問題もあり支援スキルは使っていない。
軽量化も強靭化も一定時間過ぎれば効果は消える。
父に使ってはいけないと念押しをされたので仕方なくだ。
6時間はかからないにせよ、レニに長時間馬車に乗せて何かあったらどうするというのだ。
そんなレニは引越しのことを良く分かっていないのか、「おでかけ、おでかけ」とはしゃいでいる。
ひたすらに和み、ぐりぐりと頭を撫でるとさらに機嫌が良くなりはしゃぐ。
このまま疲れて眠ってしまったほうがレニのためか? とも思うがあまり疲れさせるのも可哀相だ。
そんなジレンマに襲われるが、そんな間に挨拶は一通り終わり、馬車に乗り込む。
乗り込み、ドアを閉めると感極まったのか。笑みと薄らと涙を浮かべる村のみんな。
そんなみんなに手を振り別れを告げる。
機会があれば帰ってこれる。そう悲観することもないとは思うのだが、余計なことを口にはしない。
ゆっくりと動き出す馬車の景色を見つめ、今まで世話になった『ユグドラシルの葉先』に別れを告げた。
荷物自体は、少なくはないが、家具は揃っており、そちらに関しては置いてきたため多くもない荷物とともに馬車の景色を楽しみ、4時間で町についた。
ゆっくりと走っていたはずだが、それでも商隊のキャラバンよりは荷物も少なく、馬車の振動も少ないため馬に負担がかからなかったからだろう。
商隊では村から町まで休憩を3度ほど挟んでいたが、それが2度で済んだのも早くなった要因だろう。
町に入り、建築ギルドでシエッタとフランクを拾い、新居へ馬車を進める。
比較的広い道があるところに館があったのは好都合だ。
門扉も広いため、そのまま敷地内に馬車を停めることにした。
そうそう。魔法陣は効果は続いている。あくまで魔術ギルドに消させたのは外の防犯用のものだ。
内側に関しては未だに続いている。とはいっても、あの魔法陣が消えた時点で効果自体書き換わるようにしたのだが。あくまで窃盗防止用なのだが、レニは好奇心旺盛だ。
今日は徹夜してでも魔法陣を書き換える必要がありそうだ。
入った館の中は一瞬別の家かと見間違えた。
元々そこまでぼろくはなかったが、長年に渡って積もり積もった埃と様々な汚れが綺麗に無くなっていたからだ。
天井に、有ったことすら気づかせなかったシャンデリアも、壁を飾る真鍮らしい燭台も古めかしいが、この家にはよくあっている。
「……素敵」
と母も言ってしまうほど素晴らしいのだ。……これを毎晩使うかどうかは別としてもだ。
「そういえば、義兄さん。ここは4人だけで住むつもりなんですか?」
「うん。暫くはね。広すぎるけれど、あくまで僕らは平民だから」
3階建て+地下もあるため部屋数は莫大だ。寝室だけでも片手では収まらない。
それに多目的室に図書室、おそらく衣裳部屋すらあるだろう。
つまり、貴族の邸宅にすむ庶民。分相応にも程が有るというものだ。
とはいえ、ここはあくまで住宅街。貴族が住む高級住宅街ではないのだ。
どうせ魔法陣を使って人避けはする。
仮にも俺は魔法使いであり鍛冶師であり錬金術師なのだ。
ならば、この美味しいシチュエーションを逃す手はないのだ!
というわけで、荷物の運び入れに邪魔にならないよう、自分の部屋を確保し、レニをつれてそこに居座る。
レニはまだここが自分の家だということが分かっておらず、「おっきいいえだねーおにいちゃん」なんてきょろきょろと視線を飛ばしている。……本当に可愛いやつめ。
だが、いつまでもここでこうしているわけにも行かない。
リーゼと約束していた甘いものを作らなければならない。
焼き菓子はある程度作られているようだが、どれもクッキーやベイクドチーズケーキもどき。しかもそれもあまり美味しくなく、甘くない。
露天で見つけ、話を聞いたところだとビートが少しは出回っているが、あまりに高くあまり使えないこと。
膨らます技術がないため焼き固めたものしかないこと。そのためチーズやバターを用いた焼き菓子が主流だそうだ。
平民では年に何度かしか口に出来ないそうだが。
まあ、パンがなければ~のような迷科白もあるように、お菓子はまだまだ高級品ということだろう。
そのため焼き型も存在しないためシフォンケーキと食パンの焼き型を作るはめになったが、先行投資ということで構わないだろう。どうせ原材料費はただだったんだし。
とはいえ、流石に生産スキルにシフォンケーキや食パンの型はない。
そのため、特殊スキル『変形』と炎の初級魔法、そして水の魔法でも冷却の系統の魔法を使い、苦労して鋳型を作り金属を溶かし、型にいれ冷却する。
久しぶりに魔法は使ったがスキルに頼らない鍛治を行ったのだ。
とはいえ、鋳型を作るために使った『変形』により芯取りはほぼ一瞬で終わったし、枠も使わなかったため砂に直接溶かした金属を流し込み冷やして固めるという変則的なものになったが、まあこれくらいは一般的だろう。
そんなわけで厨房にやってきたが、当然ながらかまどに火が入っているはずもなく。
サービスなのか薪は用意されていたため窯を利用したのだが、火の調整が難しい。
火自体は一番初級の火の魔法「爆ぜ、火よ」で火をつけている。
初級魔法なのでワン・スペル(スペルの名前を言うだけ。前衛職のスキルもだいたいそうだ)で済むのもあって多用できる。
仕方がないので、『鑑定』により火の温度を監視、窯の準備が出来るまでにそれぞれの生地の準備を行う。
とはいっても元々用意はしていたので後は時間との勝負だ。
ちなみに、レニははしゃぎすぎて俺の部屋で眠っている。レニにまだ厨房は危ないのだ。連れてくるはずもない。
気が向いたのでそのまま夕食を作ることにもした。
ここからシエッタとフランクが住む家は徒歩で10分ほどだ。
リーゼも呼んで夕食会にしてもいいだろう。
かまどに薪を入れ、「爆ぜ、火よ」で火をつける。
家から持ってきていたボウルの中に塩漬けにしてあった魚の切り身、臭み消しのハーブ、風味付けのニンニクを入れ寝かせる。これは後で揚げる予定だ。
あとはスープを作る。スープは野菜を多めだ。
肉は用意していなかったが芋や根菜類を入れる。……味噌汁にしたいが、ないもの強請りはできないのだ。
途中で大人たちが気づき、ぞろぞろと厨房に集まってきたのでフランクにリーゼを呼んで来て貰うよう依頼、母とシエッタが興味深そうに見ているため母にパンとシフォンケーキを焼いてもらうようお願いした。
「姉さん、ソラってしっかりしてるわね? 随分と手馴れてるみたいだけど、普段からしてるの?」
「あ、はは。そうだね。うん、よく手伝ってくれるよ。ただ、火は危ないから1人で使ったら駄目って言ってるんだけどね」
ちなみにソラとしては料理は初挑戦だ。前の飴は料理にはカウントできない。
ただ、穹としては料理は数少ない趣味の1つだった。料理は裏切らないからな。
そんなわけで料理を作り始めて30分ほど。窯で焼いていたものがちょうど良くなってきたので魚を揚げることにした。
油をそこそこ使う揚げ物料理は危ないが、火の温度にさえ注意していれば揚げ過ぎることもない。
そういった物理作用に関しては変わっていないため、油を過剰に跳ねさせる事も火が炎上することもなく作り終えた。
作り終えた料理を囲むのは、父、母、レニ、俺とフランク、シエッタ、リーゼ。そして御者として手伝ってくれたロソンさん。計8人だが、それでも食卓にはあまりがある。
ここは長すぎるテーブルを排除して小さめの食卓を2台用意するとかしたほうがいいかもしれない。
フランクがエールやワインを持ち込んだことで場は一部カオスになりそうだったが、俺にレニ、リーゼにはそんなことは関係ない。
何歳から飲酒可能かどうかは知らないが、俺は酔うこともないから飲まないし、レニに飲ませるわけがない。アルコール臭も苦手らしいからレニの前で飲むことすら本来なら許しがたいものだ。
まあ、そんなことはあったものの料理は好評であっという間に全てなくなった。
特にパンがリーゼの口にあったらしく、無口ながらも幸せそうに食べる様子に俺まで嬉しくなった。
あまりの美味しさ故か、食べ切れなかったパンとシフォンケーキを丸々渡した時の羞恥と嬉しさが合わさった顔も印象的だった。
飲みすぎたおかげで帰れなくなったフランクと、翌朝けだるそうに馬車で帰っていくロソンさんは自業自得だと思ったが。
日が変わり、白み始めたばかりの頃に目が覚めた俺は、まず風呂に入ることにした。
朝風呂! 何て贅沢な響きなんだ!
日本人に生まれてよかった! と既に日本人じゃないのにそう思うと、特殊スキル『いい湯だな』を発動。
なみなみと張られた湯船に身体を沈める。
便利ならどんなネタスキルであろうとどんな名前であろうと関係ない。
取っていた俺、偉い。
本来なら外のかまどで火をたきお湯を沸かすらしいが、そんな無駄なことはしない。
むしろそれでお湯加減が上手く調節できるとも思えないし、この温度でゆっくりと身体を温める贅沢を今まで何故堪能できなかったのか悔やまれる。
1時間ばかり湯船につかり、身体を洗って一通り風呂を堪能し、のぼせた身体を冷やすため厨房へ。
「おはよう、母」
「なんだか頭から湯気でてるよ? ソラ」
「朝からお風呂、極上の時間でした」
「この家お風呂あるんだっけ。後で私も入ろうかな」
そうしたほうがいい。是非毎日入る贅沢と必要性を知ってもらわなければ。
「レニも是非一緒に。あ、それで俺は朝食べたら町に出かけるから」
父はどうせまだ寝ている。フランクもだろう。……仕事はいいのか?
「うん。じゃあ私はトニーが起きたら入ることにするね。
ソラは……大丈夫だとは思うけど、気をつけてね」
「厄介ごとに巻き込まれなければ平気。あー、パンもう焼けてる?」
「もう平気だけど、すぐ食べる?」
「ちょっと作りたいものがあって。そのついでに食べるから平気」
首をかしげ不思議がる母。まあ、これもパン普及のための一歩。
というわけで、作ってみましたサンドイッチ!
これをそれぞれの昼用に配ればパンの道はさらに明るくなるはず。
わざわざ食パンの型まで作ったカイがあったよ……。
よし、これが出来たら町にでも繰り出しますか!
中々話が進みづらいです。。。
脱線と説明が多過ぎるせいでしょうか。
今回で魔術ギルドとの関係もある程度形が見えた……ようになればいいと思います。
評価や突っ込みがありましたらお願いいたします。
2011/9/13
誤字の修正を行いました。jp-y様ありがとうございました。
さらに誤字の修正を追加。。。エイトール様、独言様ありがとうございます。
2011/9/16
加筆修正しました。
2011/9/18
誤字等を修正しました。haki様ありがとうございます。
2011/28
誤字の修正を行いました。暁闇さまありがとうございます。