表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/12

#0-2 自信が持てない子

勉強 。勉強 。勉強 。

これ以外 、やる事はない 。

否 、やらなくてはいけない 。

家にいる時は 、ずっと勉強 。

そうじゃないと 、また怒られる 。

まぁ 、勉強してても 、怒られるんだけどね 笑


最近は 、お母さんがすごく遅くに寝てるから 、あまねも睡眠不足 。

お母さんより睡眠不足 。

学校 、お母さんが起きるより早く行かなきゃ 、また怒られる 。

いつからこうなったかな 。

... そっか 。

あまねの存在価値に気づいた時からか 。


「 出来損ない 」と言われたこと 。

お父さんもお母さんも賢いのに 、あまねはその真逆に生まれてきてしまった 。

みんなに追い付くように 、毎日努力してる 。

だけど 、ずっと学年 2 位だった 。

どんどん怒られる 。

努力してるのに 。


そんな毎日に 、あまねはもう懲り懲りだった 。

いつしか 、勉強をしているふりを始めた 。

成績も 、努力していた頃と 、ほとんど変わりはない 。

あまねには 、勉強するにはこれが必要 。

「 薬 」という幸せになれる道具を 、見つけちゃったんだ 。


「 お母さん 。参考書 、買ってくるね 。 」

「 ... 最近いくつも買ってるじゃん 。あんまり高いのは買うなよ 。 」

「 分かってる 。 」


この誤魔化しも 、そろそろ効かなくなるだろう 。

2 日に 1 回も参考書を買いに行く学生 、見たことある ? 笑

でも 、誤魔化しはずっと続けないと 。

お母さんに 、「 オーバードーズ 」をしていることなんて 、絶対に言えない 。

あまねには 、もっとたくさんの薬が 、必要なんだから 。


こんな人生 、辞めたかった 。

薬しか 、生き甲斐がなかった 。

ずっと 、「 死にたい 」を考える毎日 。

いつでも 、自殺して良かった 。

だけど 、せめて最後は 、誰かにあまねのことを聞いてほしかった 。

あまねは 、いつも 1 人だった 。

今まで作ったことがない 、友達を作ってから死ぬ 。

心に決めていた 。


「 薬で死ねるんかな 。 」


授業中にも関わらず 、急に隣から聞こえた言葉 。

その時隣の席だったのは 、百魔(はくま)くんという 、ヤンキーらしい見た目をした子 。

そんな見た目の子が 、まさか自殺をほのめかす発言をするなんて 。

驚いたから 、百魔くんの表情を覗いて見たんだ 。

彼は 、容姿とは真逆で 、今すぐに消えてしまいそうな 、暗い表情をしていた 。


「 ねぇ 、今からさ 、あまねと屋上に行こうよ 。

 あ 、もし良かったら 、(かばん)も持ってきてくんない ? 」


授業なんて 、どうでもよく思えた 。

彼は 、ほとんどの授業をサボっていたから 、

あまねがこんなことを言ったって 、別に何も思わなかっただろう 。

... 今しかないって思ったんだ 。

あまねについて 、話せるのは 。


百魔くんはすぐに頷いて 、鞄を持って 、2 人で教室を抜け出した 。

あまねがオーバードーズをしていること 、伝えた 。

話した瞬間 、彼は表情が一気に明るくなった 。

あまねも 、百魔くんとなら仲良くできるって 、初めて人を信用できたんだよね 。

百魔くんも 、同じなんじゃないかな 。


その後 、よろしくの挨拶として 、持っていた薬の瓶で乾杯をした 。

一緒に 、鞄の中に入っていた 1 瓶を 、全部飲み干した 。

どうせ 、百魔くんも学校に持ってきてると思ったから 、鞄を持ってきてって頼んだんだよね 。

あまねの予感は 、大正解だった 。

家族の事は話せなかったけど 、いつか話せると思った 。

新たに 、陽翠っていう仲間もできたし 。


でも 、こんなに頼って良いのかな 。

こんな出来損ないと 、一緒に居て楽しいのかな 。

夜は 、不安ばっかりが 、頭の中を支配する 。

こんなことを考えながら 、さっきドラッグストアで買った薬を一気飲み 。

大丈夫 、5 種類は買ったから 、多分 3 日は耐えられる 。


この量 、今はもう慣れてしまって 、フラフラもなくなってきた 。

帰り道だけど 、感じるのは 、薬を飲んだ気持ち良さだけ 。

薬を飲んだすぐのこの時間が 、あまねの 1 番幸せな時間 。

堪らない 。

大好きな時間 。

やっぱり生き甲斐だ 。


そうだ 。

参考書が買える本屋さんはまだまだ遠いし 、もうちょっと遅く帰ってもバレない 。

まだ一昨日お邪魔させてもらったばっかりだけど 、近くの陽翠の家に行こうかな 。

陽翠は 、あまねのお母さん的な存在だから 。


... あーあ 、また人に頼ってる 。


「 出来損ないなんだから 、もう死んでも良いかもな 、笑 」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ