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プロローグ
いつだって、ただの正義は面白がられない。
声の大きさは拳となり、
数字が剣となり、
共感が防具になる。
フォロワーが多い者ほど強く、
リアクトが集まるほど存在は肥大し、
ブースドされれば、一時的に神にすらなれる。
だが――
間違いを正す行為は、必ずしも支持を集めない。
むしろ退屈で、
空気が読めず、
「ノれない」と笑われる。
電脳空間では、
正義はいつだって不人気だ。
悪意は拡散され、
嘘は面白がられ、
炎上はエンタメとして消費される。
それでも、
この世界が壊れきる前に、
誰かが“止めなければならない”。
通報と虚偽の境界を見極め、
承認欲求が怪物へ変わる瞬間を切り捨てる者。
彼らは称賛されない。
むしろ、燃やされる。
それが――
電脳グリッチ監理局。
そして今日もまた、
正しさを振りかざした誰かが、
新しい炎上の中心に立たされる。
「また、炎上してる……?」
その一言から、また一日が始まった。




