表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

#1-2 To nurse

授業終わりの 、チャイムが鳴る 。

やっと 、50 分が経ったのか 。

時間が過ぎるのが 、遅く感じる 。

まだまだ 、咳は止まらない 。

ここは保健室だから 、教室より空気が良い筈なのに 。

あれ 、授業始まりのチャイム前に薬飲んだよな ?

全然効かないんだけど ...


今日も 、保健室を利用している 。

天気は1日中雨の予報が出ていて 、今も雷が落ちる程の大雨 。

そのせいか 、いつもよりも体調は悪く 、薬も効かない 。

最近は 、喘息の症状も酷くなっている 。

ほとんどの生徒が 、学校を休むくらいの体調だけど 、

家族は許してくれないだろうから 、一旦学校に来てみた 。


いつもは 、1 時間だけ 、保健室で休ませてもらっている 。

たまに 、薬が良く効く時があって 、その時は保健室には来ない 。

だけど 、今日は珍しく 、朝から保健室に居る 。

体調が悪いのもあるし 、授業を受ける気力がないのもある 。

何より 、喘息の発作が 20 分に 1 回くらい来る 。

多分 、OD用の咳止めの市販薬がなくなったから 。


「 大丈夫 、か ... ? く 、薬 、飲んだ 、よな ? 」

「 飲んだっ 、効かへん 、! 」


なっちゃん 、優しいなぁ ...

自分の体調も悪い筈なのに 、心配してくれてる 。

ちなみに 、友達は結構居るらしい 。

コミュ力 、高いんだって !!

確かに 、話しただけでわかるもん 。

陽キャオーラが出てるってゆーか 。

俺も友達は居るけど 、幼馴染みたいな感じやもんな ...


なっちゃんは 、月に 1 回 、2 週間ほど保健室に居る 。

ガタが来ちゃうと 、教室には長い間戻れない 、みたいな ... ?

だけど 、クラスの人達がよく来るから 、不登校とかではない 。

ガタが来ると 、そんな元気なくなるよな 。


なっちゃんは 、統合失調(とうごうしっちょう)(しょう)って病気を持っているらしい 。

俺もよくわからんけど 、陽性ってやつと陰性ってやつがあるらしくて 、

なっちゃんはいつも陽性の時に保健室に来てるらしい 。

陽性って結構明るいというか楽しいみたいなイメージ持っとったんやけど 、

実際は明るすぎていろいろ考えすぎちゃうから 、人と一緒に居ると苦しくなるんやって 。


陰性の時は 、感情がないから 、なんでも人に合わせれば意外といけるらしい 。

いや 、俺にはできそうにないで ... ?

なっちゃんの 、慣れ ? が出とるんやないかと思う 。

相当悩んで来たんやなと思うと 、俺まで心が痛くなる 。

なっちゃんは 、家族から学校側に 、病気のことは伝えてあるらしくて 、単位の心配はないんやって 。

良かったな 、なっちゃん 。


「 ... あれ 、先生は ? 」

「 花壇に水やり ... ? 多分だけど 。 」

「 でもっ 、そろそろ 、帰って 、くる 、!! 」

「 ぇっと 、なっちゃんと 、そら 、ありがと~ !!! 」


先生 、いつも朝は 、花壇に水やりしてるんよね 。

保健室は学校の裏にあるんやけど 、あんまり目立たないところでも 、先生が立派にお花育ててるんよ !!

ちゃんと 、涼しい時間帯に水やりをして 、熱中症に気をつけてるところ 、

保健室の先生らしくて良いよな 。

いや 、理科の先生かも ? 笑

お花さんも 、毎日水やりしてくれてて 、嬉しいやろうなぁ 。

最近植えたばっかりやから 、卒業する頃には 、もっと育って綺麗になっとる筈 !!


「 あ 、唯花ちゃん !! ごめんね 、水やりしてた 。 」

「 大丈夫ですよ ! 」

「 それじゃあ 、隣の部屋行こっか 。 」


ゆいゆいは 、休み時間に 、保健室へよく来る 。

いつも俺と時間が被るわけじゃないから 、毎日かはよくわからない 。

だけど 、昼休みは大体居る 。

なんならここで弁当食べてる時もある (

でも 、体調が悪いとか 、そういうのではなさそうなんよね 。


ゆいゆいは 、いつも 、先生と個室に行っている 。

ベッド 1 つだけがある 、所謂隔離的な部屋 。

よく 、熱を出した子とかが 、家族が迎えに来るまで 、その部屋で待機してるとかあるんだけど ...

ただ 、そういう子はほとんどおらんからね 、大体は空いてる 。

いつも 、その部屋のドアが開いているところしか 、見たことがない 。


少しだけ聞いたことがあって 、いつも先生に悩み ? を相談してるらしい 。

その話を聞くまでは 、相談しているなんて 、全然気づかなかった 。

本当に部屋から音が聞こえないもん 。

だけど 、時々聞こえてくる音がある 。

男の子の声 ? みたいなのが 、聞こえてくるんだ 。

保健室の先生は女性だし 、ゆいゆいも勿論女の子 。

かといって 、その部屋は保健室からしか入れないから 、他の先生というわけでもない 。

それだけが 、不思議 。


「 そら 、次の授業 、始まるぞ ? 」

「 あー 、... まだ調子悪いし 、少しだけっ 、残ろうかな 。 」

「 先生戻ってきたら 、伝えろよ 。 」

「 うん 、 」


もう 、そんな時間か 。

雷の音は 、あまり聞こえなくなった 。

天気 、少しは良くなったんかな 。

それだったら 、そろそろ薬効いてくるな 。

授業 、途中からでもいっか 。

英語やし 、ゆーてわかるやろ 。


卒業するまで 、これからも毎日 、保健室に通うんだろうか 。

自分でもわかってる 、甘えてることなんて 。

先生は 、学校に来るだけでも偉いって言うけど 。

俺は 、ずっとこの病気と生きてきたんだから 、この身体には慣れてる筈 。

なっちゃんだって 、慣れてるからこそ 、2 週間しかいないじゃないか 。


こんな病気が無ければ 。

こんな身体じゃなければ 。

もっと楽しい人生だったんじゃないかって 。

今更 ?

そもそも 、生まれてきた意味ってなんなんだろ 。

生きてなくても 、良かったのに 。


先生 、俺の病気は治るんですか 。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ