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翡翠さんは、ではなくて女神のギター教室

ロリータはギターの覚えが早いですね。これは期待できる。ロリポップ、いや、それはまた別の概念でした。

「くっそー、ダ女神め、武道館でアーティスト・スイッチが入ったか。ドヤ顔の流れ者ムーブで館の前に現れたな。ティアラが頭にめり込んで完全に角になってるじゃないか。何をやらかすつもりだ?原作では、シャーロットがハンバートに最後通牒を突きつけるんだったな。ここを出て行くか、自分を妻にしてくれるか。で、ロリータとの接点が切れるのを恐れたハンバートはシャーロットと結婚する。よくそんな選択ができるものだ。ここに常人とは違う異常性が見て取れる。そもそもハンバートにとって結婚の意味は実に軽い。渡米前のパリで、ヴァレリアという女と結婚していた時期があったが、最初から醒めていた。男はある程度の年齢になったら結婚するものだぐらいの理由しかなかった。それゆえすぐ破綻。ロシアの元軍人というハンバートとは全く正反対の肉体自慢の男と不倫だよ。これでますます大人の女がイヤになった。13歳のときの初恋の相手アナベルが肉体的に結びつく前に病死してしまったので、元々の女性観が拗れていた。どんどん唯我論(solipcism)に落ちて行く。世界は自分が描く空想だ。だから中身が空虚なニンフェットを求める。だけど現実にはどんな少女にも中身と自我がある。思い通りになるニンフェットが欲しいなら、エジソンにハダリーを作ってもらうしかない。しかも少女タイプ。おぞましいね。」






挿絵(By みてみん)


「女神様、その姿、流れ者のミュージシャンに見えなくもないのですが、背中に背負ったギターの位置、おかしくないですか?」


「は?問題ないだろ。」


「肩から突き出ているネックとヘッドの部分とリュックの下に見えるボディの部分、90度回転してますよ。」


「あ、ホントだ。」


「それにギターのボディがリュックにのめり込んでるし。」


「そうだな、変だな。」


「ヘッドとネックがそういう位置になるなら、ボディは女神様の臀部にのめり込んで、股で挟んで膝下から顔を出しちゃいますが。」


「秘密を言えばだな、私は身体全体にアイテムボックスを飲み込んでいるんだ。すべて身体の中に収納できる。だから本当はリュックもギターケースも必要ない。身体の中から自由に取り出せるからな。梅干しの壺をいつでも持ち出せるのはそういう理由だ。このギターとリュックは、いわば雰囲気作りの飾りに過ぎない。いつも手ぶらで身軽な女神、それが私だ。どうだ、羨ましいだろう?」


「はい、とっても。でもアイテムボックスって、別に身体に埋め込まなくても異空間に置いておけるものでは?冒険者がいつも身軽なのはそういうことですよね。女神様はときどき身体からいろんなものが生えてしまいますよ。ちょっとお腹から何か顔を出す芸をやってみてくださいよ。」


「こうか?」


挿絵(By みてみん)


「うわ、キンモー!」


「キンモーとは何だ!おまえがやれといったからやったまでだ。」


「失礼しました。つい素直な感想が口から出てしまいました。それでは立ち話も何なので、どうぞ館へお入りください、女神様。」


「うむ、くるしゅうない。」



「あ、女神ちゃんだ、おかえりー!」ロリータが無邪気な笑顔で出迎えた。


「うむ、ロリータか、久しいな。」


「私ね、ここで音楽の修行をするの。苦しくても諦めない。ミナルナさんが教えてくれたもん。諦めたらゲームはそこでお終いです。逃げたら1つ、進めば2つ。」


「何だ、それは。最初のはわかるがあとのはちょっと。」


「逃げれば負けないが手に入るけど、進めば勇気と経験が手に入るんだって。」


「ほう、何だか機動兵器に乗りたくなる格言だな。」


「女神ちゃん、ギター弾けるの?」


「おう、クラプトンかジミヘンかと呼ばれたものよ。」


「え?何だかわからない。」


「まあいい。教えてやろう。アコギが良いか?エレキが良いか?」


「何だかわからない。」


「ロリータはまだ見た目が素朴だからアコギだな。少しサイズの小さいのを出そう。」


「出そう、って、どこから?」


「女神の力は万能です。行くぞ、ほれっ!」


 ピンクの小型アコギが女神から生まれた。うん、生まれたとしか言いようがない。足下に出現した。体内から出たのだろう。


「ほれ、手に取るが良い。」


「何だかこのギター、生暖かいよ。」


「うむ、人肌で良い感じだろ?チューニングもバッチリだ。」



挿絵(By みてみん)


「まずドレミファから行くか。5弦、一番細い弦が1弦なので下から5番目だな。そこの3フレット、フレットというのはその指板の線というか畝というか、そうそれだ。そこを押さえてポロリン。うん、ポロリンだぞ、ポロリではないからな。」


「女神ちゃん、ポロリンとポロリの違いがわからないよ。」


「うん、ポロリは忘れてくれ。おまえにはまだ無用な概念だ。」


「よし、ドが弾けたな。レは4弦の開放弦だ。そう押さえずにそのまま、ポロリン。よし、よくできたぞ。次はミだ。4弦の2フレット。ファは3フレット。そしてソは...」



「あら、熱が入っていますね。」翡翠が飲み物を持ってきた。


「おう、翡翠か。ロリータは筋が良いぞ。初めてなのに弦がビリつかない。」


「まあ、じゃあ今日中にFが押さえられるかも。」


「だな、任せろ。」



1時間後。


「女神ちゃん、指が痛いよ。」


「そうだ、それが大事だ。私は特別なのでそもそも痛みというものを知らないが、人間は弦楽器を習うと必ず指が痛くなる。その痛みに耐えていると痛かったところが硬くなって、ギタリストの指になるんだ。」


1時間後。


「女神ちゃん、いろいろな場所でドレミファが弾けるようになったよ。」


「よし、では今日の単音弾きはここまでにして、次はコードだ。これを覚えれば弾きながら歌えるようになるぞ。」


「うん、がんばる!」


「では簡単なCとEmとAmとG7を覚えよう。私の通りに押さえてポロリン、いやポロリンじゃないな、ジャーンとやってみよう。」


1時間後。


「全部弾けるようになったよ。」


「よし、では今日の中ボスだ。」


「中ボスって何?」


「先に進むために倒さなければいけない、行く手を阻む敵だ。」


「うん、倒す。」


「次のコードはFだ。こうだ。」


「あれ、音が鳴らない。」


「そうだろ、いろいろコツがあるんだ。よく見ろ。こうだ。」


「あ、なんとなく指の向きと力の入れ方がわかったかも。」


「なかなか才能があるぞ。何回か鳴らしてみろ。うん、そうだ。それができるようになったら、裏技だ。実は6弦全部鳴らさなくてもコードは完成するんだ。そこでこうだ。6弦をミュートして残りの弦だけでFを作る。うん、そうだ。それを頭に入れておくと、あとでいろいろ役に立つ。」



「ロリータちゃん、そろそろ晩ご飯ですよ。」翡翠が迎えに来た。


「うん、わかった。もうお腹ペコペコだよ。」



「あら、メロちゃん、小さくなったわね。」


挿絵(By みてみん)


「お腹が空いたの。」


「ちょうどディナーの時間よ。」


「私はサキュバスだから精気が必要なの。精気を吸わないとチビになる。」


「困ったわね。手頃な餌が見つからないけど。」


「あのクィルティというおじさん、少し吸っても良いかな?」


「少しならかまわないわ。でも、こないだみたいに変身しちゃダメよ。擬態のままでアブソーブするならかまわないわ。」


「わかった。行ってくる。場所はJK隊から借りた名刺でわかるから。」


小さいメロのが画像がきれいにできあがりました。これからクィルティおじさんをギャフンと言わせるのでしょうか?

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