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翡翠さんが目を離した隙に女神とメロが好き勝手なことをしたけど、ハンバートがひどい目に遭ったので結果オーライ。

翡翠さんが目を離した隙にやってくれますね、トラブルメーカーの2人。

「くそっ、ダ女神モンスターは行ってしまったか。邪魔ばかりしやがって。これから原作では、ロリータがガールズ・サマーキャンプに出ている間にシャーロットがハンバートに最後通牒を突き付けるんだったな。家を出てゆくか、自分を伴侶として受け入れるか。出て行けば良いようなものを、ロリータとの接点を失うのが嫌で結婚するんだ。再婚した女の連れ子に性的暴行を行う事例が現代日本でもしばしば発生するが、そういう成り行きを望んでの行動だろう。許しがたいな。少しぐらいメロや女神に痛い目に遭わされるのも面白いかもしれない。接触可能な場所をうろちょろさせるか。ビッチ衣装の女神は着替えさせて、奴の好みの服装にしよう。へらへらと近づいてきたら魔物の恐ろしさを味わうが良い。え?女神は魔物じゃないって?ふん、魔物以上のモンスターだよ、あいつは。」




「引っかかるかな、あの変態?」


挿絵(By みてみん)


「この界隈を文学者を気取って散歩するのが日課みたいだから、そのうち見つけるだろ。しかしまあ、この時代の服はダサいな。」


挿絵(By みてみん)


「私、しばらく精気を吸ってないから、こんなチビになってしまっちゃったよ。とりあえずハンバートから吸って良い?」


「倒れない程度なら良いよ。」


「今のままだと火も吐けないよ。」


「モンスターとの戦闘がないのだから必要ないだろ。私たちの目的は、あの変態のロリータへの執着を断つために欲望の対象を散らすことだ。変態の欲望を自分に向けなければならない。」


「気持ち悪いなあ。」


「ふん、キモ親父どもからさんざん精気を吸ってきたサキュバスが何をいまさら。」


「あ、女神様、あっちから来たみたいだよ。」


「良し、作戦開始だ。」


 2人は散開し、まず女神がわざとハンバートの視界に入るように近づいた。


「あ、君は...」


「ハンバートだね。あんたの趣味に合わせて服装をチェンジしてやったぞ。ニューイングランドのお嬢様だ。」


「それはどうも...」ハンバートは腰が引けている。


「Do you like this? 」じりっじりっと距離を縮める女神。


「お許しいただけますか?」


「おい、会話がちぐはぐだぞ。それが少女に言う台詞か?」


「少女に思えません。少女というのは私の場合ニンフェットなんです。無垢なニンフェット。」


「ニンフェットだと?ニンフの劣化版のニンフェット、そんなものが好きなのか?私はニンフよりもずっと上位種の女神だぞ。」


「ですから、畏れ多くてまともに見てられません。お許しを。」


「ふん、その女神がおまえの邪な欲望をかなえてやろうというのに、なんだ、そのていたらくは?」


「ですから、お許しください、もう無理です。天罰を受ける構図にしか見えません。女神を称えるソネットを即興で捧げます。それでお許しを。」


「オルフェウスの才覚の1万分の1しか持ち合わせていないおまえの駄歌など聴きたくはないわ。このまま連れ去って貪ってやろうか?」


「ひぃっ、ご勘弁を!」ハンバートはひれ伏して恐怖のあまり少しちびってしまった。



挿絵(By みてみん)


「おじさん、どうしたの?」


「ん?君は?」


「私はメロ、そこの女学生の館という寄宿舎に住んでいるの。」


「そうなんだ。でも寄宿舎に入るにはまだ小さすぎるんじゃないのか?」


「お腹が空いているから小さいのよ。食べれば大きくなるの。」


「そうなのか。ならお菓子をあげようか?」


「おじさん、この近くに住んでいるの?」


「うん、すぐそこさ。」


「じゃあ、連れて行って。」


「いいよ、行こう。」




「美味しい。ありがとう。」


「いっぱいあるよ。たくさん食べて。」


「お菓子じゃなくておじさんも少し食べようかな。」



挿絵(By みてみん)


「え?」


「実はもう少し味見しちゃったんだけどね。」


「何だって?」


「だから、ほら、大きくなったでしょ?でも、この身体のままだとあまり効率良く吸えないわ。」


挿絵(By みてみん)



「君は何を言ってる?」


「まだわからないのかしら?私はサキュバス。男の精を吸う魔物よ。もっと吸っても良いかしら?」


「うわ、た、助けてくれ!」


「獲物を狩ろうとした野獣が逆に狩られる獲物になるってどんな感じかな?ヴァイタルアブソーブ!」


挿絵(By みてみん)


 ハンバートは気絶した。邪な精気を失って敬虔な僧侶のような顔つきになって床に倒れた。



「キモい味の精気だったわ。でもずいぶん力を取り戻した。ハンバートはしばらく悪さができないわね。」



「ちょっと、メロさん!勝手なことをしちゃダメでしょ!」


 満足そうにパタパタ飛ぶメロを見つけた翡翠があきれた様子で声をかけた。



挿絵(By みてみん)


「ここでそんな目立つ姿になっちゃ困ります。寄宿舎に警察のガサ入れが来ちゃいますよ。さあ、早く元の姿に戻ってください!」


「はーい。」


精気を吸われたハンバート、原作の日曜日の問題シーンはこれでなしになりますね。めでたい。

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